患者さんのなかに認知症の人がいるのは、いまや当たり前なのです。
これを理解して関わらないといけません。
◆ もはや65歳以上の5人に1人が認知症の時代
内閣府の発表資料によりますと、
2015年(令和7年)には、65歳以上の5人に1人が認知症になります。
ちなみに2012年のときは、認知症患者が462万人と、
65歳以上の7人に1人が認知症でした。
再来年には、65歳以上の5人に1人が認知症になると見込まれています。
どう思いますか?
年配の方の5人に1人が認知症って時代なんです。
なので、入院してくる患者さんのなかに認知症の人がいるのは当たり前なんです。
だいたい入院してくる人は年配の人です。
若い人はあんまり入院しませんから。
入院患者さんはだいたい高齢の人です。
ということは、入院患者さんで認知症を持っている人がいても当たり前です。
夜中に大声を出す。
部屋が分からなくなってウロウロする。
失禁や失便もする。
「帰るー!帰るー!」と言って帰ろうと大騒ぎする。
もう、こんなの当たり前です。
実際よくあります。
◆ もはや65歳以上の5人に1人が認知症の時代
例えば、脳卒中で入院してきた患者さんのなかには、
もともと認知症をもっていて、
そのあと脳卒中になった患者さんも大勢います。
ベースが認知症、
そのあと脳卒中になった、というケースです。
もともとベースに認知症があるので、
片麻痺になったことを理解できず、
「自分は歩ける」と思って、
一人で動いて転倒。
なんてことは本当によくあります。
脳卒中になったことすら認識がないということも多いです。
自分がいまどこにいるのかもわかりませんし、
なんでここ(病院)にいるのかもわかりません。
回復期リハビリテーション病院に、こうした認知症の患者さんは非常に多いです。
「急性期病院でまず治療してから回復期病院に来たんだから、急性期病院で入院していたし、自分が病気ってことぐらいはわかっているんじゃないの?」
と思う人がいるかもしれませんが、
認知症がある程度すすんだ患者さんは、本当に、自分の今の状況を理解していません。
なので、看護師等、現場にいる医療従事者は、認知症患者がいることを前提にしないと仕事ができません。
脳卒中ケアだけじゃなく、認知症ケアも精通しないと現場が回りません。
◆ 患者さんのせいにしない
認知症の患者さんは、もともと認知症があった人と、
脳卒中になったことが起因で認知症になった脳血管性認知症があります。
いずれにしても、いま、認知症なので、
医療的指示が通じないことがよくあります。
一人で歩いたら絶対転倒するので、一人で歩かないように言っても、
一人で絶対歩きます。
ナースコールを押してスタッフを呼ぶように言っても、
ナースコールが理解できません。
一人でベッドから出て転倒します。
なので、看護師は認知症ケアを学ばないと、どんな領域の病棟であっても仕事ができません。
どこの診療科であっても認知症は避けて通れないです。
だって65歳の5人に1人が認知症なのです。
「あの患者さん、全然言うことを聞いてくれない」
「なんど言っても分かってくれない」
「あれだけ一人で歩いたらコケるから危ないって言ったのに」
まあ、ボクの看護師なので、心の中では言いたくなりますが、
認知症になるとそういうもんなんです。
忘れるんです。新しいことの理解ができないんです。
入院という普段の生活と違う環境に弱いんです。
認知症の人にいくら言ってもすぐ忘れるので、あまり意味はありません。
「前に言ったでしょ」
といっても、本人は忘れているので「前」はないのです。
忘れる前提で、理解しない前提で安全対策をとらないといけません。
これが本当に大変で、現場はいつも頭を悩ませています。
しかし、認知症の人がいるのは当たり前の時代になり、
ますます現場は大変になるでしょう。
看護師の配置人員数を増やす、待遇を良くするということをしないと、
看護師不足はますます深刻になりそうです。
それでは最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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