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脳卒中の超基礎シリーズのカテゴリ記事一覧

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カテゴリ:脳卒中の超基礎シリーズ

リハビリの外出訓練はどのようなものか

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回復期リハビリテーション病棟では、基本的には次は自宅生活が待っていることになります。


例外はあります。


リハビリをしてきたが、諸事情で自宅ではなく施設を選ばれることもあります。


しかし急性期をすぎてリハビリ病院に入院してきたということは、


可能性に賭けてこられたということです。


多くの患者さんは自宅に帰ることを思っています。


自宅退院を目指す患者さんにたいして、リハビリスタッフをはじめてとして看護師や他の医療職


は、自宅での生活を考えて日々の仕事をしていくことになります。



自宅に帰るにあたって、障害の程度によってこえなければならない壁があります。


そこ壁にどうやってむかっていくか。


入院中にいろいろ試すことをやってみて、帰ってから困らないように課題を抽出していきます。


そのひとつが


「外出」と「外泊」です。



● 退院したあとの自宅生活を視野にリハビリをする



退院までにたとえ1回でも外出をして、


家の中での動作が安全におこなえるかを試したほうがいい。


それまでは入院中に、歩く、食べる、排泄する、着替える、くつを脱着するなど、基本的な


日常生活動作を訓練します。


入浴の練習もします。



自宅にベッドがない場合は、床からの起き上がりも訓練します。


畳の家でも、そうです。



すべては自宅での生活を見据えて訓練します。



● 外出をしていろいろ試す


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ある程度リハビリで日常生活ができるようになってくると、自宅ではどうかを試します。


自宅にリハビリスタッフが同行します。
必要があれば、ケアマネージャーや福祉用具業者なども同行することがあります。
自宅の玄関の段差は何センチで、安全に越えられるか?
手すりは必要か?
トイレ動作はできるか?
バスタブに入れるか、出られるか?
ベッドは適切か?
ベッドからトイレまで、いつもいる部屋からトイレまで歩いていけるか?
など、多くのチェックポイントがあります。
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自宅に外出する以外にも
仕事や買い物などでバスや電車といった公共交通機関を利用する場合は、
実際にバスや電車を乗りに、リハビリスタッフと一緒に外出をする場合があります。
健常者ではなかなか気づかないことがありますが、バスや電車に乗ることは
障がいを持つ患者さんには不安なことなのです。
このように入院中に外出をすることで、このあとにある自宅退院が安心しておこなえるのです。
これらを一つ一つ確認していきます。
問題があれば、残りのリハビリ期間中の課題となります。

● 外泊もしてみる


外出だけでなく、外泊をすることも有効です。


たとえ1泊だけでもいいのです。


外泊なら時間的にせかせかしなくて済みます。


時間は外出よりありますので、じっくり自宅生活のイメージがつきやすい。


できるだけ普段どおりの生活をして1泊してもらいます。


問題があれば、残りのリハビリ期間中の課題となります。



● すべては退院したあとのことを考える


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これに尽きます。


そのためにリハビリ入院をしているといっても過言ではありません。


患者本人や家族は、単にリハビリスタッフのいうままにするのではなく、


看護師のいうままにするのではなく、


もっとどん欲にリハビリに飢えて欲しい。


「もっとやりたいんだ」って言っていいんです。


そういう患者さんは良くなります。


リハビリメニューは多彩にあります。


お金と時間をつかって入院しているのです。


ずっと入院はできません。


だからこそ、どん欲にリハビリに励んでほしい。


僕たちは精一杯サポートさせていただきます。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。



分かりやすい脳出血 ⑸



脳出血についてお話をしていきます。




● 脳出血の合併症


脳出血の患者さんは再出血がなくても、入院後に悪化することがあります。


その原因として、


「水頭症」と「脳浮腫」


があります。


水頭症には先天的なものと二次的なものがありますが、後者の典型例が脳出血による水頭症です。


血腫が破れて脳室という水が溜まっている空洞にまで出血が及ぶと、水の循環障害が起こります。


この水というのは、髄液(ずいえき)といいます。


以前、脳は水の張ったプールに浮かぶお豆腐のようだと表現しました。


水の中に入っていれば衝撃から強いのです。


この水のプールが人間にもあります。


脳は髄液という水の中にあります。


周りが水で囲まれているので、お豆腐のようにもろい脳でも形が崩れずに、しかも衝撃に強い。


うまくできていますね。


この髄液という水は、生まれては吸収されて、毎日循環しています。


髄液が生まれるところと吸収されるところは別の場所です。


脳室は髄液が溜まっている空洞です。


そこにまで出血がおよぶと、水が真っ赤に血に染まります。


髄液は無色透明の水です。


出血が大きいと髄液にまでおよんで、血のプールに脳が浮かんでいるようになります。


この出血が悪さをして、髄液を吸収するのを邪魔してしまうと考えられています。


その結果、脳室寧に髄液が溜まって脳室を拡大させ、脳圧亢進をおこすのです。


これが原因で意識障害が悪化することがあります。


● 脳出血の水頭症の基礎



水頭症は、髄液の循環障害の程度によって、脳出血の発症からすぐに起こるとこもあれば、


数時間から数日たってから起こることもあります。


脳出血発症翌日以降に患者さんの意識状態が悪くなったときには、水頭症の合併や増悪を考えて検査をします。



脳の中の血腫が大きいと周囲の脳を圧迫するため、脳の周囲に循環障害がおこって、


いわゆる脳が腫れた状態、「脳浮腫」を引きおこします。


脳はダメージを受けると、腫れることがあります。


ボクシングで顔がパンパンに腫れているボクサーを見たことはないでしょうか?


イメージ的に、顔はダメージを受けると腫れるように、


脳もダメージを受けるとパンパンに腫れてくることがあります。



さてこの血腫は、時間が経つと血液成分が破壊されて、周囲の脳にさまざまな破壊産物が浸透します。


これが脳浮腫を増大させます。


多くは出血後、6時間以降におこります。


長い場合は、数日から一週間以上続くこともあります。


脳浮腫が持続すると、意識障害や麻痺の改善を遅らせる原因になります。


● まとめ


●入院後に悪化する原因として、「水頭症」と「脳浮腫」がある。
●脳室という水が溜まっている空洞にまで出血が及ぶと、水の循環障害が起こります。

●髄液という水は、生まれては吸収されて、毎日循環している。

●出血が悪さをして、髄液を吸収するのを邪魔してしまうと考えられている。

●水頭症は、脳出血の発症からすぐに起こるとこもあれば、数時間から数日たってから起こることもある。

●多くは出血後、6時間以降におこる。



いかがでしたか。


だんだんと難しくなってきました。


少しずつ進んでいきます。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月9日   更新日:2019年11月18日


分かりやすい脳出血 ⑷



脳出血について学んでいきます。


脳出血の最大の危険因子は「高血圧」と前回でお話をしました。






これ以外にも、脳出血の原因はいろいろあります。



● 高血圧以外の脳出血の原因は?



脳出血の原因には、高血圧以外にも


●血液の病気、


●血管の奇形(※血管にも奇形があります。奇形があると出血しやすい傾向にあります)


●肝臓の疾患で出血傾向にある


などがあります。


他にも、


最近では、他の病気や脳梗塞の治療で血液が固まりにくい薬


(抗凝固薬や抗血小板薬;いわゆる血液をサラサラにする薬)を内服中の患者さん


などでも起こります。


高齢者では血管壁にアミロイドという異常タンパク質が沈着するアミロイドアンギオパシーが


原因の脳出血があります。


これらの症例でも、出血のきっかけは急激な血圧上昇が関与していると思われ、


和式トイレを避けるなど、日常生活上の工夫が必要です。


和式トイレだと洋式に比べて怒責が効くので、血圧が上昇しやすくなります。


あと怒りっぽいのもいけません。


穏やかにいきましょう。



● 出血はどのくらいで止まるのか



出血は動脈の破たんによって起こりますが、多くは数分から数十分以内に出血が止まると思われています。


しかし、発症から6時間程度の超急性期には、血腫が増大する可能性があることが知られています。


したがって、脳出血を起こしたときは、最初は軽症だからといって放置していると、


数時間以内に急激に悪化し死亡する危険性もあります。



まあ、放置はしないでしょうけどね。



悪化を防ぐためには、発作の急性期に充分な観察を行い、


急激な血圧上昇を避ける血圧管理をおこなうことが重要です。


集中治療室では、血圧を厳格に管理しています。


多くは血圧を下げるように薬剤を投与します。


もちろん全身管理をしているのですが、それくらい血圧管理は重要になります。



● まとめ


●脳出血の原因には、高血圧以外にもいろいろあります。

●脳梗塞の治療で血液が固まりにくい薬
(抗凝固薬や抗血小板薬;いわゆる血液をサラサラにする薬)を内服中の患者さん
などでも起こります。
●出血のきっかけは急激な血圧上昇が関与している

●和式トイレを避けるなど、日常生活上の工夫が必要です。

●多くは数分から数十分以内に出血が止まると思われています。

●発症から6時間程度の超急性期には、血腫が増大する可能性があることがある。

初出掲載:2019年1月9日   更新日:2019年11月18日


分かりやすい脳出血 ⑶

こんにちは、ピストンです。


脳卒中の中で「脳出血」についての勉強です。



● 脳出血の最大の原因は高血圧



 


脳の真ん中あたりにある上に伸びているイソギンチャクのような細い血管が「穿通枝」(穿通動脈)と

呼ばれる細い血管です。

ここが詰まるとラクナ梗塞、出血すると脳出血となります。

細いから詰まりやすい、破れやすい血管です。



脳の深い所にある血管が破れて、脳の中に出血を起こす病気を「脳出血」といいます。


脳出血を起こす血管は、0.2~0.5mm程度の細い血管で、


ラクナ梗塞(脳梗塞の一つ)を引き起こすのと同じ細い血管(穿通枝)です。


穿通動脈ともいいます。



脳出血の最大の危険因子は



「高血圧」



です。


その昔、終戦後、我が国では栄養状態が悪く低コレステロールの頻度が高いために血管壁がもろくなって、


それが脳出血の危険因子でした。


なぜコレステロールが低かったら危険因子なのかというと、


血管の壁はコレステロールからできているからです。



その後1970年代からは、栄養状態の改善、食塩摂取量の低下、国民皆保険制度施行による高血圧治療の


普及によって、脳卒中、特に脳出血の発症・死亡が急速に低下しました。



高血圧が長期間続くと脳の中の細い動脈の壁がもろくなり、壁の一部がふくらんで小さな血管のコブ


(微小動脈瘤)ができます。


そのもろい壁やコブが高い血圧に耐えきれずに破たんして脳の中に出血します。


出血した血液のかたまりを血腫といいます。


血腫が脳細胞を破壊し、さらに周囲の脳細胞を圧迫するため、脳の機能が障害されて、神経症状が出ます。



最近の研究では、以前は正常血圧とされていた最高血圧140~120mmHgの間の血圧の人が、


120mmHg以下の人に比べると脳卒中や心臓病の発症率が高いことが明らかになり、


より厳格な血圧管理が大事なことが分かってきています。



血圧は季節や日内でも周期的に変動します。


季節的には冬に高く夏に低く、日内では早朝と夕方に高くなります。


このような変動は、出血性脳卒中の発症ピークとよく一致しています。



24時間血圧を測定して、日常生活が血圧にどのような影響を与えるかを調べた結果があります。


日常活動時の血圧変動を動作直前と比べると、


日常活動によて血圧が非常に大きく変動しているのが分かりました。


平均でみると、


咳、排便、階段の昇降で上昇が大きいことが分かりました。


これは個人差も大きく、これらの動作時に血圧の上がりやすい人では、100mmHg以上も上昇していました。


これらを考えると、脳出血は高血圧によって血管に病変が起こり、


そこに季節内、日内、さらに動作時の一時的で急激な血圧上昇が加わって破綻をする病気といえます。



● まとめ


脳出血の最大の危険因子は「高血圧」です。

脳出血を起こす血管は、0.2~0.5mm程度の細い血管で、
ラクナ梗塞(脳梗塞の一つ)を引き起こすのと同じ細い血管(穿通枝)です。
出血した血液のかたまりを血腫といいます。

血腫が脳細胞を破壊し、さらに周囲の脳細胞を圧迫するため、脳の機能が障害されて、神経症状が出ます。
最近の研究では、より厳格な血圧管理が大事なことが分かってきています。

血圧は季節や日内でも周期的に変動します。

季節的には冬に高く夏に低く、日内では早朝と夕方に高くなります。

日常活動では、咳、排便、階段の昇降で血圧の上昇が大きいことが分かりました。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月9日   更新日:2019年11月18日


分かりやすい脳出血 ⑵



さて脳出血についての続きです。



ゆっくりじっくり、学んでいきましょう。



● 脳出血は根本的な治療法がない




脳の周りのぐるっと囲っている白いのは頭蓋骨。

中心部の白くニョロっとバナナのように写っているのが出血。

CT画像では出血、頭蓋骨は白く写ります。





現代の医療では、血管が破れて噴き出た血によってボロボロにされてしまった脳の部分は二度と元に戻らないのが問題です。


手や足を動かす神経線維のそばで出血が起これば麻痺が残りますし、視野を司る部分の近くで出血が起これば目が見えなくなります。


この「出血」は、じわーっと出てくる出血ではなくて、庭の水まきのホースから出る水のように、勢いの強い出血です。


その勢いの強い出血によって、傍にある脳神経がボロボロにされてしまうのです。


したがって、脳出血に根本的な治療法はないのが現実です。


今の医療でおこなわれているのはあくまで、二次災害を防ぐための治療です。


つまり、起こってしまった出血によるダメージは治療できない。


これ以上ダメージが広がらないように、再発しないように、治療をしていく。


これが病院で行っている脳出血の治療になります。


集中治療室でなにをしているのかというと、これをしているわけです。


決して、起きてしまった脳出血を治す治療をしているわけではありません。



高血圧であれば降圧剤を投与して血圧を下げる。


糖尿病であれば血糖コントロールをする。


呼吸が不安定なら人工呼吸器を使ったり呼吸が楽になる薬を投与するなど。



出血の周辺の問題に対してアプローチをしています。


頭蓋骨をあけて、出血した血を取り除く血栓除去術という手術があります。


これは頭蓋骨をあけて、そこから吸引して溜まっている血を吸いとります。


出血していれば止血します。


溜まっている血が脳を圧迫しているからです。


基本的には血を吸いとるだけの手術です。


この手術でもボロボロになった脳に対しての治療ではなく、これ以上悪くならないようにするのが目的です。



脳梗塞では条件さえ整えば根本的な治療も存在するのですが、残念ながら脳出血にはまだありません。



● まとめ


●現代の医療では出血によってボロボロにされてしまった脳の部分は二度と元に戻らない。

●勢いの強い出血によって、傍にある脳神経がボロボロにされてしまう。

●今の医療でおこなわれているのはあくまで、二次災害を防ぐための治療です。

●起きてしまった脳出血を治す治療をしているわけではありません。



今日はちょっと短めでしたが、まあ焦らずしっかりと基本を理解していきましょう。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月9日   更新日:2019年11月18日

分かりやすい脳出血 ⑴



今日は「脳卒中の超基礎シリーズ」で、「脳出血」についてお話をしていきます。


これまでは脳梗塞について基礎の基礎をお話してきましたが、今回は「脳出血」です。




このシリーズは、医療職ではない方でも分かりやすく脳卒中を解説していきます。


難しく思わなくても大丈夫です。


ゆっくり、やさしく解説していきます。



● 脳出血の基礎の基礎


「脳梗塞」・「脳出血」・「くも膜下出血」の3つを一まとめにして「脳卒中」と言います。


これは今までも言ってきたことです。


この「脳卒中」は、


「詰まる」か「出血」かの2つに分かれます。


脳梗塞は「血管が詰まること」です。


脳出血とくも膜下出血は「血管が破けて出血すること」です。


まさに読んで字のごとくです。



脳出血とくも膜下出血の違いは、言葉のとおり、出血のある場所の違いです。


脳の中の細い血管が破れて脳の内側で出血するのが脳出血、


脳の表面近くの太い血管から出血して、脳を覆うくも膜と脳の表面の間に血が溜まるのがくも膜下出血です。



脳梗塞は、太い血管から細い血管まで、脳に通じる血管のどれが詰まっても脳梗塞です。


詰まる血管が太ければ太いほど重症になります。


逆に、とても小さな血管が詰まる程度ではほとんど症状がないこともあり、


これを「無症候性脳梗塞」といいます。



脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3つのうち、主に脳神経外科が関わるのは、


脳出血とくも膜下出血です。


脳梗塞に関しては、脳神経外科が診ることもありますが、専門領域は脳神経内科(旧 神経内科)になります。







脳に入り込んでいる細かい血管が破裂して、血が回りに噴き出るのが脳出血です。



普通の血管であれば破たんすることはあまりないはずですが、高血圧や糖尿病、高脂血症(脂質異常症)などで


動脈硬化が進んで脆くなった血管に高い血圧で血が流れてくると、血管の壁が破たんして出血が起こるのです。


噴き出た血の勢いによって周囲の脳がボロボロにされることが、脳出血による後遺症の一番の原因です。


どのような後遺症が残るかは出血が起こった場所によります。


一番怖いのは、「脳幹出血」とよばれるもので、致命的となることが多い脳出血です。


脳幹は呼吸など生命維持に深く関わっている場所です。


そこがダメージを負うと、、、もう分かりますよね。死亡する可能性が高いのです。


しかもそのような重要なところは医師もメスを入れたり何か施したりはできません。


医師も触れない最も怖いところが脳幹なのです。



● 動脈が破れると噴き出す血の勢いはすごい



出血によって血が溜まっていくと、周りの脳が血の固まりに圧迫され、ダメージとなっていきます。


噴き出る血の勢いと溜まっていく血による圧迫、このダブル攻撃で脳出血はしばしば致命的となります。


よく脳は「お豆腐」に例えられます。


お豆腐のようにもろいものです。


その脳は髄液という水のプールの中に浮かんでいるとイメージしてください。


お豆腐も大きな入れ物の水の中に浮いていますよね。


あれは壊れやすい脆いお豆腐を衝撃から守っているのです。


あんなに柔らかくて脆いお豆腐でも、水の中なら形を保っていられるのです。


脳のまさしく同じです。


それくらい脆いのです。


だから動脈血が噴き出すとひとたまりもありません。



庭に水撒くときホースで水を出すでしょう。


そのホースから勢いよく出ている水をお豆腐に当てたらどうなるでしょう。


そう、お豆腐はボロボロになってしまいます。


血管が破れて動脈血が勢いよく噴き出して脳に当たるというのは、これと同じです。




高血圧が原因で起こる高血圧性脳出血が最多ですが、


他にも生まれつきの血管の奇形から出血したり、数%程度ですが、脳腫瘍から出血することもあるので、


脳出血では隠れた病気への注意も必要です。



● まとめ


脳出血とくも膜下出血は「血管が破けて出血すること」です。

脳の中の細い血管が破れて脳の内側で出血するのが脳出血

脳に入り込んでいる細かい血管が破裂して、血が回りに噴き出るのが脳出血です。

普通の血管であれば破たんすることはあまりないはずですが、高血圧や糖尿病、高脂血症(脂質異常症)などで
動脈硬化が進んで脆くなると血管が破れることがあります。
噴き出た血の勢いによって周囲の脳がボロボロにされることが、脳出血による後遺症の一番の原因です。
どのような後遺症が残るかは出血が起こった場所によります。

一番怖いのは、「脳幹出血」とよばれるもので、致命的となることが多い脳出血です。

脳出血のタイプとしては、高血圧が原因で起こる高血圧性脳出血が最も多い。



いかかでしたか。


脳卒中シリーズは、難しい脳の病気の話を焦らずゆっくりと解説していきます。


どれも身近な病気であることに変わりはありません。


いつ自分や家族に起こるか分かりません。


正しい知識を持つことで、仮に病気になっても、効果的なリハビリや在宅生活が行いやすくなります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月8日   更新日:2019年11月18日


分かりやすい脳梗塞 ⑶

こんにちは、ピストンです。


今日は、脳梗塞の中でもっとも多い、ラクナ梗塞についてもう少し書きます。



● ラクナ梗塞の特徴


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脳卒中は、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3つの脳血管障害の総称です。


脳卒中の中で日本人が多いのは脳梗塞です。


脳梗塞の中でもっとも多いのはラクナ梗塞です。


「ラクナ」というのは、「小さな空洞・欠損」という意味です。


ラクナ梗塞を起こした患者さんの脳の断面図を見ると、小さな穴が開いて抜けているように見えることからこの名前が付きました。


とても細い血管が詰まることで起こります。



とても細い血管・・・・・


細い血管が故に、詰まりやすく、破れやすい。


ラクナ梗塞が起こりやすい部位は、高血圧性脳出血と同じ場所です。


原因となる血管が一緒ですので、血管が破れれば脳出血、破れずに詰まって閉塞するとラクナ梗塞と考えられます。


脳出血は他にも原因がいろいろありますが、それについては後日書きます。


日本人の脳梗塞で最も多いのがラクナ梗塞と述べました。


しかし最近は、日本人の食生活の欧米化によって、都会では、太い血管の動脈硬化から「高脂血症」が引き金となって起こる脳梗塞が増えていて、ラクナ梗塞は減少しています。


ラクナ梗塞の多くが、1.5㎝以下と小さいため、片側の麻痺、知覚障害に限定した症状が出ます。


失語症、失認症といった大脳皮質に起因する高次脳機能障害を伴うことはありません。


ラクナ梗塞は小さな脳の障害であるために、症状が改善することが多く、軽度の後遺症で済むことが多い脳梗塞です。


● ラクナ梗塞は命にかかわるのか



ラクナ梗塞が直接の原因で死亡することはありません。


しかし死亡することはないと、軽く考えてはいけません。


人によっては手指の巧緻性の障害で悩んだり、痺れで悩まされます。


特に細かな作業の仕事をしている人にとっては、致命的になることあります。


今の仕事を続けていくかどうか真剣に悩むことがあるからです。


再発する可能性も高い。


脳卒中で救急搬送されてきた患者さんの中には、頭のCTを撮影すると、以前にラクナ梗塞を起こしたんだろうなと考えられる小さな空洞を見つけることがあります。


以前にラクナ梗塞を発症していたが気付かずにそのまま普通に暮らしていて、今回新たに脳梗塞を発症して症状が重く出たので「あれ?これは変だ。おかしい!」と判断し救急車を呼んだという例を何回も見てきました。


つまり脳梗塞が再発したのです。


脳卒中は再発するとより症状が悪くなる傾向にあります。


予後も悪くなることがデータで分かっています。


だからこそ脳卒中は再発予防が大事になります。


「ラクナ梗塞で助かった」と安易に考えるのではなく、「また再発するかもしれない」と予防に注力するべきなのです。


このように脳卒中を発症した人の血管は既にボロボロになっていることが多いので、第二・第三の脳卒中を発症する可能性が高いということを知っておきましょう。




● まとめ


脳卒中の中で日本人が多いのは脳梗塞です。

脳梗塞の中でもっとも多いのはラクナ梗塞です。

「ラクナ」というのは、「小さな空洞・欠損」という意味です。

とても細い血管が詰まることで起こります。

ラクナ梗塞の多くが、1.5㎝以下と小さいため、片側の麻痺、知覚障害に限定した症状が出ます。

失語症、失認症といった大脳皮質に起因する高次脳機能障害を伴うことはありません。

症状が改善することが多く、軽度の後遺症で済むことが多い。

ラクナ梗塞が直接の原因で死亡することはありません。

「また再発するかもしれない」と予防に注力するべき。




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。



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分かりやすい脳梗塞 ⑵



脳梗塞について、分かりやすく書いている「分かりやすい脳梗塞」シリーズ。


できるだけ医療職以外の方でも理解しやすいように説明していきます。






● 脳梗塞の基礎の基礎 - 詰まり方は2種類 -



脳梗塞は脳細胞に酸素とブドウ糖を供給する血管が詰まり、そこから栄養と酸素を得ている脳細胞が死んでしまうことで起こります。



脳の栄養源はブドウ糖です。



脳梗塞の血管の詰まり方は2種類あります。


血栓と塞栓です。血栓(けっせん)、塞栓(そくせん)と読みます。


まず血栓ですが、その場に血の固まりができて血管が詰まり血流を止めてしまうこと。


塞栓は飛んできた固まりがズボッと血管に詰まることです。


どこから何が飛んでくるのか?


多くは心臓から血の固まりが飛んできます。それが脳の血管まで飛んできて脳の血管を詰まらせてしまいます。


この2つが脳梗塞の原因の大部分を占めています。



動脈硬化が進むと血管の中にコレステロールが溜まって血管の壁の内側がボロボロになります。そして炎症を起こして血栓ができて、血管を詰めてしまうのです。


その場所にできた血栓が飛んで、その先にある血管を詰まらせる場合もあります。これが塞栓です。


先程述べたように、心臓から飛んでくるのが一番有名です。


心臓が心房細動といって異常な拍動をした時に、中の血液が揉まれて血が餅のように固まってくることがあります。この血の固まりが心臓から飛び出して血管を通って脳までたどり着いて血管を詰まらせてしまう。これを心源性脳梗塞といいます。


血栓と塞栓のほかに、脳梗塞には「血行力学性の脳梗塞」というものがあります。


これは、たとえば動脈硬化で狭くなった血管があるとします。


血圧低下が起こり血流が弱くなると、一番狭くなった血管の最も血流が少なくなった場所が脳梗塞を起こすということです。



これが脳梗塞の起こる原因の大部分です。

ほとんどは血栓と塞栓です。


ほかにも少ないですがもっと原因はあるんですけど、今はここを抑えておけばいいと思います。



●脳梗塞は大きく3つに分類される



一般的には脳梗塞は次の3つに分けられます。


アテローム血栓性脳梗塞

ラクナ梗塞

心原性脳梗塞



それぞれ見ていきましょう。

まずはアテローム血栓性脳梗塞です。


「アテローム」は日本語でいうと「粥腫(じゅくしゅ)」といいます。血管の壁にコレステロールなどがくっついて溜まります。さらに炎症などが起こって血管の壁がボロボロの状態とイメージしてください。分厚くなって堅くなっている血管の壁ということです。


どうしてこんなことになったのかというと、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣によって動脈硬化を起こしています。


このアテロームが脳の血管にできると、血栓、塞栓、狭窄のすべてが起こる可能性があります。


ボロボロになった血管壁の内側に血栓ができれば、そこで血管を詰まらせてしまいますし、それが飛べば塞栓を起こします。


分厚くなれば当然血管を細めてしまいますし詰まりやすくなります。


アテロームは脳の血管の中でも大きい主幹動脈に起こります。


大きい主幹動脈が詰まるので、比較的広範囲に重症な脳梗塞を起こします。


アテローム血栓性脳梗塞は生活習慣が直接的な原因と言われています。



次にラクナ梗塞です。


「ラクナ」はラテン語で「小さな空洞」という意味です。


つまり、小さな脳梗塞ということです。


1.5㎝以内の小さな脳梗塞のことを指します。



このラクナが脳梗塞の中で一番多い。



脳の血管には太い血管や極細の血管など幅広い大きさの血管があります。


その中でも「穿通枝(せんつうし)」と呼ばれる極細の血管があります。


この穿通枝と呼ばれる極細の血管が詰まることで起こると考えられています。


小さい梗塞なので、人によっては麻痺がなかったり(あっても気付かなかったり)、症状が強く出ないこともあります。


しかし脳梗塞の場所によっては、麻痺が出たり、しゃべりにくくなったり、というように様々な症状がでます。


アテロームよりは、軽いことが多いのが特徴です。


ラクナ梗塞は高血圧が直接的な原因で起こると言われています。



最後に心原性脳梗塞です。


心臓の中でできた大きめの血栓が飛んで、脳の太い血管にズボッと詰まってしまうことで起きる脳梗塞です。


心原性脳梗塞は大きな血管がいきなりドカンと詰まるので、広範囲に脳梗塞を起こし、重症になることが多いです。


広範囲、重症、ということでは、3つの脳梗塞の中で、一番怖い脳梗塞と言えます。


心原性脳梗塞は心房細動という異常な拍動が原因で心臓の中に血栓ができることが直接的な原因になります。




脳梗塞は大きくこの3つに分けられますが、本当は細かく分けるともっと種類は増えます。でもこの「分かりやすい脳梗塞」シリーズでは、いきなりスパルタな勉強はしません。また追々、書いていきます。



いかがでしたが。


いずれにしても生活習慣が深く関わっていることはよく知られている所です。


日頃の予防意識、実行、が大切です。


メタボの方もご注意ください。


考えているだけではだめです。実際に痩せるように、身体を鍛えるように、行動に移さないと意味がありません。


● まとめ


アテローム血栓性脳梗塞

アテロームが脳の血管にできると、血栓、塞栓、狭窄のすべてが起こる可能性があります。

大きい主幹動脈が詰まるので、比較的広範囲に重症な脳梗塞を起こします。

生活習慣が直接的な原因。


ラクナ梗塞

小さな脳梗塞

穿通枝と呼ばれる極細の血管が詰まることで起こると考えられています。

人によっては麻痺がなかったり(あっても気付かなかったり)、症状が強く出ないこともあります。

アテロームよりは、軽いことが多い。

高血圧が直接的な原因で起こると言われています。


心原性脳梗塞

心臓の中でできた大きめの血栓が飛んで、脳の太い血管にズボッと詰まってしまうことで起きる脳梗塞です。

広範囲に脳梗塞を起こし、重症になることが多いです。

心房細動という異常な拍動が原因で心臓の中に血栓ができることが直接的な原因になります(心房細動以外でもありますが、ここではこれを押さえておきましょう)。



また、記事が完成しましたら脳の病気の勉強をしていきたいと考えています。



今日のところはこのへんで。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


分かりやすい脳梗塞 ⑴



今日は脳梗塞について記事を書きます。


脳卒中についてのシリーズです。


脳出血やくも膜下出血など他の疾患についても分かりやすく書いていきます。


まずは脳梗塞から。



専門的な分野ではありますが、医療職以外の方が分かりやすく読めるように書いているつもりですので、一緒に勉強していきましょう。



脳は難しい・・・と考える方が多いようです。


脳の勉強は「No!」


なんて言いたくなるかもしれませんが、


そんなに肩肘張らなくても大丈夫ですヨ。


少しずつゆっくり勉強していきましょう。



分からなかったことが分かったら、視野が広くなると思いますよ。




● 脳梗塞の基礎の基礎


以前の記事で脳卒中は、


「脳」が「突然」に「中る(あたる)」という意味だと解説しました。


また、脳卒中は「脳梗塞」・「脳出血」・「くも膜下出血」の3つの病気の総称だとも解説しました。






脳卒中の中の一つ、「脳梗塞」は一番頻度の多い疾患になります。


脳梗塞はどちらかというと、脳外科よりも神経内科の領域になります。


今は神経内科が名称変更しまして、「脳神経内科」に変わりました。


神経内科が主に扱っていたのは、ほとんどの脳梗塞が手術を必要としなかったからです。


手術しないので脳神経外科よりも神経内科(=脳神経内科)というわけです。


ところが手術適応な脳梗塞もあります。


重症な脳梗塞の場合や予防的に行う手術、または手術をすることで生存率を上げることができる場合などでは、脳神経外科の出番です。




ではこの脳梗塞、脳卒中のなかで一番多いのですが、脳卒中の8割を占めています。


毎年約8万人の人が亡くなっています。


脳梗塞は、脳の血管が詰まったり細くなったりして、脳に血流が行かなくなる病気です。


この血管というのは、動脈のことです。


動脈は全身に酸素や栄養など生きていくのに大事なものを運んでいます。


この動脈が詰まったりすると脳に酸素や栄養がまったく行かなくなるため、血液がなくなった部分の脳が死んでしまいます。


そんなに簡単に死ぬんですか?と聞かれたことがありますが、そうなんです。


脳のエネルギー源はブドウ糖です。それは動脈から運ばれてきます。


脳は全身のなかで一番ブドウ糖の消費が激しいところで、ブドウ糖をたくさん使っています。


しかも厄介なことに、脳はブドウ糖をストックしておくことができません。ブドウ糖を蓄えておいて、いざ足りなくなったら貯蓄を使うということができないのです。


生きていくのに酸素も必要です。


脳は全身の酸素の20%も使います。とてもたくさんの酸素を消費しています。


血流が途絶えて酸素が行かなくなると、たちまち脳は死んでしまします。



脳の血管が詰まったり細くなったりして血液が届かなくなると、その血管から酸素と栄養を得ている部分の脳細胞は死んでしまいます。


脳梗塞では、血流が途絶えた部分だけが静かに死んでいきます。


大きな脳梗塞になると、ダメージがひどくて脳が腫れてくることがありますが、そうでない限りは周囲の部分までやられてしまうことは少ないです。


とはいえこれが「軽く済む」という意味ではありません。



● まとめ


脳卒中は「脳梗塞」・「脳出血」・「くも膜下出血」の3つの病気の総称。

脳卒中の中の一つ、「脳梗塞」は一番頻度の多い疾患。

脳梗塞はどちらかというと、脳外科よりも神経内科(=脳神経内科)の領域。

手術適応な脳梗塞もあります。

脳卒中の8割を占めています。

毎年約8万人の人が亡くなっています。

脳梗塞は、脳の血管が詰まったり細くなったりして、脳に血流が行かなくなる病気です。

脳は全身のなかで一番ブドウ糖の消費が激しいところで、ブドウ糖をたくさん使っています。

脳はブドウ糖をストックしておくことができません。

脳は全身の酸素の20%も使います。

血流が途絶えて酸素が行かなくなると、たちまち脳は死んでしまします。


いかがでしたか。


脳の勉強は難しいと思いがちですが、分かってくるとこんなに奥深い領域はありません。


脳の病気は身近なところに沢山あります。


他人事と考えずに、いつ家族や大切な人や自分に起こるかも分かりませんから、自分の事として理解していくようにしていきましょう。


このブログでは看護師や医療職だけでなく、一般の方でもできるだけ分かりやすく医療や看護、介護について、また、健康情報について書いていくように心掛けています。

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それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2018年12月27日   更新日:2019年11月18日

脳卒中の言葉の意味を正しく理解する


今日のお話は、脳卒中という言葉についての知識についてです。




● 脳卒中は突然やってくる


脳卒中で突然倒れられた時、本人の動揺と家族の動揺は大変大きいものです。


脳卒中は「ある日」「突然」やってきます。


ついさっきまで普通に生活していたのに、次の瞬間、倒れられる。


トイレに行ったきり帰ってこない・・・ あれ?妙に長いトイレだなあ・・・


トイレに行くと、そこには倒れている家族がいる。


さっきまで普通に会話していたのに、急に呂律が回らなくなり、ご飯をボロボロとこぼす。


あの車、ずーーとそこの道路に止まっているけど、邪魔だなあ。どうしたんだろ?と思って、車に近づくと中でドライバーが倒れているのを発見する。


このように脳卒中は突然やってきます。



● 脳卒中の意味


脳卒中は、


「脳」はそのまま脳の意味です。

「卒」は突然という意味です。

「中」は中る(あたると読みます)。的に中るとかフグの毒に中るとかの中毒にあたる意味です。


つまり脳卒中は脳が突然にあたるのです。


脳卒中は、

「脳梗塞」

「脳出血」

「くも膜下出血」


この3つの病気の総称です。


「カローラ」「クラウン」「アルファード」  この3つは「トヨタ」。 というイメージでしょうか。


「うちのお父さんが乗っている車はトヨタです」

といっても正解ですが、それだとトヨタのどの車かは特定できません。トヨタ車に乗っているので、正解といえば正解です。でもこれだと車種は分かりません。


「うちのお父さんが乗っている車はカローラです」

と言えば、分かりやすいですよね。トヨタ車の中でどの車種かが特定されています。とても具体的であり且つトヨタ車だってことも含めて分かります。



この脳卒中も、ただ脳卒中といってもその中のどの病気かは分かりません。


より特定して具体的に病名をいうとなると、「脳梗塞」や「脳出血」または「くも膜下出血」ということになります。

この3つ以外の脳の病気は、脳卒中とは呼ばないです。


脳卒中はこの3つだけなのです。



● 昔は違う言い方をしていた


昔は脳卒中のことを「中風(ちゅうぶ)」と呼んでいました。


地方によっては「ちゅうふ」とか「ちゅうぶう」とか言います。


主に脳血管障害の後遺症のことを指します。


実は亡くなった僕の祖父は脳卒中にかかり左半身麻痺だったのですが、

生前は自分のことを「俺は中風なんや」とよく言っていました。


昔は今みたいにMRIやCTなどが無かったので、どうして突然こんなことが起こるのかよく解らなかった。

どうも頭に何かあったのだろうとは分かっていたのでしょうが、詳しくは分からなかった。


昔の人は「きっと悪い風に中ったんだ」と考えました。


だから「中風」と呼んだのです。


入院してくる超高齢者の患者さんのなかには、いまだに中風と自分のことを言う患者さんもいます。


最近の人はもう誰も言わないと思いますし、そもそもこの言葉を知らないのではないかと思います。


今は脳の血管に異常がおこることで発生することが分かっていますから、脳卒中のことを正確には、 「脳血管障害」と言います。



● 難しいと思うなら、まず言葉の意味を知ってみる


看護師のなかでも、その辺がちゃんと理解できていない人がいます。


看護学生もまだまだ勉強不足で、そこをちゃんと理解していない人もいます。


一般の方も脳梗塞と脳卒中の言葉の定義をちゃんと理解できていない方はたくさんいらっしゃいます。


脳の病気というと、なんだか難しそうだなあと思われることが多いのですが、 まずは言葉の定義、意味をしっかり理解することから始めるといいと思います。


言葉の意味を理解すると、どうしてこの漢字が当てはめられているのかがわかり、病気の本質的なことが理解しやすくなります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2018年11月24日   更新日:2019年11月18日


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