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脳卒中の超基礎シリーズのカテゴリ記事一覧

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カテゴリ:脳卒中の超基礎シリーズ

脳には生まれてからある時期までに取得しないと、その後一生機能取得ができないことがある。

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人間の脳は生まれた時はとても未熟なもので、時間をかけて成熟していきます。

成熟の速度は、脳の部位によって差があります。なかには生後数年を要する部位もあります。

脳が機能を取得すべく、学習している期間といえます。

もし、ある時期までに機能が取得できなかったら、一生にわたり失われたままになるものもあり、その時期を「臨界期(りんかいき)」と呼びます。

ちょっとその実例をご紹介します。





◆ 親に棄てられオオカミに育てられた子のその後は。

有名な話があります。

昔、生後親に棄てられてオオカミに育てられた子が発見されました。

推定7・8才。

保護され、その後いろいろな教育を試みましたが、結局、言葉を話させることはできませんでした。


言語を母国語として習得する臨界期は六ヶ月ごろから始まって十二才くらいまで、言語の習得は六才と言われています。


つまり推定7・8才で保護され、そこから言葉の教育を受けても結局習得できなかったということは、やはり、機能によってはある時期までに習得しないと、そのあと一生取得できない機能があるということです。


◆ 知能は年齢を重ねるとともに発達する。

今までの知識や経験を結集して、場に応じた適切な答えを導き出す能力で「結晶性知能」と呼ばれるものがあります。

最近の研究では、この「結晶性知能」は高齢になっても発達することが明らかになっています。


長い年月にわたって蓄積された多くの知識や経験を、新たな神経回路によって結びつけることにより引き出されるのです。


◆ 脳に刺激を与え続けよう。



知能は歳を重ねても発達するとお話しました。

そのためには、何歳になっても、普段から脳を使う習慣を持ち、意欲的に生きること、興味を持って生きることです。


刺激を受けることで神経細胞の死滅を抑制します。

そして新たな神経回路の形成につながります。


このことは、高齢者の脳を調べたところ、歳を取っても知性を磨き続けた人は長生きで、神経細胞の特記が伸び、新しい神経回路が形成されたという報告から証明されています。


◆ 歳だから・・・なんて関係ない。好奇心旺盛に生きよう。

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脳は刺激を受けると活性化します。

違う表現ですと、「老けない」ということです。


絵を見る、映画を観る、音楽を聞く、誰かに会いに行き話をする、旅行に行く、新しいお店に入ってみる、など何でもいいのです。

新しいことをやるのがおすすめですが、普段をちょっと違うことをするだけでも脳に刺激になります。


そう、チャレンジしている人って若いんです。


なにも難しいことをしろということではありません。

本を読むということでも立派な刺激です。

なんならブログを書くとか、読むとかでもいい刺激になります。

あっ!もう脳が刺激を受けてますね!ヽ(^o^)丿


それではではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

野菜・果実・魚介類不足、それと塩分摂りすぎで脳卒中リスクが約3倍に!

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脳卒中の危険因子といては、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病等があります。

これから分かることは、脳卒中は生活習慣が主な原因になっているということです。

もちろん、生活習慣だけが原因ではありません。

もともとの血管の状態や心不全や遺伝など、もろもろの要因があることはあります。


そのような中で、滋賀医大で死亡リスクが約3倍になる食生活を発表しました。

以下引用です。



時事通信社

滋賀医科大(大津市)は7日、食事と脳卒中や心臓病といった循環器疾患による死亡リスクとの関連を分析したチャートを初めて作成したと発表した。野菜や果物、魚介類の摂取量が国の推奨量より少なく、食塩が多い場合、死亡リスクは約3倍に高まるという。

 同大は1980年の国民栄養調査に参加した男女9115人を2009年まで追跡調査した。その結果、推奨量をすべて満たす場合に比べ、野菜や果物、魚介類の摂取がいずれも半分未満で食塩が多い場合、死亡リスクは2.87倍になったことを確認した。






◆ 要約

野菜、果実、魚介類が推奨摂取量の半分で塩分摂りすぎだと、死亡しすくは約3倍になる。




◆ 解説

1980年(昭和55年)の国民栄養調査のなかで、「食品の摂取状況」というのがあります。

この「食品の摂取状況」を1980年(昭和55年)と2009年(平成21年)を比べてみます。




・「緑黄色野菜」昭和55年大人1人/日55g → 平成21年 93.4g(✙38.4)

・「その他の野菜」昭和55年大人1人/日200g → 平成21年 165.3g(-34.7)

・「魚介類」昭和55年大人1人/日92.5g → 平成21年 74.2g(-18.3)

・「食塩摂取量」昭和55年大人1日/日13.0g → 平成21年 10.7g(-2.7)


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「野菜は体にいい」と広まっていることもあり、最近になるにつれて野菜をたくさん摂るようになりました。

その他の野菜とは、緑黄色野菜以外の野菜のことで、たとえば大根とかたまねぎとかです。


あと昔に比べて魚を食べなくなってきましたね。


塩は、「塩分とりすぎは体に良くない」と広まった結果、気に掛ける人が多くなったのでしょう。

現在では成人の1日の塩分摂取量は、10g以下を推奨されています。

もうちょっと詳しく言うと、成人男性は8g以下、成人女性は7g以下です。


やはり野菜中心のバランスのとれた食事に勝るものはないのでしょうね。


◆ 塩分控えめでも美味しくなる方法
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あと塩分ですが、塩分控えめだと味気なくて嫌だなあと思っている人には、ちょっとした工夫で塩分控えめにできます。

・とんかつやお刺身の上からソースやお醤油をドカドカかけるのをやめて、小皿にチョンチョンと付けて食べる。

・お味噌汁の底だまりを残す。

・ラーメンの汁を飲み干さない。

・おかき、せんべい、漬物類をほどほどに。

・塩の代わりに香辛料やハーブなどを上手く使うことで、パンチの効いた味が出せる。

・お焦げも大切な風味。


一度お試しください。


それではではでは最後まで読んでくださってありがとうございました


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医師の説明で分からないことがあれば、遠慮なく聞いてください。

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家族が入院しているとき、病院で主治医とインフォームドコンセントやカンファレンスで話をする機会があると思います。

もしその席で、医師の言うことで分からないことがあれば、遠慮なく聞いてください。

ちゃんと分かっていないのに、ある程度のところで「ハイハイ」といかにも理解しましたよという態度で終わってしまう家族さんもいるからです。




◆ 医師はなるべく平易な表現を使って説明するが、それでも難しい言葉がある。

医療者は患者さんやご家族に説明をするときは、なるべく簡単な言葉で医療の説明をするように心掛けています。

これは、医学部や看護学部等の養成学校で、そのように教育を受けているからです。

私も看護学校のとき、教員からそのように教わりました。


医師も分かっているのですが、忘れているのか、気が付いていないのか、中には難しい医療用語をそのまましゃべってしまっていることがあります。

真相は分かりませんが、いずれにしても、難しい医療用語で話してしまう医師は少なからずいます。

数々のインフォームドコンセントやカンファレンスに同席してきた私の感想です。


特に緊急な場面では、ちょっとそういう傾向があるのかなと思います。

難しい医療用語だけでなく、簡素化しすぎて、本来はそれほど難しくないことでも、「???」となってしまうこともあります。


最近は医療職ではない方でも、医療の知識は増えてきています。

ひと昔に比べて、皆さん、格段に医療について知っていることが増えています。

それでも、やはり難しい言葉はあるもので、それを簡単な言葉に置き換えて上手く説明できるのが、いい医療者の要素であると思います。


◆ 遠慮なく聞いて大丈夫。本当にちゃんと理解することが大事です。

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「そうは言っても、お医者さんに聞きなおしたり、もっと分かりやすく説明してよと言いにくいし・・」

と思っている方がいるかもしれません。

しかし、私から言わせると、いやこれは一般論として、

「遠慮はいりません。聞いてください」

ということです。

分からない事を医師に聞きなおすことに、遠慮はいりません。

本当に遠慮はいりません。

自分がちゃんと理解することが大事です。

そのための集まりなのです。

あやふやなままにしておくほうが、よくありません。


◆ 医師に聞きにくかったら、看護師に聞いてください

これは、私がよく患者さんやご家族さんに言う言葉です。

インフォームドコンセントやカンファレンスが終わった後、必ず本人や家族さんに聞きます。

なにか分からないことはなかったですか?と。


その場で医師に聞きにくかったら、あとで看護師に聞いてください。

「あれってどういう意味でしたか?」

というように、分からない言葉や表現等、なんでもいいので聞いてくれてかまいません。

医師の説明の補足や解説することも、看護師の大事な仕事ですから。


◆ 患者、家族がちゃんと理解することが最優先です。

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入院している家族がいまどんな状況なのか、これから退院に向けてどうしていくのか、退院した後の生活はどうしていこうかなど、インフォームドコンセントやカンファレンス等は、とても重要な話しが詰まっています。

なので、患者本人やご家族さんがしっかり理解することが大切です。

そのための場ですから。


遠慮のかたまりで、その場をやり過ごしてしまうのは避けましょう。

何度もいいますが、分からないことを聞きなおすことは恥ずかしいことではありません。

むしろ、ちゃんと分かろうとしているということですから、いいことなのです。


それではではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

リハビリはまず歩くことにこだわる。自分で移動することをあきらめないという基本的な考え方

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人間は二足歩行をするのが、そもそも自然なのです。

リハビリをするときは、とにかくまず「歩行」にこだわってアプローチをすると思いますが、これにはこうした考えがあるからです。

リハビリで歩行ということについて、セラピストたちはどう考えながらやっているのでしょうか?




◆ 座るよりも、歩く。これが前提にある。

「座る」と「歩く」ならどちらが身体にとって自然でしょうか。

それは「歩く」ほうです。

それほど歩くということは、人間にとって大切なこと。

歩くことで頭もクリアになったり、下肢のふんばりが効くようになれば姿勢が保持しやすく嚥下障害の方の嚥下改善にもつながります。


この歩くという行為には、多くの器官が多くの動きを制御しながら可能になる、実に複雑な動きといえます。


それゆえ、事故や病気などで二足歩行に障害がおきると、それを取り戻そうとすることは本当に難しい。

単に足だけにアプローチをしてもうまくいきません。


脳卒中により本来、歩行時に必要な機能がうまく働かなくなり、歩くときにフラフラとふらついたり、脚に力が入らなかったり、脚の振り方が今までと変わってしまったりします。

こうした状態を「できるだけ正常に近づける」という方法を模索していきます。


歩行ができる先には、両手が自由になり、もっと生活の幅が広がる。

だからこそ、リハビリでは歩行にこだわる。

単に「歩けて良かったね」ではなく、その先の生活を見据えて考える。

装具を付けてでも、歩行器を使ってでも、杖を使ってでも、自分で歩けることにこだわってリハビリをしていきます。


◆ 患者さんによっては、福祉用具を使ったり、歩き方を変える。

「歩く」といっても、様々です。

例えば、いつも家の中ばかり居る人では、家の外の要因はあまり考慮しなくてもいい。

家ではリビングとトイレまでの距離が10mくらいなら、伝え歩きでもいいので10m動けたらOKということが言えます。

また、正面を向いて歩くより、壁にある手すりを持って横に歩くほうが適している方もいます。


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杖やシルバーカーがあれば、より安定して歩けられるのなら、それを使ったほうがいいでしょう。

このように、歩くだけでも、いろいろなパターンがあり、ちょっとここでは割愛いたしますが、患者さんに合った移動形態を考えることが大事です。


◆ 自宅や活動範囲に合わせたリハビリを追求していく。

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とはいっても、歩くことが困難な方はいらっしゃいます。

脳卒中では、リハビリ開始から数か月~6ヶ月くらいが過ぎたあたりで、リハビリ効果が薄くなるパターンがあります。

そのほか、諸事情で歩行をすることがかえって危ないという例や実用的でない例もあります。


二足歩行にこだわってアプローチをしていても、歩行することが難しい場合は、患者や家族が望む形態を話し合い、最終的に一番安全な方法で落ち着くことがあります。

私の知っている例では、家の中を這って移動している方もいます。

でも本人や家族はそれでいいのです。

なんせ自分で自由に家の中を移動できるのですから。しかもコケることはありません。


このように歩けるに越したことはありませんが、事情によりグッと移動形態を落としてでも自分で自由に動けるほうがいいこともあります。


それではではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

分かりやすい脳梗塞 ⑷

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「脳卒中の超基礎シリーズ」で今回は『分かりやすい脳梗塞 ⑷」です。

内容は時間が勝負ということです。




◆ 発症したばかりの脳梗塞は時間との戦い

脳梗塞にかぎらず、脳卒中はどれも時間との戦いです。

脳梗塞は脳の血管が詰まることでその先に酸素や栄養がいかなくなり、その血管が支配している脳の組織が死んでしまう病気です。


脳血管が詰まってしまったとしても、すぐに脳細胞が死んでしまうわけではありません。

脳血管が詰まっても、幸いなことに、側副血行路というバイパスみたいな細ーい血の通り道があちこちにあります。

メインの血管が詰まってしまうので大変な事態ではありますが、この側副血行路というバイパスがあるおかげで、脳梗塞が発症した直後はまだ助かる予知があるのです。

ですので、脳血管が詰まってしまっても、閉塞した血管の領域がすべて死んでしまうことはありません。

語弊があるといけませんので、もう一度いいますと、脳梗塞が発症した直後であれば、早期に治療ができれば、軽い後遺症ですむかもしれないのです。


◆ 側副血行路(バイパス)には個人差がある。

メインの脳血管のほかにまるでインターネットの回線のようにあちこちに伸びている側副血行路(バイパス)は、個人差があります。

このバイパスがうまく機能してくれて重度の麻痺が発生してもおかしくない状態なので、意外と軽い麻痺で済んでいるとか、逆に亡くなってしまう人もいます。


実際に臨床の現場にいますと、確かにこのような患者さんに出会います。

現場で働いていると側副血行路(バイパス)の存在を意識して患者さんと接していることはほとんどないのですが、脳画像をみるとそれがよく分かります。

中大脳動脈という大きな血管が脳にあります。これが詰まると広範囲の脳がダメージを負います。

通常なら重い麻痺や失語等が起こっても不思議ではありません。しかしそれにもかかわらず、案外軽い麻痺で済んでいる患者さんがいます。脳画像では結構な範囲のダメージがあるのにです。

かたや同じくらいの脳ダメージを負った患者さんがいて、こちらはもう社会復帰がかなり難しいことが予想されるほど重症です。


このようにバイパスには個人差があります。

このバイパスがうまく働いてくれるのかどうかを事前に知る方法はありません。

脳梗塞になったときにバイパスがうまく働いてくれるかは、そのときになってみないと分からないのです。


◆ 詰まった血管を再開通するときの超怖いリスク

血管が詰まってしまった状態がどれだけ長く続いたのかによっても、脳の障害の程度には大きな違いがでます。

血管の詰まりが起こっても、治療によって完全な梗塞がおこるまえに再開通ができれば、ほぼ麻痺などの症状がなく済む場合があります。

関連ページはこちら⇩⇩



これとは反対に、血液が流れなくなって脳細胞が死んでしまった後に血流が再開すると、脳浮腫を起こしたり、血管が破れて脳出血を起こすリスクがあります。

ですので、t-PAという再開通のための薬を使うのは発症から4.5時間と決まっているのです。

これ以上の時間が経ってしまうと、ダメージを負っている脳に重大なリスクが起こる可能性があるからです。

何でもかんでも「やれやれ、ドンドン」では危ないのです。


脳血管が詰まるとその先の脳細胞に血液が届かずに死んでしまう、これは分かったと思います。

しかし、その先の血管それ自体も死んでしまうのです。血管も死ぬのです。

死んだ血管に動脈という圧力の高い血液が流れ込むとどうなるでしょう?

そうです。いとも簡単に血管が破れてしまい出血します。これを出血性脳梗塞といいます。


◆ まとめ

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脳梗塞を発症しても早く治療ができれば、症状を最小限に食い止めることができます。

しかしこれにはリスクがあり、適応する人は限られていますし、どこの病院でもできるわけではありません。

麻痺の程度など症状は、その人のバイパスがどれだ上手く機能してくれるかで変わってきます。

いずれにしても、「あれ?なんか変だ」と思ったら、すぐに119番です!


それではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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分かりやすい脳出血-その種類と症状

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「分かりやすい脳出血」、今回は脳出血の種類と症状についてです。


単に脳出血といっても種類があります。また症状も違ってきます。

今回はこうした違いについて話していきます。




◆ 出血の場所によって違うが、多くはこの症状がでる。

脳出血の症状は、出血の場所によって違いますが、多くは突然の頭痛と吐き気があります。これは最初の段階で起こります。実際には吐き気で収まらず、嘔吐することも少なくありません。

片側の麻痺(片麻痺)が起こり、片側の手足にみられます。

さらに、大出血を起こした場合は、意識がなくなります。


◆ 特に起こりやすいのは、「被殻(ひかく)」と「視床(ししょう)」。

脳出血は特に起こりやすい部位があります。

最も頻度が高いのが、「被殻(ひかく)」と「視床(ししょう)」です。


この二つの場所で出血が起こると麻痺や感覚が鈍くなったり無くなったりする症状がでます。


これは「被殻」と「視床」の間に「内包(ないほう)」という手足を動かす神経や、手足からの感覚を脳へ送る神経が集まっているからです。


この場所で出血が起こると内包にまで出血のダメージが及ぶと、麻痺や感覚障害が起こるということになります。


内包はそれほど運動や感覚に関わっている重要な場所といえます。

内包にまで出血のダメージが及ぶと、出血と反対側の手足に麻痺が出たり(片麻痺)、半身の感覚がなくなったり鈍くなったりします。

例えば、右の脳の内包にダメージがあれば左半身麻痺、左の脳の内包にダメージがあれば右半身まひ、というように出血とは反対側に障害がでます。

これは簡単にいいますと脳の神経伝達が、脳のなかで左右交差しているためです。


内包付近におこる脳出血は、全体の70%ほどを占めています。


◆ 脳の表面付近に出血が起こると、皮質下出血。

脳の表面付近の下には神経線維がたくさん集まっている白質(はくしつ)と呼ばれる所があります。

ここに出血がおこると、皮質下出血といいます。

症状は、出血した部位によって決まります。

例えば、右の後頭葉(脳の後ろ側)に出血がおこると、視野の左半分が見えなくなります。

また、言葉をつかさどる所に出血をすれば、失語症の症状がでます。


◆ 小脳に出血が起こると、めまいや、バランスが悪くなる。

小脳という頭の後頭部と首の付け根付近にある脳に出血すると、後頭部や頭全体の激しい頭痛と吐き気、嘔吐があり、めまいを伴うことが多いです。


小脳はさまざまな感覚情報が集まる場所です。体のバランスをとっているのも小脳のおかげです。


運動神経の障害されない部位ですから、麻痺は起こりません。

手足のバランスが悪くなり、まっすぐ歩けなくなったり、細かい作業ができにくくなったりします。


◆ 一番怖いのは、脳幹出血。

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脳幹(のうかん)は、脳のなかでも生命維持に関わっている重要な部位です。

脳幹のなかでも「橋(きょう)」という所で出血することが多いです。


脳幹はもともと親指くらいの小さな部位ですから、たった10ml程度の小さな出血でも発症後数分で意識がなくなり、両手両足が動かなくなり呼吸が止まり、そのまま死亡してしまうことがあります。

それくらい脳出血のなかでも脳幹出血は重症なのです。


ちなみに脳幹は医師も触れないほど重要な部位ですから、出血した血を取り除く手術は適応外です。


◆ まとめ

・脳出血の症状は、出血の場所によって違いますが、多くは突然の頭痛と吐き気があります。

・最も頻度が高いのが、「被殻(ひかく)」と「視床(ししょう)」です。

・内包にダメージが及ぶと、出血と反対側の麻痺や感覚障害などが出現します。

・小脳に出血がおきると、手足のバランスが悪くなり、まっすぐ歩けなくなったり、細かい作業ができにくくなったりします。

・一番怖いのは、脳幹出血。そのまま死亡してしまうことがあります。


それではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。



脳卒中と遺伝の話。脳卒中は遺伝するのか?

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脳卒中と遺伝との間に関係性はあるのでしょうか。

実は、脳卒中と遺伝には関係性があるのです。

ではその関係はどのようなものなのでしょう。




◆ 体質には遺伝子が関係している

「うちはガン家系だから・・・」

「うちは糖尿病の家系だから・・・」

と言っている家庭があります。


「ウチの家庭は〇〇だから・・・」ってよく言うものですが、家系と病気の関係は、心臓の病気や脳卒中といった特定の病気が多い家系、ガンが多い家系がよく知られていますよね。


何らかの遺伝的な要因があると思われます。


しかし同じ家庭であれば食事や仕事環境や気候環境など同じような環境で生活をしているので、別に遺伝だけが関係しているとは考えられません。


不規則な生活やよくない食生活をしている家庭は、家族全員がその犠牲となります。

それゆえ、ガンや高血圧などにかかりやすくなる、ということも言えます。


でも高血圧や糖尿病などになりやすい体質には遺伝子が関与します。


こうした体質に関係する遺伝子は一種類ではなく、複数の遺伝子が関わっています。

これを多因子遺伝といいます。

このような要因を持った人が、塩分の多い食事や、カロリーの高い食事や、肥満、運動不足の状態を続けると高血圧になる可能性が高くなります。

糖尿病にも多因子遺伝が関与しています。


◆ 遺伝と強い関係があるくも膜下出血


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脳卒中のなかで、家族性がはっきりしているものに脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血があります。

二親等以内にくも膜下出血の患者さんがいると、そうした家族がない人にくらべて、脳動脈瘤が二倍から三倍の高頻度で見つかることが分かっています。

家族にくも膜下出血の方がいる50歳くらいの年齢の方は、脳ドックを受診したり、頭痛があればMRI検査を受けておいたほうが安心するでしょう。



◆ 遺伝子によって起こる脳卒中

全部が全部、遺伝で脳卒中が起こるのではありません。

基本的に、脳卒中は若い時からの生活習慣が蓄積してきた結果です。

遺伝で発症することは少ないのです。


しかし最近の研究では、遺伝性の脳卒中はあるということが分かってきました。

「ある年代になると、脳卒中を発症するというプログラミングされた人がいる」

ということが分かりました。

こうした人は通常よりも脳卒中になる可能性が高い。

なのでより生活習慣に気を付けていく必要があるのです。


◆ 遺伝が関係しているが、どうすれば予防できるのか?

遺伝的な要因があったとしても、生活習慣に気を付けていれば生活習慣病の予防はできます。

また、適切な治療を受けることで、このあとに引き続いて起こる脳卒中や心臓病の発症を抑えることができます。


なので、「うちは〇〇の家系だから・・・」とあきらめるのは早い。

そんなに心配なら、今すぐ行動です。

適度な運動をしましょう。

野菜中心のバランスのとれた食事をとりましょう。

睡眠はしっかりとりましょう。

不摂生をやめましょう。

塩分の摂りすぎはやめましょう。

笑いましょう。


遺伝が関わっているとしても、生活習慣に気を付けていれば必ず発症するとはかぎりません。

「気を付けなきゃなあー」と思っているだけではだめですよ。

行動しましょう。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。





脳卒中と年齢の関係 - 意欲的な高齢者はやはり元気です。

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脳卒中の超基礎シリーズ、今回は脳卒中と年齢の関係です。


◆ 年齢は脳卒中の危険因子

脳卒中の発症の危険因子は、高血圧、タバコ、多量の飲酒、動脈硬化、糖尿病、メタボリックシンドローム、などがあります。

そのなかで、年齢というのも実は危険因子です。

年齢を重ねるほど、つまり高齢になるほど、脳卒中のリスクが高まるのです。


「そんなこと言ったって、歳をとるのはどうしようもないじゃないか」

という声が聞こえそうですが、そこには年齢による体の変化があるからです。


加齢による高血圧というのがあります。

歳をとると誰でも高血圧になりやすいのです。これは高齢になると動脈硬化が進行することが関係しています。


加齢は自分ではコントロールができないのですが、必ずしも高齢になると誰しも脳卒中になるということではありません。


◆ 歴年齢と肉体年齢との関係性は個人差が大きい

これは多くの医療関係者が実感することですが、多くの患者さんをみていると、歴年齢と肉体年齢との間には個人差が大きいことです。

90歳を超えてもとても元気な方がいますし、60歳でけっこうな高齢に見える方もいます。


高齢になっても元気な方は、いつも何かをしていようとしたり、人とよくおしゃべりをしたり、元気な様子が感じられます。

あとよくご飯を食べるという人も多いように感じます。

大飯食いというのではなく、体格に合った量をちゃんと食べているということです。




◆ 意欲があり何かに挑戦することが老化を防止することが判明

意欲が免疫を高め、老化を防止することが分かってきました。


アメリカの疫学研究者であるスノウドン博士がミネソタ大学で着手し,のちにケンタッキー大学メディカルセンター内サンダーズ=ブラウン・エイジングセンターで取り組む「ナン・スタディ」(ナンは修道女の意味)の研究があります。


これは20年以上も続いている研究です。


「100歳の美しい脳ーアルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち」(DHC)という本にまとめてあります。残念ながら出版社在庫はないとのことですが、もしかしたら古本であるかもと思って調べたら、ありました!

しかも新品。まだ持っている本屋があるんですね。

でもこの記事を書いている2019年3月30日時点で新品在庫が3点しかないので、欲しい方はお急ぎください。


100歳の美しい脳 普及版 ~アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち~

100歳の美しい脳 普及版 ~アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち~

  • 作者: デヴィッド・スノウドン
  • 出版社/メーカー: ディーエイチシー
  • 発売日: 2018/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


これはミネソタ州にあるノートルダム教育修道女会に所属する修道女を対象にして、加齢とアルツハイマー病についておこなわれている研究で、現在も続いています。


この修道女では世間の人とくらべると平均寿命が非常に長く、90歳・100歳以上の方が大勢います。

でも認知症(アルツハイマー病)が少なく、あっても軽いことが報告されています。

また、知的な能力を磨いてこなかった人と、高学歴で教職につき知性を磨き続けてきた人とを比較すると、後者が長生きでアルツハイマー病の罹患率が低いことも分かりました。


これは、修道院という同じ環境で生活していても、知的能力を磨くことで新しい神経細胞を増加させ、活動的で健康な生活を長く送れることになると考えられます。


この研究をおこなったスノードンらは、高齢の修道女の脳を調べました。

活動的な人では、加齢によって減る軸索や樹状突起が減っていなかったと報告しています。


つまりこの研究では、高齢者にも分裂脳をもった神経細胞があるということです。

また、高齢者の脳の中で、神経細胞が実際に分裂し、新しい神経回路を作っていることを示しています。


これは脳がまだまだ元気だということです。

こうした人は脳卒中のリスクも減ります。

先ほどの記述のなかに、認知症が「あっても軽い」と述べましたが、脳卒中もそうです。

分裂する神経細胞が元気だとたとえ脳卒中になったとしてもその後のリハビリ成果がより期待できると考えられます。

意欲とリハビリの関係についても、やはり意欲がある人のほうが、リハビリ効果は出やすいのです。


◆ まとめ

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意欲的で、何かに挑戦している人は、歳をとっても認知症にかかりにくく元気に長く暮らしていけるということです。

100歳になっても本を執筆したり現役で活躍していた医師、日野原重明さんや、80歳でエベレスト登頂した三浦雄一郎さんもそうです。

生きていく目的を持つこと。

新しいことにチャレンジをすること。

一人一人が健康で生きていくために、大切なことです。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


この記事の内容をもっと詳しく知りたい方はどうぞ。

意欲的、挑戦的なことの大切さがよくわかります。⇩⇩

100歳の美しい脳 普及版 ~アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち~

100歳の美しい脳 普及版 ~アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち~

  • 作者: デヴィッド・スノウドン
  • 出版社/メーカー: ディーエイチシー
  • 発売日: 2018/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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分かりやすい脳の基本 ⑸

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「分かりやすい脳の基本 ⑸」ということで、

今回は「脳卒中とストレス」についてです。

昔からストレスはよくないと言われています。

これは本当です。

また、笑いは免疫をアップさせると言われています。

これも本当です。

◆ ストレスと脳卒中の関係

ストレスが多くの疾患を引き起こすことは、広く知られるようになりました。

しかし、ストレスが脳卒中の発症にも関係することは、あまり知られていないように感じます。


実はストレスで脳卒中が発症する?


ストレスは交感神経の緊張を意味します。ということは・・・

高血圧を引き起こす要因となります。

高血圧は脳卒中の危険因子です。

高血圧で血管の壁に常に緊張がかかると、血管壁にダメージがかかります。

また免疫抑制にもなり、結果として健康を損ないます。


このように、やはりストレスは健康にとって強敵と言えるでしょう。


◆ ストレスと生活習慣

皆さんはストレスを感じるとどうなりますか?

ちなみに私は、過食になります!

良くないことは重々わかっておりますが、やってしまうんですよね。反省。


ということで、ストレスは、過食や不眠や飲酒、喫煙、拒食などにも影響します。

多量の飲酒や喫煙、過食につながりやすい。

さらに運動不足にもなりやすいのです。

これらが総合的に影響を受けて肥満になったり、生活習慣における健康を損なってしまうのです。


◆ ストレスには「笑い」が効く

ここまで述べてきてあれですが、ストレスは必ずしも悪という訳ではありません。

ストレスがあるから仕事やスポーツで頑張れるのです。

「よし、やってやる!」「絶対勝つ!」

と自分を奮起させることもできるのです。

つまり、適度なストレスはプラスに働くのです。


では結局どうするのか?


それはストレスと上手く付き合っていくこと。


できるだけ休日は、好きなことをする。

欲を言えば、身体を動かす系がいいでしょう。


あと「笑い」です。

笑いがストレスを解消し、免疫力を高めることが分かっています。

これは脳卒中だけでなく、さまざまな病気の予防になります。

大笑いをした後にコレステロールの値を測定すると低下したという研究結果もあります。


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おもしろいことに、作り笑いでも、健康に効果があるそうです。

わざと笑顔を作っても、脳は騙されるんですね。

「つらい時こそ、笑え!」

という青春ドラマのようなことは、あんがい効果ありということです。


ストレスの負荷やそれに耐える耐性、発散方法など、人それぞれなので「こうしたらいい」というのは難しいのですが、とにかくストレスをため過ぎないこと。


でも、やはり現代社会では難しいことですよね・・・


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。



分かりやすい脳の基本 ⑷ 

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今回は脳の機能の中でも、「言語」について少しお話をします。


◆ 分かりやすい脳の基本 ⑷ - 言語について -

およそ600万年前にチンパンジーと共通の祖先である猿人類、そのあと180万年前に原人類が現れました。

さらにその後、ヒトに近いネアンデルタール人と現生人類が分かれました。およそ37万年前のことです。


この皆さんもよく知っているネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に3万年前頃まで生存していました。

現在のヨーロッパ人の祖先であるクロマニョン人と約1万年間、共存していたことが分かっています。


ネアンデルタール人は我々人類の祖先と違い、言語を持っていませんでした。

そして絶滅してしまいました。


言葉を持つことができなかったネアンデルタール人は、生存競争に敗れたのです。


私たち人類は言語を獲得できたことで、他の動物とは桁違いの進化を遂げました。

チンパンジーは構造的に発声はいくつかできても、発語は難しいのです。

声でコミュニケーションを取ってはいるものの、簡単なことしかできません。


私たちは言葉を使って生活をしていますが、これは本当に奇跡のようなことです。


私たちの祖先が言語を使える構造に進化し、実際に発語し、言葉がどんどん生まれました。


脳の進化だけでなく、声帯などの器官の進化もあります。


この言葉を大切に使っていくことで、気持ちよく社会のなかで生きていけるのでしょう。


◆ 人類の祖先は、たった一人のアフリカの女性「イヴ」にたどり着く

すべての人類の祖先は、約20万年前にアフリカに生まれたたった一人の女性にたどり着くと言われています。

細胞に含まれるミトコンドリアやDNAを解析した結果から導かれるのです。

その全人類の祖先である一人の女性の名前は「イブ」と名付けられています。


地球上にはさまざまな生物がいて、それぞれ進化をしているわけですが、人類の脳は他のどの生物よりも進化を遂げています。


脳は言語、精神、創造、思考など人として最も重要な働きをしている臓器です。

脳の形成に関与する遺伝子が、ヒトの遺伝子全体の中で最も多いとされています。


脳が私たちにとって重要なことが分かりますね。

◆ 言葉には力がある

言葉は物理的には空気の振動に他なりません。

しかし頭で考える時にも言葉は必要です。
私たちの社会では、言葉は単なる空気の振動にとどまらず、大きな力を持っています。
言葉で人を幸せにし、革新を生み、悲しませ、殺すこともできます。
単なる空気の振動以上に、強い力を持っているのが言葉です。


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先ほどチンパンジーは言葉をつかってコミュニケーションをするのは、ごく簡単なことしかできないと書きました。

実はチンパンジーと人類との遺伝子の違いは、1.2%程度のごくわずかしか違いません。

たった1.2%しか違わない遺伝子でも、言葉を自在に操るということは大きな違いの一つでしょう。


私たちは脳とその他の器官の進化によって、言葉を使い、言葉を発展させ、ありとあらゆることを表現できるようになりました。

言葉には力があります。

脳がもたらす言葉の力を今一度、見直してみてはいかがでしょう。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。




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