脳出血についてお話をしていきます。




● 脳出血の合併症


脳出血の患者さんは再出血がなくても、入院後に悪化することがあります。


その原因として、


「水頭症」と「脳浮腫」


があります。


水頭症には先天的なものと二次的なものがありますが、後者の典型例が脳出血による水頭症です。


血腫が破れて脳室という水が溜まっている空洞にまで出血が及ぶと、水の循環障害が起こります。


この水というのは、髄液(ずいえき)といいます。


以前、脳は水の張ったプールに浮かぶお豆腐のようだと表現しました。


水の中に入っていれば衝撃から強いのです。


この水のプールが人間にもあります。


脳は髄液という水の中にあります。


周りが水で囲まれているので、お豆腐のようにもろい脳でも形が崩れずに、しかも衝撃に強い。


うまくできていますね。


この髄液という水は、生まれては吸収されて、毎日循環しています。


髄液が生まれるところと吸収されるところは別の場所です。


脳室は髄液が溜まっている空洞です。


そこにまで出血がおよぶと、水が真っ赤に血に染まります。


髄液は無色透明の水です。


出血が大きいと髄液にまでおよんで、血のプールに脳が浮かんでいるようになります。


この出血が悪さをして、髄液を吸収するのを邪魔してしまうと考えられています。


その結果、脳室寧に髄液が溜まって脳室を拡大させ、脳圧亢進をおこすのです。


これが原因で意識障害が悪化することがあります。


● 脳出血の水頭症の基礎



水頭症は、髄液の循環障害の程度によって、脳出血の発症からすぐに起こるとこもあれば、


数時間から数日たってから起こることもあります。


脳出血発症翌日以降に患者さんの意識状態が悪くなったときには、水頭症の合併や増悪を考えて検査をします。



脳の中の血腫が大きいと周囲の脳を圧迫するため、脳の周囲に循環障害がおこって、


いわゆる脳が腫れた状態、「脳浮腫」を引きおこします。


脳はダメージを受けると、腫れることがあります。


ボクシングで顔がパンパンに腫れているボクサーを見たことはないでしょうか?


イメージ的に、顔はダメージを受けると腫れるように、


脳もダメージを受けるとパンパンに腫れてくることがあります。



さてこの血腫は、時間が経つと血液成分が破壊されて、周囲の脳にさまざまな破壊産物が浸透します。


これが脳浮腫を増大させます。


多くは出血後、6時間以降におこります。


長い場合は、数日から一週間以上続くこともあります。


脳浮腫が持続すると、意識障害や麻痺の改善を遅らせる原因になります。


● まとめ


●入院後に悪化する原因として、「水頭症」と「脳浮腫」がある。
●脳室という水が溜まっている空洞にまで出血が及ぶと、水の循環障害が起こります。

●髄液という水は、生まれては吸収されて、毎日循環している。

●出血が悪さをして、髄液を吸収するのを邪魔してしまうと考えられている。

●水頭症は、脳出血の発症からすぐに起こるとこもあれば、数時間から数日たってから起こることもある。

●多くは出血後、6時間以降におこる。



いかがでしたか。


だんだんと難しくなってきました。


少しずつ進んでいきます。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月9日   更新日:2019年11月18日