「ムーちゃんと手をつないで」~自閉症の娘が教えてくれたこと~おすすめ本 レビュー
最近はマンガを読まなくなってしまいました。
昔は三度の飯よりも好きだったんですが。
ところが、久々に自分から読んでみようと思ったマンガに出会いました。
それが「ムーちゃんと手をつないで ~自閉症の娘が教えてくれたこと~」です。
◆ 全3話からなる、自閉症のムーちゃんのお話
自閉症のことをどれだけの人が正しく知っているでしょうか。
比較的若い人なら名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。年齢が上がるにつれて知っている人は少なくなると考えますが、自閉症というなんだかよく分からないコトバに、根拠のない嫌な感じを抱く人もいるのです。
ご自分の周りを見てください。
自閉症の子どもはいますか。
私の周りにはいません。
もちろんいる方もいらっしゃるでしょうが、それくらいの少なさです。
疫病管理センターの報告によると、ちょっと古いデータですが2007年現在、150人に1人が自閉症と診断されています。
4対1という確率で男児の発症率が女児を上回ります。
文部科学省の調査では、全ての発達障害での男女比は、2.4:1という結果でした。
さて物語はある若い夫婦と一人娘の「むーちゃん」のお話です。
この本は著者のみなと鈴さんの実体験から、とてもリアリティのあるストーリーです。
冒頭に自閉症のデータを少しご紹介しましたが、なぜそれを先に出したかというと、自閉症の方に会ったことや関わったことがないゆえに、深刻な誤解をしている方が大勢いるからです。
本人やそのご家族は、周りの無知ゆえに、たいへんな苦労とストレスを抱えていることが少なくありません。
自閉症のことをなんでもいいので、正しく話してみてください。
できますか?
できない人が圧倒的なのです。
この本のなかには、「ムーちゃん通信」という解説が載ったコーナーがあります。
ぜひそこも読んでください。
より一層マンガの中身がよく理解できますし、登場人物が悩んでいる理由がよく分かります。
初めて自閉症という現実を知った時、わが子をすんなりと受け入れられるでしょうか。「えっ?なにそれ」となりませんか。そのあと、強烈な不安が襲ってくるのです。
そして親だけでなく、周りの人もなんだかよく分からないゆえに、あえて強がってみたり、励ますつもりで心にもないことを言ってしまったり。
悪気がないのは分かっていますが、お互いに傷ついてしまう。
この本を読んで、「あー、こういうのは他の病気でもありうることだな・・」と思いました。
自分の知らない病気だから、誤解したまま偏見を持ってその人を見てしまう。
まずは、自分が知らないなら、知ることから始めましょう。
知ることで、自分が誤解していたことに気付くはず。知ることで、やさしい気持ちと共感が芽生えるはず。
「ムーちゃん」はほんとうに無邪気でかわいい子です。
自由で自分に正直なのです。
「ムーちゃんと手をつないで」は、手探りの両親が、それこそ手をつなぎながら一緒に歩んでいくストーリーです。お互い、できないところは支えればいいのです。一人で頑張る必要はありません。
自閉症に限らず、これはどの病気にも言えることではないでしょうか。
本はしっかりとしたボリュームがありますが、気づけばあっという間に読んでしまいました。
読んだあとは、自閉症にたいする見方が変わっています。
必ず変わります。
もし今まで、自閉症に関して誤解をしていたなあと思っていたら、きっとこう変わるはずです。
「あの子は、そういうタイプの子だから」
◆ 自閉症や関連病、症状といった言葉の解説付き
先の項目でもご紹介しましたが、「ムーちゃん通信」という病気や症状などの解説コーナーが、本のなかにあります。
このコーナーは医療ライターの方が書いている、とても分かりやすい解説です。
もうこのコーナーだけでとりあえず十分です。それくらいしっかりと書かれています。
そもそもマンガが主体ですから、文字のコーナーが目立っては・・・と思いがちですが、このコーナーはすとーりーの合間にそっとやさしく差し込まれています。
しかも絶妙なタイミングで差し込まれていますので、物語がより分かりやすくなります。
とくに自閉症に詳しくない方に読んでいただきたいので、こういう解説はたいへんありがたいと感じました。
◆ 自閉症のこと、もっともっと多くの人に知ってほしい
もう、それに尽きます。
自閉症のことをもっともっと多くの人に知ってほしい。
「ムーちゃんと手をつないで」は、まさにそのためにあるのです。
知らないから恐れる、知らないから偏見を持つ、知らないから不安になる。まだまだ偏見や差別があります。いわれのない被害を受けている方がたくさんいます。
まずは知りましょう。
「ムーちゃんと手をつないで」はそのお手伝いをしてくれます。
正しい知識を持つことは大切です。
間違った知識や知識不足は、偏見を生みます。
「そういえばよく知らないなあ」「自閉症の子は知っているけど、どういう病気かまでは・・・」
という方。そして、自閉症をもっと知ってほしいと願っている方が自閉症を紹介したいツールとしても最適でしょう。
「ムーちゃんと手をつないで」はこうした方、すべてに答えることができます。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
初出掲載:2019年3月2日 更新日:2019年11月25日
凄く素敵な記事ですね!
自閉症に興味がもてる記事だったと思います。
小説ではなく漫画ということなので、漫画の方が頭に入りやすいので是非読んでみたいと思います。
この本は全国の本屋さんで購入可能ですか?
くまみはカレーライスが食べたいです!さん>>記事を読んでくださってありがとうございます。
マンガは頭に残りやすいのは科学的にも正しいみたいですよ。
もちろん、買えますよ!
カレーもぜひ買ってくださいね!