さて脳出血についての続きです。



ゆっくりじっくり、学んでいきましょう。



● 脳出血は根本的な治療法がない




脳の周りのぐるっと囲っている白いのは頭蓋骨。

中心部の白くニョロっとバナナのように写っているのが出血。

CT画像では出血、頭蓋骨は白く写ります。





現代の医療では、血管が破れて噴き出た血によってボロボロにされてしまった脳の部分は二度と元に戻らないのが問題です。


手や足を動かす神経線維のそばで出血が起これば麻痺が残りますし、視野を司る部分の近くで出血が起これば目が見えなくなります。


この「出血」は、じわーっと出てくる出血ではなくて、庭の水まきのホースから出る水のように、勢いの強い出血です。


その勢いの強い出血によって、傍にある脳神経がボロボロにされてしまうのです。


したがって、脳出血に根本的な治療法はないのが現実です。


今の医療でおこなわれているのはあくまで、二次災害を防ぐための治療です。


つまり、起こってしまった出血によるダメージは治療できない。


これ以上ダメージが広がらないように、再発しないように、治療をしていく。


これが病院で行っている脳出血の治療になります。


集中治療室でなにをしているのかというと、これをしているわけです。


決して、起きてしまった脳出血を治す治療をしているわけではありません。



高血圧であれば降圧剤を投与して血圧を下げる。


糖尿病であれば血糖コントロールをする。


呼吸が不安定なら人工呼吸器を使ったり呼吸が楽になる薬を投与するなど。



出血の周辺の問題に対してアプローチをしています。


頭蓋骨をあけて、出血した血を取り除く血栓除去術という手術があります。


これは頭蓋骨をあけて、そこから吸引して溜まっている血を吸いとります。


出血していれば止血します。


溜まっている血が脳を圧迫しているからです。


基本的には血を吸いとるだけの手術です。


この手術でもボロボロになった脳に対しての治療ではなく、これ以上悪くならないようにするのが目的です。



脳梗塞では条件さえ整えば根本的な治療も存在するのですが、残念ながら脳出血にはまだありません。



● まとめ


●現代の医療では出血によってボロボロにされてしまった脳の部分は二度と元に戻らない。

●勢いの強い出血によって、傍にある脳神経がボロボロにされてしまう。

●今の医療でおこなわれているのはあくまで、二次災害を防ぐための治療です。

●起きてしまった脳出血を治す治療をしているわけではありません。



今日はちょっと短めでしたが、まあ焦らずしっかりと基本を理解していきましょう。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月9日   更新日:2019年11月18日