今日のお話は、脳卒中という言葉についての知識についてです。




● 脳卒中は突然やってくる


脳卒中で突然倒れられた時、本人の動揺と家族の動揺は大変大きいものです。


脳卒中は「ある日」「突然」やってきます。


ついさっきまで普通に生活していたのに、次の瞬間、倒れられる。


トイレに行ったきり帰ってこない・・・ あれ?妙に長いトイレだなあ・・・


トイレに行くと、そこには倒れている家族がいる。


さっきまで普通に会話していたのに、急に呂律が回らなくなり、ご飯をボロボロとこぼす。


あの車、ずーーとそこの道路に止まっているけど、邪魔だなあ。どうしたんだろ?と思って、車に近づくと中でドライバーが倒れているのを発見する。


このように脳卒中は突然やってきます。



● 脳卒中の意味


脳卒中は、


「脳」はそのまま脳の意味です。

「卒」は突然という意味です。

「中」は中る(あたると読みます)。的に中るとかフグの毒に中るとかの中毒にあたる意味です。


つまり脳卒中は脳が突然にあたるのです。


脳卒中は、

「脳梗塞」

「脳出血」

「くも膜下出血」


この3つの病気の総称です。


「カローラ」「クラウン」「アルファード」  この3つは「トヨタ」。 というイメージでしょうか。


「うちのお父さんが乗っている車はトヨタです」

といっても正解ですが、それだとトヨタのどの車かは特定できません。トヨタ車に乗っているので、正解といえば正解です。でもこれだと車種は分かりません。


「うちのお父さんが乗っている車はカローラです」

と言えば、分かりやすいですよね。トヨタ車の中でどの車種かが特定されています。とても具体的であり且つトヨタ車だってことも含めて分かります。



この脳卒中も、ただ脳卒中といってもその中のどの病気かは分かりません。


より特定して具体的に病名をいうとなると、「脳梗塞」や「脳出血」または「くも膜下出血」ということになります。

この3つ以外の脳の病気は、脳卒中とは呼ばないです。


脳卒中はこの3つだけなのです。



● 昔は違う言い方をしていた


昔は脳卒中のことを「中風(ちゅうぶ)」と呼んでいました。


地方によっては「ちゅうふ」とか「ちゅうぶう」とか言います。


主に脳血管障害の後遺症のことを指します。


実は亡くなった僕の祖父は脳卒中にかかり左半身麻痺だったのですが、

生前は自分のことを「俺は中風なんや」とよく言っていました。


昔は今みたいにMRIやCTなどが無かったので、どうして突然こんなことが起こるのかよく解らなかった。

どうも頭に何かあったのだろうとは分かっていたのでしょうが、詳しくは分からなかった。


昔の人は「きっと悪い風に中ったんだ」と考えました。


だから「中風」と呼んだのです。


入院してくる超高齢者の患者さんのなかには、いまだに中風と自分のことを言う患者さんもいます。


最近の人はもう誰も言わないと思いますし、そもそもこの言葉を知らないのではないかと思います。


今は脳の血管に異常がおこることで発生することが分かっていますから、脳卒中のことを正確には、 「脳血管障害」と言います。



● 難しいと思うなら、まず言葉の意味を知ってみる


看護師のなかでも、その辺がちゃんと理解できていない人がいます。


看護学生もまだまだ勉強不足で、そこをちゃんと理解していない人もいます。


一般の方も脳梗塞と脳卒中の言葉の定義をちゃんと理解できていない方はたくさんいらっしゃいます。


脳の病気というと、なんだか難しそうだなあと思われることが多いのですが、 まずは言葉の定義、意味をしっかり理解することから始めるといいと思います。


言葉の意味を理解すると、どうしてこの漢字が当てはめられているのかがわかり、病気の本質的なことが理解しやすくなります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2018年11月24日   更新日:2019年11月18日


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