こんにちは、ピストンです。

今日のお話は、「退院」です。


病院は毎日のように、入院と退院が繰り返されています。

退院のときに、涙をポロポロと流されて家に帰っていく患者さんを見ると、僕たちもホロリとなってしまいます。

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● 退院前になると体調を崩す患者さんが多い


退院日が近づいてくると、
たとえば、発熱したり、転倒して大怪我(骨折)をしたり、意識レベルが低下したり、ご飯を食べなくなったり、などのイベントが発生して、患者さんの状態がそれまでよりも悪くなってしまうことがあります。

それまでは、特に何もなく元気にリハビリに励んでいらっしゃった患者さんでしたが、急にそのようなことになってしまう。

そういう患者さんは多いです。

僕たちはいつも患者さんの体調には注意しているのですが、退院日が近づいたら、特に気を使います。

● 退院日前に体調を崩すとどうなるか?


これはケースバイケースですが、退院日を延期することがあります。

予定していた退院日までに症状が良くならないという予測がされる、または自宅での療養が困難と判断される場合は、退院日の延期を検討されることになります。

仮に、退院日に症状が残っていたとしても軽度の健康不良の場合は、そのまま退院されることもあります、

ですから、何が何でも完治しないと退院できない、という訳ではありません。


患者さんによっては元々、在宅診療を受診する予定の方もいらっしゃいますし、かかりつけ医に通院される方もいます。

大抵の患者さんは、例えお仕事をしている方でも、退院後すぐに働くことは稀で、しばらく休暇をもらって徐々に身体を慣らしていきます。


退院後に老健などの施設に移られる予定の場合は、施設からの要請もあって、しっかり治してから退院するということもあります。

施設側が受け入れてくれる場合は、そのまま予定通り退院することもあります。


● なぜ退院日が近づくと体調を崩すのか?


科学的な検証はないのですが、

個人的な見解では、回復期リハビリテーション病棟では入院期間がすごく長いので、しかも体調を崩す患者さんは80代90代の超高齢であることが多く、タイミング的に退院日と重なる時期に疲れてしまうのではないかと考えます。

回復期リハビリテーション病棟では、最長6ヶ月入院期間があり、最初に入院した急性期病院での入院期間を含めると、更に長い期間入院していることになります。

一般的に患者さんは自宅に帰りたいと思っています。早く帰りたい。

でも、突然、半年も他人と一緒に暮らすことになるのです。

そのストレスは相当のものです。

他人と暮らすだけでなく、自分の病気についての不安もあります。将来の不安もあります。


ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、回復期リハビリテーション病棟では「入院料」に

「入院料1」 「入院料2」 「入院料3」・・・・「入院料6」

という基準が設けられています。

そのなかで「入院料1」を取っている病棟では、重傷者の比率が高くなります。

「入院料1」の基準の病棟では、重傷者(日常生活機能評価10点以上)の割合が、3割以上を求められます。

在宅復帰率は、7割以上を求められます。

その分、看護師の数が多かったり、専属の医師やセラピストが配属されるということになります。

リハビリに力を入れている病院では、この「入院料」を高い基準で取りたいと考えていて、最高レベルの「入院料1」ではもっとも高い金額の診療報酬がとれるのです。


そのような病院では、重傷者の比率が高くなりますから、その分体調を崩す患者さんも多くなる。

しかもリハビリは土日祝も関係なく毎日プログラムがあります。

年末年始も休みなくリハビリがあります。

一般のサラリーマンでも週休二日というのに、リハビリ病棟にいる超高齢患者さんは、無休の毎日リハビリなのです。

これでは時に体調を崩したり、疲れで転倒してしまったりすることも十分考えられますよね。


または、退院まであと少しだから今のうちに目一杯リハビリをしておこうとして、リハビリ時間以外の自由時間に自主訓練を励んでいてケガをしたというケースもあります。

頑張り過ぎちゃうんです。

そういう患者さんもいらっしゃいます。


● 退院日に思うこと

いずれにしても、リハビリ病院にいて家に帰りたいのを我慢して、毎日リハビリに励んでこられた患者さんには脱帽です。

大変しんどいことだったと思います。

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入院時は身の回りのことができなかった患者さんが、退院日には杖で歩いて帰れるようになった。

僕たちもとても嬉しく思います。

一番その思いが強いのは患者さんでしょう。

だから、退院日に涙を流される。


僕はいつも退院の時にこう言います。
「もう二度とここに戻ってこないことを祈っています」

入院するような大病や大怪我をすることなく、安全で安定した生活が送れることを祈ります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。





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