脳梗塞について、分かりやすく書いている「分かりやすい脳梗塞」シリーズ。


できるだけ医療職以外の方でも理解しやすいように説明していきます。






● 脳梗塞の基礎の基礎 - 詰まり方は2種類 -



脳梗塞は脳細胞に酸素とブドウ糖を供給する血管が詰まり、そこから栄養と酸素を得ている脳細胞が死んでしまうことで起こります。



脳の栄養源はブドウ糖です。



脳梗塞の血管の詰まり方は2種類あります。


血栓と塞栓です。血栓(けっせん)、塞栓(そくせん)と読みます。


まず血栓ですが、その場に血の固まりができて血管が詰まり血流を止めてしまうこと。


塞栓は飛んできた固まりがズボッと血管に詰まることです。


どこから何が飛んでくるのか?


多くは心臓から血の固まりが飛んできます。それが脳の血管まで飛んできて脳の血管を詰まらせてしまいます。


この2つが脳梗塞の原因の大部分を占めています。



動脈硬化が進むと血管の中にコレステロールが溜まって血管の壁の内側がボロボロになります。そして炎症を起こして血栓ができて、血管を詰めてしまうのです。


その場所にできた血栓が飛んで、その先にある血管を詰まらせる場合もあります。これが塞栓です。


先程述べたように、心臓から飛んでくるのが一番有名です。


心臓が心房細動といって異常な拍動をした時に、中の血液が揉まれて血が餅のように固まってくることがあります。この血の固まりが心臓から飛び出して血管を通って脳までたどり着いて血管を詰まらせてしまう。これを心源性脳梗塞といいます。


血栓と塞栓のほかに、脳梗塞には「血行力学性の脳梗塞」というものがあります。


これは、たとえば動脈硬化で狭くなった血管があるとします。


血圧低下が起こり血流が弱くなると、一番狭くなった血管の最も血流が少なくなった場所が脳梗塞を起こすということです。



これが脳梗塞の起こる原因の大部分です。

ほとんどは血栓と塞栓です。


ほかにも少ないですがもっと原因はあるんですけど、今はここを抑えておけばいいと思います。



●脳梗塞は大きく3つに分類される



一般的には脳梗塞は次の3つに分けられます。


アテローム血栓性脳梗塞

ラクナ梗塞

心原性脳梗塞



それぞれ見ていきましょう。

まずはアテローム血栓性脳梗塞です。


「アテローム」は日本語でいうと「粥腫(じゅくしゅ)」といいます。血管の壁にコレステロールなどがくっついて溜まります。さらに炎症などが起こって血管の壁がボロボロの状態とイメージしてください。分厚くなって堅くなっている血管の壁ということです。


どうしてこんなことになったのかというと、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣によって動脈硬化を起こしています。


このアテロームが脳の血管にできると、血栓、塞栓、狭窄のすべてが起こる可能性があります。


ボロボロになった血管壁の内側に血栓ができれば、そこで血管を詰まらせてしまいますし、それが飛べば塞栓を起こします。


分厚くなれば当然血管を細めてしまいますし詰まりやすくなります。


アテロームは脳の血管の中でも大きい主幹動脈に起こります。


大きい主幹動脈が詰まるので、比較的広範囲に重症な脳梗塞を起こします。


アテローム血栓性脳梗塞は生活習慣が直接的な原因と言われています。



次にラクナ梗塞です。


「ラクナ」はラテン語で「小さな空洞」という意味です。


つまり、小さな脳梗塞ということです。


1.5㎝以内の小さな脳梗塞のことを指します。



このラクナが脳梗塞の中で一番多い。



脳の血管には太い血管や極細の血管など幅広い大きさの血管があります。


その中でも「穿通枝(せんつうし)」と呼ばれる極細の血管があります。


この穿通枝と呼ばれる極細の血管が詰まることで起こると考えられています。


小さい梗塞なので、人によっては麻痺がなかったり(あっても気付かなかったり)、症状が強く出ないこともあります。


しかし脳梗塞の場所によっては、麻痺が出たり、しゃべりにくくなったり、というように様々な症状がでます。


アテロームよりは、軽いことが多いのが特徴です。


ラクナ梗塞は高血圧が直接的な原因で起こると言われています。



最後に心原性脳梗塞です。


心臓の中でできた大きめの血栓が飛んで、脳の太い血管にズボッと詰まってしまうことで起きる脳梗塞です。


心原性脳梗塞は大きな血管がいきなりドカンと詰まるので、広範囲に脳梗塞を起こし、重症になることが多いです。


広範囲、重症、ということでは、3つの脳梗塞の中で、一番怖い脳梗塞と言えます。


心原性脳梗塞は心房細動という異常な拍動が原因で心臓の中に血栓ができることが直接的な原因になります。




脳梗塞は大きくこの3つに分けられますが、本当は細かく分けるともっと種類は増えます。でもこの「分かりやすい脳梗塞」シリーズでは、いきなりスパルタな勉強はしません。また追々、書いていきます。



いかがでしたが。


いずれにしても生活習慣が深く関わっていることはよく知られている所です。


日頃の予防意識、実行、が大切です。


メタボの方もご注意ください。


考えているだけではだめです。実際に痩せるように、身体を鍛えるように、行動に移さないと意味がありません。


● まとめ


アテローム血栓性脳梗塞

アテロームが脳の血管にできると、血栓、塞栓、狭窄のすべてが起こる可能性があります。

大きい主幹動脈が詰まるので、比較的広範囲に重症な脳梗塞を起こします。

生活習慣が直接的な原因。


ラクナ梗塞

小さな脳梗塞

穿通枝と呼ばれる極細の血管が詰まることで起こると考えられています。

人によっては麻痺がなかったり(あっても気付かなかったり)、症状が強く出ないこともあります。

アテロームよりは、軽いことが多い。

高血圧が直接的な原因で起こると言われています。


心原性脳梗塞

心臓の中でできた大きめの血栓が飛んで、脳の太い血管にズボッと詰まってしまうことで起きる脳梗塞です。

広範囲に脳梗塞を起こし、重症になることが多いです。

心房細動という異常な拍動が原因で心臓の中に血栓ができることが直接的な原因になります(心房細動以外でもありますが、ここではこれを押さえておきましょう)。



また、記事が完成しましたら脳の病気の勉強をしていきたいと考えています。



今日のところはこのへんで。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。