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脳卒中の超基礎シリーズのカテゴリ記事一覧

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カテゴリ:脳卒中の超基礎シリーズ

【予後に関係する】脳卒中は病院選びで決まる?

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脳卒中は突然やってきます。

脳卒中の卒は、「卒然」という意味です。

いきなりということですね。

中は、「中る」(あたると読みます)という意味です。

矢が的にあたるということです。


脳卒中は、脳が突然、病にあたる病気です。

だから本人はおろか周りにいる人もびっくりしてしまって、冷静な判断ができないことがあります。

そういう時は、急いで病院へ。119番してもいいです。

でもどこの病院へ行くのかいいの?

かかりつけ医といっても、そこに腕のいい脳外科医がいるとはかぎらないし(失礼)。

とっさの出来事なのでどこが一番いい治療してもらえるのか分からないですよね。

脳の手術って難しいから、病院選びが大切っていわれても困りませんか?


◆ 救急搬送はある程度「運」



たまたま大きな総合病院に通っているとか、

たまたま有名な脳外科がある病院に通っているとか、

でなければ、どこの脳外科に救急搬送されるのかはそのときの運です。


救急搬送されるときは、救急車からまずかかりつけ病院に連絡します。

たいていは一度でも受診履歴や入院履歴があれば取ってくれます。

もしそういうのがない方でしたら、救急隊からあちこちの病院に連絡をとって「受け入れます。来てください」と連絡があった病院へ搬送することになります。

はじめての病院へ救急搬送されて、そこの脳外科医にみてもらうことになります。

ただし、夜間の場合、夜勤医師に脳外科医がいるとはかぎりません。

もしかしたら、眼科医かも、皮膚科医かも、内科医かも、小児科医かもしれません。

これは運です。


ですが、医師はすべての診療科の病気を勉強していますので、託すしかありません。

昼間になってから脳外科医の担当が決まます。

その医師も病院が決めますので、これも運です。

一度主治医になった医師がいれば、たぶんその医師がまた主治医になるはずです。

でも病気の種類によっては、あたらしい医師が主治医になります。


結論としては、入院してしまったからには、病院の決めたことに従うことになります。


脳の手術は難しいと言われています。

熟練の脳外科医に手術をしてほしいと誰もが思うはず。

しかし旅行中や出張中など外出しているときに発症して救急搬送されたら、どこの病院、どの医師にかかるかはその時の運です。

自宅で倒れてもそうです。


◆ 日本の脳外科医は優秀。身を任せましょう。



脳外科救急病院に勤めていましたから、そばで脳外科医とともに仕事をしていましたから、これは言えます。

日本の脳外科医は優秀です。

ボクの感想だけでなく、世界的にみても日本の脳外科医は優秀です。

だから、いきなり知らない脳外科医の手術を受けることになっても、身を任せましょう。

というか、それしかできないので。

手術は一人の脳外科医がするわけではありません。

複数の脳外科医とともにします。


脳卒中は時間が勝負。

うだうだしているヒマはありません。

とにかく早く受け入れ先の病院へ行くことが先決です。




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


【こんなときは急いで119】ACT FAST(アクトファスト)を知っていますか?

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脳卒中は、突然やってきます。

いきなり症状が現れるのが通常です。

しかも脳卒中の治療は時間が勝負です。

急いで病院に行くのが理想です。


「でも脳卒中かどうかなんてわからない…」

と思う方がほとんどでしょう。

これが脳卒中なのかを見極める方法があります。

それが「ACT FAST」(アクトファスト)です。


◆ 3つの症状をみてください



ACT FASTのFASTは、それぞれのスペルに意味があります。

F=FACE(顔)

A=Arm(腕)

S=Speech(しゃべり)

T=Time(発症時間)


FACE(顔)は、特に口がゆがんでいたり、口からご飯がこぼれまくっていたりと、普段と違う状態になったら要注意です。

「顔がゆがむ」と言いますが、本当にそういう状態になります。

「イーっと言ってみて」と相手に言わせてみて、口の片方が動かなかったり垂れている。

または、「笑ってみて」と相手に笑顔を作らせて、普段のように笑えないのなら急いで119番です。


A=Arm(腕)は、両手を上にして前へならえのポーズをとります。

10秒間、両腕をまっすぐ伸ばしたまま保持してもらいます。

もし麻痺が生じていたらその腕が落ちるはずです。

その場合は急いで119番です。


S=Speech(しゃべり)は、まったくしゃべれなくなったり、呂律が回らなくなっている状態です。

「今日は天気がよい」と言ってみて、と相手にしゃべらせて呂律が回っていなかったり、しゃべれない状態だと急いで119番です。


最後にT=Time(発症時間)ですが、いつこの症状が起きたのかを知ることは、医師が治療をするうえで重要な情報になります。

あわててパニックになっている家族さんもいるでしょうけど、何時何分に生じたのかを知ることは重要ですので、できるだけメモをするか覚えておいてください。

あと、「急いで病院へ」という急ぎという意味もあります。


◆ 3つのうち1つ該当すると脳卒中の確率は70%



この3つの症状(顔・腕・話し)のうち、1つでも該当すれば

脳卒中の可能性は70%です。

2つ該当すれば80%を超えます。

だから、もしこのような症状があらわれたら、もう脳卒中として行動するべきなんですね。

ためらう必要はありません。

急いで119番です。


このACT FASTは、もともとアメリカ脳卒中協会で作られたものです。

広く市民に脳卒中に気付いてもらうためです。


いざ使う場面にはすっかり忘れているかもしれませんが、大事なことですのでご紹介をしました。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

【必見】おそらくYouTubeで一番わかりやすい脳卒中動画作りました

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ふぅー、時間がかかりました。

今までにない超わかりやすい脳卒中解説の動画をつくりました。

この動画は長時間です。20分を超えています。

実際の撮影は40分近くあるのですが、カットしながら編集をして20分強になりました。

パワーポイントのスライドも72枚とがんばりました。

これらをつなぎ合わせて動画完成。

しかもシリーズ化の予定で、今回は第1回目ということで、

脳卒中の全体像がざっくりと分かる内容としました。

本当に全体像がよくわかると思います。



◆ 「これこれ、こういうのが見たかったんだよ」と言われたい



だって難しいでしょ、脳って。

だから敷居が高い分野だと思うんです。

本なんか、読む気しないですからね(笑)

YouTubeで「脳卒中」を検索しても、なんだか専門的で見ていても分かりにくかったりする動画が多い。

気軽に見れて、且つ超わかりやすい動画って、ボクが探したなかではなかったんです。


「無いなら、自分が作ろう!」

ということで、医療職でなくても超わかりやすい脳卒中動画、でも医療職が見ても「へぇー、それは知らなかった」と新たな知見が得られる内容を目指してがんばりました。


おかげで時間がかかり、動画アップロードの頻度が落ちてしまいましたが…。

でも視聴者が「見てよかった」と思ってもらえたら最高です。


◆ さっそくうれしいコメントもらいました



知らなかったことを知れて良かったです。もっと早くに知りたかった…次回の動画も心待にしてます!

こんなうれしいコメントをさっそく頂きました。

これが作る原動力になります。

ありがたいです。

「無いのなら、自分が作る」

この「よく分かる脳卒中講座」はシリーズ化して動画をアップしていきます。




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

【頭痛】ほとんどは命にかかわらない

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頭痛持ちの方はたくさんいらっしゃいます。

ボクは頭痛が生まれてこのかた、1~2回くらいでほとんど経験がありません。

ところが頭痛を頻繁に起こす方は多くて、そういう方は頭痛の苦しさに悩まされています。

ボクは脳神経外科や脳卒中患者さんの多い回復期リハビリテーションを経験しているので、そういうところにいると、患者さんに頭痛があると「まさかの脳卒中の再発か?!」と心配されることがよくあります。

頭痛がひどいと頭の中になにかが起こったのでは?と心配になるのは当然です。

不安になりますよね。

でもほとんどの頭痛は命にかかわらないのです。

「ほとんど」というのは、一部は怖い病気があるからです。

ですがそればかりを心配していると生活ができません。

だから多くの脳神経外科医も「頭痛の多くは心配ないもの」と認識しています。

今回は頭痛の基礎です。


◆ 【頭痛】ほとんどは命にかかわらない



頭痛のほとんどは命にかかわらないものです。

ところが命にかかわるこわーい頭痛があります。

それは「くも膜下出血」です。

これは最恐にこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい病気です。

しつこいくらい言います。

くも膜下出血はめちゃくちゃこわい病気です。

看護師になるまで知りませんでした。名前は知っていましたが、くも膜下出血の中身はそれほど知らなかった。

でも知ると、「めっちゃこわいやん!!(◎_◎;)」

くも膜下出血には「三分の一の法則」があります。

1/3が死亡

1/3が重度の障がいで社会復帰不可能

1/3が歩いて退院できる(社会復帰可能)

これのどの1/3に入るかで運命が決まります。

死亡率は30~40%

つまり1/3が死亡します。その多くは病院にたどり着く前に死亡します。

つまり即死です。


くも膜下出血は金づちで頭を殴られたような強烈な頭痛が生じます。

「あああああーーー!!!あたまがぁーーーいいいいたーーーい!!!」

いままで味わったことのない頭痛が襲います。

死亡の1/3に入ってしまった方は、この時点で多くは死亡します。なかには病院まで持ちこたえますが、病院で亡くなります。

家族にさようならも言えず、なんの準備もないまま、仕事もやり残したまま、子育ても途中のまま、いきなりその瞬間人生が終了します。

ボクはSCU(脳卒中専門集中治療室)で何人もみてきました。


ほんとうに悲しくて、やりきれなくて、こわいことです。


くも膜下出血は本当にこわい。


命にかかわる頭痛の最たるものは、くも膜下出血です。

これはマジで命にかかわります。


あとは「頭蓋内圧亢進」です。(ずがいないあつこうしん)と読みます。

これは脳が浮かんでいる水(脊髄液)が何らかの原因で循環しなくなり溜まっていく一方で脳が水で圧迫されることです。または、脳が何らかの原因で腫れることで脳が圧迫されることです。

これも頭痛を伴います。

この場合、頭痛だけじゃなく嘔吐や視力障碍を生じます。


あとは脳出血で頭痛がありますが、これは全員ではありません。

脳出血による頭痛は、頭痛以外にも麻痺や嘔吐など他の症状も出ますので、異常が分かりやすいです。


それと頭痛をともなう病気として脳へ行く血管の「動脈乖離」(どうみゃくかいり)です。

これは血管の壁が何らかの原因で内側の一部がはがれてしまう病気です。これも強い頭痛が起こりやすいです。


ざっといいましたが、これらの頭痛は大きな病気が原因ですので、一刻を争います。

何度もいいますが、くも膜下出血は無事に社会復帰できる人はたったの1/3です。

くも膜下出血で助かるには手術しかありません。

しかも「生きて」病院にたどり着かないと話になりません。そもそも助かりません。

とにかく生きて病院にたどり着くのが生き延びる唯一の手段です。

いつもの頭痛ではないと直感で感じたら119番です。


で、こういうこわい病気の話をしておきながら、こんなことを言うのはあれですが、

ほとんどの頭痛は命にかかわりません。


というもの「頭痛だけが症状」という頭痛は、まず大丈夫だからです。

いつもの頭痛がある人も大丈夫です。


◆ 緊張型頭痛と片頭痛、これが大多数を占める



多くの頭痛は頭頚部の筋肉の緊張からくる「緊張性頭痛」です。


緊張型頭痛は、持続する締め付けられるような頭痛や重苦しい頭痛です。

あまり続くと吐くこともあります。

筋肉の緊張を解きほぐしていくと治ります。

夜寝て朝なるとおさまっていることが多いです。またストレスを解消することも治るためには大切です。


片頭痛は「片」とありますが、頭の片方だけじゃなく両方痛むこともあります。

これは脳や頭皮の血管が異常に緊張しておこります。


これらの頭痛の原因は、ストレス、アルコール、空腹、騒音、まぶしい光などがあると頭痛を誘発しやすいです。


これらは頭痛そのものが症状であり命にかかわりません。

人によっては激しく痛むのですが、命にかかわりません。

「命の危険信号」ということではありません。

別に寝るなり、ストレスを解消するなりして、特に何もしなくても勝手におさまります。

でもいまはいい薬がありますので、お困りの方は頭痛専門の医師に相談してみてください。


頭痛があると動けなくなることがあります。

なるべくストレスを抱えないようにする。よく寝る。

これが大切です。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

【見えない障がい】高次脳機能障害 - 誤解されることで一層苦しい障がい

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高次脳機能障害は「見えない障がい」と言われます。

一見すると、後遺症があるとは分かりません。普通の人のように見えます。

高次脳機能障害の程度はひとそれぞれ。日常生活だけでは見えてこない後遺症の場合もあります。

ある場面になると、その後遺症が分かる。

それまでは分からない。

こういう人もいます。

逆に、接してみてすぐに分かる後遺症も方もいます。

高次脳機能障害はほんとうに千差万別です。

見た目じゃ分からない、程度も種類も人それぞれ。

だから、よけい周りから理解されにくいという二重の苦しみがあります。


◆ 【見えない障がい】高次脳機能障害 - 誤解されることで一層苦しい障がい



高次脳機能障害とは、脳卒中や事故で頭に衝撃がきて脳の一部に損傷を受けます。その脳の損傷によりいままで出来ていたことができなくなることです。

たとえば、着替えができなくなる。お箸を使うことができなくなる。というか道具を使うことができなくなる。すぐに忘れる。前の事を思い出せなくなる。性格が変わってしまう。文字が分からなくなる。文字が書けなくなる。など、この他にもたくさんの「できない」「苦手」があります。

ほんとうに千差万別。


ところが麻痺がある方は姿を見たら分かる場合があります。

しかし、高次脳機能障害は脳の障がいですが麻痺ではない「行動」「思考」「性格」など見えないところに障がいが残ります。

だからぱっと見では分からないことがよくあります。


退院して会社に戻ります。

上司「おっ、退院できてよかったな。ではさっそくこの商品を棚に並べてくれ」

いつもやっていた超簡単な業務内容です。

Aさん「え…これ…???」

今までできていたことができません。というか上司の指示の意味が分からない。混乱する。

一見、今までと変わらないように見えるAさんですが、高次脳機能障害があるとこういうことになる場合があります。


これはほんの一例です。


脳卒中や脳挫傷などで、麻痺だけでなく、こうした高次脳機能障害が残ることがあります。

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高次脳機能障害になる原因は一番多いのは「脳卒中」です。

つぎに多いのが、「事故などで頭を強く打った」です。


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失行・失認というのは、「いつも使っている物が分からない」「どう使っていいのか分からない」ということです。服がきちんと着れない。お箸やスプーンが使えない。などがそうです。


注意・遂行機能障がいは、集中力が低下している、約束を守れない、時間を忘れる、次にどうすればいいのか分からないということです。


行動と情緒の障がいは、他人とすぐトラブルを起こす、性格が変わってしまった、怒りっぽくなったということです。


いろいろありますよね。


でも見た目じゃ分からない。なので、後遺症があるということを理解されないことがあります。

これが本人や家族をさらに苦しめることになるのです。



◆ 若い人、働き盛りの人は仕事をどうするか?かなり深刻です



こうした苦しみは普段の生活だけでなく、就業もです。

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このデータを見ますと、

元の職場に復帰できた人は1割以下です。

1割以下…

そう、だから深刻なんですね。

程度の差はあれ、見た目は普通でも仕事では使えないというと聞こえが悪いですが、働けない人が圧倒的です。

特に妻や子どもがいる人が高次脳機能障害になると、たちまち深刻です。

若い人もこれからどうやってお金を稼いだらいいのか。

突然の出来事に戸惑う家族をたくさん見てきました。


この高次脳機能障害の社会保障は、高齢者のそれとは違って本当に冷たい。


看護師になって高次脳機能障害患者さんとその家族に関わるようになってから、初めてこの現実を知りました。

一人でも高次脳機能障害について正しい知識を持っていただき、本人や家族の苦しみが少しでも軽くなるような社会になるようにこれからも発信をしていきます。


あまり専門的じゃなく、分かりやすい本のご紹介です


何とも勇気づけられるタイトルじゃない!



引用・参考:Abema Times

それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

分かりやすい高次脳機能障害 一番分かりやすい解説はこれ。

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◆ 高次脳機能障害とは



高次機能障害とは、脳卒中や事故による頭部外傷などで脳にダメージが生じたことにより、それまで出来ていたことができなくなったり、判断・注意・行動といった社会生活を送る上で必要なことができなくなることです。


例えば、服が着れなくなる、お箸などを使ってご飯が食べられない、ものが覚えられない、集中力がない、がまんができない、計画通りにできない、指示を受けてもできないなどがあります。


これらの症状により、日常生活または社会生活になんらかの制約がある状態が高次脳機能障害です。


前まではちゃんとしていた人でも、病気やケガでこういうことになることがあります。


家族にとっては「あんなにしっかりしていたお母さんがこんなことになるなんて・・・」とショックを受けることもあります。


◆ 高次脳機能障害は、高次と脳機能障害を分けて考えると分かりやすい。



この高次脳機能障害は本を読んでもよく理解できない方が多くて、それだけ奥深い領域なのでしょう。

私の職場のナースでも、しっかり理解している人は少ないように思います。ましてや本人やご家族は知らない人がほとんどです。


しかし高次脳機能障害者をうまくサポートしていくには、しっかり理解することが不可欠です。


そこで高次脳機能障害を理解するために、分かりやすい方法をご紹介します。


[ひらめき]高次脳機能障害を理解するには、言葉を分割するとよく理解できます。


高次脳機能障害を「高次」と「脳機能障害」に分けるのです。



理解のポイント!「高次」とは「人間が持つ高いレベル」もしくは「人間が社会で生きていくために必要なもの」

「脳機能障害」とは脳がダメージを受けて「様々な機能に障害がある状態」



とこのように置き換えるとよく分かります。


お箸を使ってご飯を食べるとか、服を着るとか、指示を受けてその通りにやるとか、これらは人間が持つものですよね。


急に怒ったり、ぼーっとしたり、計画どおりにできなかったりすると、人間社会では困りますよね。


つまり「高次」とは人間が人間たらしめている能力といいますか、人間だけが持つ能力と言えるでしょう。


「脳機能障害」は脳がダメージを受けて様々な機能に障害を受けている状態です。


この「脳機能障害」だけだと、サルや犬など動物にも起こります。サルも脳機能障害を受けると麻痺が出ます。犬も感覚がなくなったりします。人間以外にも起こることなのです。


このように脳の機能が障害を受けることによって、人間だけしかできないことができなくなることが「高次脳機能障害」と言えるでしょう。


◆ 高次脳機能障害と認知症は違います。



まず認知症ですが、認知症は徐々に進行します。

症状は中核症状と周辺症状に分けることができます。

中核症状は、記憶障害などすべての認知症患者にある症状。

周辺症状は、認知症にともなって発生する行動で、物盗られ妄想や異食、徘徊など多肢にわたります。

人によっては、あったりなかったりします。



認知症の場合は、忘れやすいといっても、お箸を使ってご飯を食べるといった長年の記憶は保っていることが多いです。ポストは赤いとか、いつも使っている押し車を押して歩けたりとか、長年使ってきたことは比較的忘れない傾向にあります。

認知症は徐々に進行していくので、年々物忘れがひどくなったり、理解力や判断力が落ちてきたりします。

もの盗られ妄想や徘徊などの周辺症状は、人によっては現れたり出なかったりします。



高次脳機能障害は脳卒中や事故を原因として、発症すること多く、認知症と違って突然人が変わったように症状が起きます。

脳に器質的な損傷があるために、社会生活が送りにくくなる症状が出ます。


一方、高次脳機能障害の多くは、ある日突然起こります。


そして認知症と違って、未成年や青年といった若い年齢の人にも起きるということです。

たとえば働き盛りの人に高次脳機能障害があると、もう一度社会で活躍することが難しくなるケースがあります。

しかもなかなか症状が改善せず、今後もずーっと引きずることが多いのです。


◆ 高次脳機能障害が目に見えない障害と呼ばれる所以とは?



脳にダメージが生じると麻痺だけではなく、この高次脳機能障害に悩まされる患者さんは多くいます。

高次脳機能障害患者さんは見た目では分からないのです。一見すると、何の変哲もない普通の人のように見えます。まるで自立した生活をされているように見えます。

本人はいろいろと失敗をしたりするのですが、その失敗の原因がどこにあるのか分からないのです。


これが「目に見えない障がい」と呼ばれる所以。


パッと見は障がいがある人には見えない。

何か作業をしてもらったり、用事をしてもらったり、しばらく関わらないと何が出来なくて何が苦手なのかが分からないのです。


高次脳機能障害は医療職でもよく知らない人がいるくらい、まだまだ理解が進んでいない症状です。

一般市民も、この高次脳機能障害をよく知らない方が大勢います。

それゆえ、誤解されていることもあり、本人もご家族も大変な思いをされていることに関心が向けられていないという現実があります。


認知症と間違えて、「あの人はボケてしまったんだ」と思い込まれたりするケースもあり、難しい課題です。


本人も今まで出来ていたことができなくなったと自覚があるケースがありますが、そして自分なりに気を付けているはずが失敗を続けてしまします。

そして周りから「今まで出来ていたことができなくなっている」という声が出てそれを聞くと、本人はとてもつらい気持ちになります。


いつもの道が分からない。数が数えられない。空間の認識力が落ちて物の前・後ろが分からなくなることで混乱する。相手の話を要約することができない。

これらはやってみると「できない」。


日本はこうした患者さんのサポート体制が不十分です。


◆ 高次脳機能障害とどう関わっていくのか



特にまだ働き盛りの患者さんにとっては、生活を根本から揺るがす一大事です。

テキスト病気や事故などで突如として別の世界に入ってしまったかのような不思議な症状に悩まされているのですが、世間の認知は低い。

なので、できない、失敗することについて周りから冷たい言葉や態度をとられることがあります。

周りの人間はミスばかりする本人に対してイライラしたり、怒ったりし、やがて「もう怖くて任せられない。あの人は役に立たない」と半ばあきらめの気持ちを持たれるケースがあります。



目に見えない障がいのため、本人は元気そうなだけに余計周りはイライラしてしまいがちです。
ミスをしたことを指摘したり、怒ったりしてもすぐに改善するものではありません。
かえって本人に自信をなくしたり、口を閉ざしてしまうことにつながる恐れがあります。


本人は失敗したことを分かっているが、改善しようにもどう改善したらいいのか分からない。

気が付けば失敗していた、という感じです。


高次脳機能障害はまだまだ世間の認知は低いのが現状です。

特効薬はありません。

地道にコツコツとできることを探しながら、本人に自信を持ってもらうことが大切です。


今までの自分なら失敗しないようなことを失敗したりします。


本人は非常に生きにくさを感じます。

機能遂行能力だけでなく、精神面のサポートも必要です。


◆ まとめ




まとめ・高次脳機能障害は、今までできていたことができなくなる。

・社会で生きていく上で必要なことができなくなるため、非常に生きづらくなる。社会との繋がりが薄くなってしまう可能性がある。

・見た目は普通なので、周りの人から理解されにくい。まさに「目に見えない障がい」

・何ができて何ができないのか、本人や周りの人たちも把握していくことが大事。医療機関や公共福祉機関としっかり連携をとりましょう。

・長い目でみて、支えていく必要がある。


入院中の患者さんの場合、カンファレンス等で主治医や担当看護師、担当リハビリスタッフ等と話をする機会があります。ぜひ、カンファレンスを活かしてください。患者本人にどんな後遺症があるのか、何ができて何ができないのか。どうしたら少しでも失敗を防ぐことができるのか。


疑問を持ったまま、分からないまま自宅に退院することがないように、何でも遠慮なく病棟スタッフに聞いてください。

谷間の障がいとよばれる「高次脳機能障害」

大切な家族の症状を理解し、長い目でサポートをしていく必要があるからです

高次脳機能障害は一人一人症状が違います。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


※この記事は2018年11月3日に掲載されたものをリライトしたものです。

記事内容をより深く、より分かりやすく改善しました。また、内容が古くなっている箇所は新しく更新しています。記事を書きなおすことにより常に新しく正しい情報を読者の皆様にお届け致します。このように過去の記事に手を入れる必要がある場合は、適宜リライトをおこなってまいります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2018年11月3日   更新日:2020年2月22日

脳卒中とけいれん

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脳卒中の後遺症として「痙攣(けいれん)」があります。

以前の脳神経外科の救急病院に勤めていた時は、けいれんをよく経験しました。

普通の暮らしをしていると、けいれんを目の当たりにすることはそんなに多くはないですが、脳外科の救急病院となれば、日常茶飯事というと大げさですけど、それくらいよく目の当たりにしました。

私は37歳で看護師になって最初の勤め先の脳神経外科病院で経験するまでは、けいれんをこの目で見たことはありませんでした。

普段はけいれんを目撃することはほとんどないでしょうから、初めてけいれんを目撃したときは衝撃的でした。


脳卒中のあとにけいれんを起こすことはよくあることです。

けいれんの現場に遭遇したときの対応を知っておくといざという時に役立つと思います。


◆ まずはあわてず、全身を観察する。嘔吐していたら横向きにする。

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一般人向けに書きます。

けいれんしている人を発見したら、まずは落ち着きましょう。「そんなのできるか!」と思いますが、ともあれ自分に言い聞かせて落ち着きましょう。落ち着かないとかえって本人のための行動がとれません。


①まず全身を見てどこがけいれんしているかを見ます。右半身だけなのか?全身けいれんなのか?

②声をかけて意識があるのかないのかを確認します。目を開けているのかどうかも見ます。声をかけるとこっちを向いたり「あぁ」と返事をしたら意識はあると思います。そうでないなら、意識はないものと考えられます。

③けいれんの時間を測ってください。たいていは数分でおさまります。その数分がものすごく長く感じられますが、どれくらいけいれんが持続したのかを見ておきます。

④もし嘔吐したら、嘔吐物が喉を詰まらせるおそれがありますから、すぐに横向けにします。

⑤おそらく数分でけいれんはおさまりますので、救急車を呼んでください。


けいれんは数分でおさまることが多いですので、落ち着いてください。

怖いのは嘔吐です。嘔吐した物が喉に詰まると窒息をする可能性がありますので、必ず横向けに寝かせてください。これで窒息する可能性は少なくなります。


◆ してはいけないのは、口に指を入れること。何かを噛ますこと。

けいれんしている最中に歯をギューッ!っと噛んでいかにも苦しそうな表情をすることがあります。歯が欠けてしまうのではないかと心配するほどの力で、ギューッ!っと歯を食いしばるのです。全員ではありませんが、そういう人がいます。

それを見ていた家族とかが、「まあ大変!そんなに歯を食いしばらないで」と口に指を入れようとしたり、歯を守るために小タオルとかを丸めて噛まそうとしたりしてはいけません。


また、嘔吐したので口をきれいにしようとして指を口に入れてはいけません。

いづれも、あなたの指が食いちぎられてしまうかもしれません。


けいれん時に口に指や噛ましを入れることは絶対にしないこと。


◆ けいれんを起こしている姿はできるだけ一目を避けたい。

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たとえば電車の中とか、人通りの多いところとかでけいれんが発生した場合、多くの人目に自分がけいれんしている姿をさらしてしまうことになります。

いつどこで起きるか分からないので、致し方ないことではありますが、できるだけ一目を避けることも留意しておきたいことです。


けいれんしている人を見たことがあるのなら分かると思いますが、あれを大勢の人にさらしてしまうのは自分だったら嫌なはずなんです。けいれんを起こしている姿が本当にショッキングに映るからです。けいれんしている姿は、他人に見られたくない姿です。ましてや今どきはみんなスマホを持っていますから、大勢の中でけいれんを起こすと撮られる可能性もあります。


「そんなこと言っている場合か!」と思うかもしれませんが、けいれんを起こしている本人はどうしようもないですし、そんな姿を自分の意思とは無関係に大衆にさらしてしまうのは本当に後々つらい思い出なのです。


対策としては、周りの人が囲ってなるべく隠す。数分で治まれば一目の避けれる場所に移動する。ということも考慮してください。


◆ 抗てんかん薬を飲んでいても、けいれんを起こす可能性があります。

抗てんかん薬を飲んでいるからと言って絶対にけいれんが起こらないというわけではありません。

なので、けいれんは「起きるかもしれない」と普段から心構えをしておくことが大切です。

もし、運転中にけいれんが起きたら…

もし、調理中に起きたら…

もし、電車やバスに乗っている時に起きたら…

もし、水泳中に起きたら…


けいれんはいつ起こるか分かりません。

それゆえに大事故を起こす危険性があります。


もしけいれんが起きたら、慣れていないとびっくりすると思いますが、まずが落ち着いて本人をよく見てから119番をかけてください。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。







やはり喫煙は脳卒中のリスクを高めます。でも、禁煙は今からでも遅くはありません。

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「タバコは健康に悪い」こう言われて久しいですね。

タバコを吸っている人も本当は体によくないことは知ってて吸っています。

吸う理由は人それぞれですが、結局吸っているとどう言い訳しても体に悪い。

でも吸う人は何を言っても吸うのでしょう。

そんな人でも家族は諦めモードながら、やっぱり心の奥では「禁煙をしてほしい」と思っているはずです。

そこで、脳卒中に関して、タバコについて書かれていることをご紹介します。





◆ 日本だけでなく世界中で喫煙は脳卒中の発症リスクを高めることが分かっている。

喫煙は欧米において脳卒中の危険因子であることが報告されており、日本を含む各国で行われた32件のコホート研究のメタアナリシスでも喫煙は脳卒中の有意な危険因子であることが示されている。
(脳卒中治療ガイドライン2015より)

喫煙は脳梗塞、くも膜下出血の危険因子です。

脳卒中以外にも心筋梗塞などさまざまな疾患の発症リスクになるとされていますので、これを否定するエビデンスがない以上、タバコは有害と言わざるを得ないです。

しかも自分のおこずかいも減りますから、いい事は何もありませんよね。


ところが、上記に「脳出血」が入っていませんね。

これは、このメタアナリシスの病型別解析によれば、喫煙は脳梗塞とくも膜下出血の有意な危険因子ですが、脳出血の有意な危険因子ではなかったと報告されています。

なので、脳卒中治療ガイドライン2015には、この項目には「脳出血」は含まれていません。

ま、でも、タバコはやめておいた方がいい事に変わりはありません。



◆ 高血圧を持っている人はさらに発症リスクが高まります。

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喫煙により致死性脳卒中の発症リスクが高くなるが、高血圧患者ではさらに高くなる。
(脳卒中治療ガイドライン2015より)

高血圧によって動脈硬化が進みます。動脈硬化によって血管は柔軟性を無くします。その結果、血管はもろくなり破れやすくなります。また、血管内部が狭くなり詰まりやすくなります。

タバコは血管に悪さをします。


◆ 5~10年の禁煙で脳卒中のリスクは低下します。

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脳卒中のリスクは喫煙本数が多いほど大きくなり、5~10年間の禁煙により脳卒中のリスクは低下する。
(脳卒中治療ガイドライン2015より)


禁煙は遅すぎることはありません。

いつでもやればいい事が待っています。

「もう何十年と吸っているんだし、今さら禁煙て…なぁ」

いいえ、禁煙してください。


大事なことですから何度でも言います。

タバコは脳卒中のリスクを高めますが、脳卒中以外の疾患も発症のリスクを高めます。

タバコには200種類以上の有害物質、発がん物質が含まれており、吸えば体内に付着します。そして自分のおこずかいが煙になって消えていきます。

もし将来COPDになったら、息が出来ずに24時間苦しみます。酸素ボンベと共に外出や家の中を過ごします。

COPDになったら治りません。

禁煙はいつでも有効です。

それでもまだタバコを吸い続けますか?



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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脳卒中リハビリテーションの流れはこうです。切れ目のないリハビリの実施のために仕組みがあります。

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一般的に脳卒中リハビリテーションの流れは、急性期、回復期、維持期(生活期)に分けられます。

脳卒中を発症→救急病院で治療(急性期)→回復期リハビリ病院でリハビリに専念(回復期)→退院し自宅で通院や訪問リハ等でリハビリを継続(維持期)。ざっとこういう流れになります。

こうしてみると、脳卒中を発症し救急車で救急病院に搬送されてから自宅に帰るまで、かなりの月日が経過してしまうことが一般的です。

脳卒中には麻痺や高次脳機能障害の後遺症が残ることが多く、長いリハビリの旅が始まります。

今回は脳卒中リハビリテーションの流れを解説します。




◆ 急性期ではまずベッドサイドから早期リハビリテーションを開始します。

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重症度によってリハビリの開始時期は変ってきますが、状態が落ち着いてきた時点で早期にリハビリを開始します。

昔は「脳卒中は動かすな」という考えが一流の医師の間でも信じられていました。しかしこれは間違いということが分かっています。現在の脳卒中リハビリテーションは早期リハビリが鉄則です。そのほうがいろいろと体にいいことがあるからです。

長く寝ていると必ず体が弱ります。特に足腰の弱りはすごく早いのです。一週間寝たきりだと立つとフラフラです。ろくに歩けなくなります。呼吸筋、胃腸の動きなど体のあちこちが弱ってきます。

麻痺のリハビリを開始するのですが、これ以前に元々の筋肉が落ちてしまいます。

こうしたことから今では急性期から早期リハビリをスタートさせます。


SCU(脳卒中専門集中治療室)でさえ、早期にリハビリを開始します。

たとえば脳梗塞で比較的軽い脳梗塞(ラクナ梗塞)であれば、入院してきた翌日にはリハビリを始めます。

点滴をいっぱいぶら下げながらでも、リハビリをします。


ある程度症状が落ち着くと、麻痺や高次脳機能障害などが残存しているのなら、更なるリハビリテーションを行うために回復期リハビリテーション病院へ転院していくことになります。


急性期にいる患者さんが全員回復期リハビリテーションへ行くということではありません。急性期病院で退院される方もいます。私が以前勤めていた救急病院でも、回復期にいくまでもなく自宅退院された方はたくさんいました。回復期リハビリテーションに行く必要がある患者が行く、ということです。


◆ 回復期では能力の最大限の回復と社会復帰を目指して更なるリハビリテーションを行います。

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回復期リハビリテーション病棟では、医療側にチームが作られます。急性期よりも、よりチーム医療で動いていきます。

更なるリハビリを行うことになりますので、失った機能回復とともに、残された機能を存分に使って生活ができるようにも訓練をしていきます。必要があれば自宅にリハビリスタッフやケアマネージャー、リフォーム業者などを呼んで、患者や家族と一緒に住みやすい住環境を用意することもあります。みんなで一回自宅に行ってみようというわけです。

こうしたことをやりながら安全に自宅に帰れるように準備をしていきます。

やらなければならないことは、たくさんあります。

回復期は常に退院後を見据えて医療チームが動きます。

脳卒中の場合、最長六ヶ月間の入院が可能です。


◆ 維持期(生活期)では獲得した能力をできるだけ長期間維持するためにリハビリテーションを行います。

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維持期という名称は最近は使われなくなってきました。維持という言葉を使うと、「もうこれ以上の回復は見込めない」という誤ったメッセージを与えてしまうからです。

維持期(生活期)になってもリハビリは終了ではありません。

生活の中でリハビリを続けていきます。この生活の中のリハビリが実は一番重要です。その人の生活に則した動きができるように、できるだけ楽に安全にスムーズに生活が送れるようにしていく必要があります。

通所リハや訪問リハ、最近では民間のリハビリテーション施設もあります。

療法士から自主トレの方法を教えてもらい、空いた時間に自分でリハビリをする方もいます。

生活の一部としてリハビリがあります。

逆にさぼろうと思えばいくらでもさぼれます。やっている人は一生懸命やっています。この辺はいかにもその人の生活ということでしょうか。


このように脳卒中リハビリテーションの流れは、切れ目なく続いていくのが一般的です。

長い長い旅です。

回復の程度はその人によります。リハビリのやり方もそうです。

最近はオーダーメイドリハビリが主流になってきました。その人の目標、性格、習慣、社会的役割、家の構造など患者を取り巻く環境全てを考慮したオーダーメイドリハビリです。


リハビリは急性期から早期に開始し、退院支援も含めた総合的なチーム医療が最近の大きな流れです。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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「脳卒中後うつ」になる人は約30%います。脳卒中になった後、うつ症状を見逃さないで。

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「脳卒中になった方の約30%がうつになる」

このような研究データがあります。


脳卒中後になんだか気分が晴れない、どうもやる気が出ない、自分なんて死んでしまえばいい、、、こういう気持ちになる方は、けっこうな数がいることが分かっています。

「一般に脳卒中では33%(18~62%)にうつ(うつ状態)を合併し、大うつは23~34%、小うつは14 ~26%に認められる」

(脳卒中治療ガイドライン2015より)


脳卒中を発症した後にうつになる可能性があります。

約1/3がうつになるなんて、すごく高い確率だと思いませんか。

こうした脳卒中後うつに対して、医療はどういうアプローチをするのでしょうか?





◆ 脳卒中後うつは、「死にたい」と思うのが2倍になる。

「脳卒中後うつは、希死念慮の出現や自殺の頻度が2倍になることとの関連が強い」

(脳卒中治療ガイドライン2015より)


脳卒中後うつになると、「死にたい」と思う率が上がります。

「なんだかやる気がでない」「何をするにもしんどい」「消えてしまいたい」

こうした気持ちの表れはうつのサインです。

脳卒中で脳にダメージがあると、脳の機能的にやる気がなくなることがあります。中にはまったくやる気がなくて、ダラダラしているように見える方もいます。

また、脳卒中の後遺症として麻痺などがあると、日常生活上のストレスや環境、身体の変化からうつを発症することもあります。

職場復帰をしても、以前と違う部署に配属されたり、思うように成果が出なくなってしまったり、そもそも会社に行くのが嫌になって終いには引きこもったりという例も。


こうしたことで脳卒中後うつを発症してしまうと考えられていますが、まだまだよく分かっていないことも多いのです。

いづれにしても、日常生活に支障が出てくる場合があります。


◆ 脳卒中後うつは、リハビリ効果を減退させる。

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「うつを合併すると、認知機能が障害され、ADLの回復が悪く、死亡率も3倍高いとされる」

「うつが改善すると認知機能やADLも改善する」

(脳卒中治療ガイドライン2015より)


生活面やリハビリに支障が出てくるため、適切な治療を早めに開始したほうがよいということになります。

どういう治療かというと、「薬物治療」です。

医師の診察を受けて、適切な抗うつ剤は処方してもらいます。

きちんと治療をすることで、生活面やリハビリへの支障を回避します。


私の経験で、ある脳卒中後うつになった女性患者さんがいて、やはりリハビリには積極性がなく、いつも「早く死にたい」ばかり言っていました。


◆ 脳卒中後うつは、ほっとかないでちゃんと治療が必要です。

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「抗うつ薬の効果を検討した研究では、うつや身体機能の改善効果が認められている」

(脳卒中治療ガイドライン2015より)


脳卒中後うつは放っておかないで、きちんと治療をすることが大切です。

本人もさることながら、家族もちょっと気にかけてあげてください。もう本当にやる気がなくなったり、うつでしんどくなって動けない人もいます。症状が進む前に適切な治療を受けるほうがいいと思います。


ちなみに、脳卒中後うつになる前、まだ元気なころに予防として抗うつ薬を投薬することは、予防効果にならないとする研究があります。


「抗うつ薬投与によるうつ発症の明らかな予防効果は認められていない」

(脳卒中治療ガイドライン2015より)


脳卒中後うつは脳卒中後の身体面、精神面、社会面においてのストレスから発症すると考えられていますが、さまざまな要因が合わさって発症するとも言われています。

脳卒中になった方の約30%が発症するので、このことはもっと広く知っていただきたいと思います。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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