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脳卒中の後遺症として「痙攣(けいれん)」があります。

以前の脳神経外科の救急病院に勤めていた時は、けいれんをよく経験しました。

普通の暮らしをしていると、けいれんを目の当たりにすることはそんなに多くはないですが、脳外科の救急病院となれば、日常茶飯事というと大げさですけど、それくらいよく目の当たりにしました。

私は37歳で看護師になって最初の勤め先の脳神経外科病院で経験するまでは、けいれんをこの目で見たことはありませんでした。

普段はけいれんを目撃することはほとんどないでしょうから、初めてけいれんを目撃したときは衝撃的でした。


脳卒中のあとにけいれんを起こすことはよくあることです。

けいれんの現場に遭遇したときの対応を知っておくといざという時に役立つと思います。


◆ まずはあわてず、全身を観察する。嘔吐していたら横向きにする。

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一般人向けに書きます。

けいれんしている人を発見したら、まずは落ち着きましょう。「そんなのできるか!」と思いますが、ともあれ自分に言い聞かせて落ち着きましょう。落ち着かないとかえって本人のための行動がとれません。


①まず全身を見てどこがけいれんしているかを見ます。右半身だけなのか?全身けいれんなのか?

②声をかけて意識があるのかないのかを確認します。目を開けているのかどうかも見ます。声をかけるとこっちを向いたり「あぁ」と返事をしたら意識はあると思います。そうでないなら、意識はないものと考えられます。

③けいれんの時間を測ってください。たいていは数分でおさまります。その数分がものすごく長く感じられますが、どれくらいけいれんが持続したのかを見ておきます。

④もし嘔吐したら、嘔吐物が喉を詰まらせるおそれがありますから、すぐに横向けにします。

⑤おそらく数分でけいれんはおさまりますので、救急車を呼んでください。


けいれんは数分でおさまることが多いですので、落ち着いてください。

怖いのは嘔吐です。嘔吐した物が喉に詰まると窒息をする可能性がありますので、必ず横向けに寝かせてください。これで窒息する可能性は少なくなります。


◆ してはいけないのは、口に指を入れること。何かを噛ますこと。

けいれんしている最中に歯をギューッ!っと噛んでいかにも苦しそうな表情をすることがあります。歯が欠けてしまうのではないかと心配するほどの力で、ギューッ!っと歯を食いしばるのです。全員ではありませんが、そういう人がいます。

それを見ていた家族とかが、「まあ大変!そんなに歯を食いしばらないで」と口に指を入れようとしたり、歯を守るために小タオルとかを丸めて噛まそうとしたりしてはいけません。


また、嘔吐したので口をきれいにしようとして指を口に入れてはいけません。

いづれも、あなたの指が食いちぎられてしまうかもしれません。


けいれん時に口に指や噛ましを入れることは絶対にしないこと。


◆ けいれんを起こしている姿はできるだけ一目を避けたい。

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たとえば電車の中とか、人通りの多いところとかでけいれんが発生した場合、多くの人目に自分がけいれんしている姿をさらしてしまうことになります。

いつどこで起きるか分からないので、致し方ないことではありますが、できるだけ一目を避けることも留意しておきたいことです。


けいれんしている人を見たことがあるのなら分かると思いますが、あれを大勢の人にさらしてしまうのは自分だったら嫌なはずなんです。けいれんを起こしている姿が本当にショッキングに映るからです。けいれんしている姿は、他人に見られたくない姿です。ましてや今どきはみんなスマホを持っていますから、大勢の中でけいれんを起こすと撮られる可能性もあります。


「そんなこと言っている場合か!」と思うかもしれませんが、けいれんを起こしている本人はどうしようもないですし、そんな姿を自分の意思とは無関係に大衆にさらしてしまうのは本当に後々つらい思い出なのです。


対策としては、周りの人が囲ってなるべく隠す。数分で治まれば一目の避けれる場所に移動する。ということも考慮してください。


◆ 抗てんかん薬を飲んでいても、けいれんを起こす可能性があります。

抗てんかん薬を飲んでいるからと言って絶対にけいれんが起こらないというわけではありません。

なので、けいれんは「起きるかもしれない」と普段から心構えをしておくことが大切です。

もし、運転中にけいれんが起きたら…

もし、調理中に起きたら…

もし、電車やバスに乗っている時に起きたら…

もし、水泳中に起きたら…


けいれんはいつ起こるか分かりません。

それゆえに大事故を起こす危険性があります。


もしけいれんが起きたら、慣れていないとびっくりすると思いますが、まずが落ち着いて本人をよく見てから119番をかけてください。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。