家族と電話で話していると「いや、ウチの親はそんなにボケていません。頭はしっかりしています」と言ってくる家族がいるが、残念なことに結構ボケていることがある。自分の親はいつまでもしっかりしていると信じたいのかもしれないが、高齢になると年相応にボケがくる。病院側は失礼と決めつけないで。
— ふるたによしひさ@看護師×医療Webメディア (@yoshihisanurse) June 22, 2022
医療・介護の現場ではよくあるやりとりです。
入院中の親の認知力低下を認めない息子娘たちがいます。
◆ 子どもが知らぬ間に親はボケている
電話や面会などで家族とスタッフが会話をする場面で、
入院中の親の様子を家族に教えると、
「ウチの母はそんなにボケていません。まだしっかりしています」
と、母の認知能力低下を認めない家族がいます。
最近は携帯電話を持っている入院患者さんが多いので、
入院中に家族に電話をする患者さんがいます。
「服がないの」
「持ってきたノートとペンがないの」
など、いろんなことを家族に言います。
すると、今度は家族から病棟に電話がかかってきます。
「ウチの母から電話がありまして、服がないと言っているんです。そちらの病院の洗濯のやり方はどうなっているのですか?ちゃんとやってください!」
真実は、患者さんが自分で服をどっかにやってしまったということです。
自分でどこにやったか分からなくなったので、家族に携帯電話で連絡したのです。
それを「病院スタッフが服をなくした」となってしまった。
で、家族は「そうか、病院が服をどこかへなくしたんだな」と勘違いして病院に怒りの電話をかけてきます。
完全に勘違いで、
真実は、「入院中の母親が認知能力が低下したことで、自分で服をなくした」ということです。
◆ 家族は家族の言うことを信じる
結局、服は、病室のゴミ袋の中にありました。
患者さんが自分で服をゴミ袋の中に入れていました。
ゴミ袋の中にあるんじゃあ、なかなかスタッフも見つけられませんね。
これは誰が悪いということではなく、
患者さんの認知能力が落ちている、ということに集約できます。
自分がやったことを忘れる。
忘れたことを自分のせいじゃないと取り繕う。
家族は家族の言うことを信じるので、病院を悪者にします。
息子や娘は、母親はまだ頭はしっかりしている、と信じています。
「ウチの母はまだボケていない」
しかし、真実はボケています。
そういうケースは山ほどあります。
◆ 親の言うことを真に受けない、一旦冷静になる
特に、これは声を大にして言いたいのは、
「脳卒中になった高齢の親がいたら、大なり小なり認知機能の低下があるかも」
と、覚悟してください。
病院の主治医からそういうことを聞いていなくても、
病気が脳卒中なら、もしかしたら認知機能が低下しているかもしれない、と思ってください。
もちろん、脳卒中になった高齢者が全員認知機能低下になるとは限りません。
しかし、脳卒中の起因とした脳血管性認知症は非常に多いです。
脳卒中+高齢です。
脳卒中+高齢、ということは、非常にボケやすい環境にいる、ということです。
脳卒中だけでもボケることがあります。
高齢だけでもボケることがあります。
両方そろっています。
普通に考えてもボケやすい環境いる、ということが理解できると思います。
◆ 家族は入院前の母親の思い出しかありません
しっかりしていた頃の母の思い出です。
あのしっかりしていた母親が、まさか自分のやったことを忘れてしまうようになるとは。
混乱して家族に電話をしてくるとは。
近くにいる看護師やスタッフに聞いたらいいものを、
わざわざ遠くの家族に電話してしまうという混乱が生じます。
認知力低下は、このように冷静な判断ができなくなってきます。
物が見当たらないのなら、近くの看護師やスタッフに尋ねたらいいじゃないですか。
家族に電話したところで家族がどうこうできませんしね。
でも電話してしまうんです。
家族さんが「ああ、またボケて電話してきたか…」
と分かってくれている家族がいますが、
分からない家族ですと、
「病院がしっかりしていないからだ」
と、看護師側を敵に回します。
こういうことはけっこうあります。
◆ まとめ:親は知らぬ間にボケ始める
特に親と同居していない息子娘の場合、以前のしっかりしていた頃の母親の印象しか持っていません。
ほんの数か月の間にあれよあれよと認知力低下になることがあります。
さらに、脳卒中+高齢の場合、認知症が進行していくことがよくあります。
最近はコロナで面会ができないことがありますので、家族さんは現状把握が難しいのでしょう。
電話やオンライン面会の時、母親は家族の前ではうまく取り繕うことがあります。
なので、家族は「なんだ、まだしっかりしているじゃないか」と勘違いすることがあります。
実際は、家族のいないところでは、けっこうボケていることがあります。
加齢や疾患によって認知力低下になることがあるのと、
本人はそれを隠そうと取り繕うことがあるのと、
その場合スタッフのせいにすることがあるのと、
親は、子が知らぬ間に徐々にボケることがあります。
それでは最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
自分に最適な職場にいこう
≫ナース人材バンクで高給与、好条件の看護師求人を探す
≫ナース人材バンクで高給与、好条件の看護師求人を探す
ぜひ、ボクのライブ配信に遊びに来てください(笑)
「LIVE812」のフォロワーさん、現在202名
↓QRコードをスマホで読み取ってください
↑QRコードをスマホで読み取ってください
こちらからもできます。スマホからクリック→LIVE812アプリ 無料ダウンロード
ありがとうございます。
Twitterのフォロワーさんが6,100人を超えました。
Twitterのフォロワーさんが6,100人を超えました。
Twitter≫ふるたによしひさ@看護師
YouTube≫おしえて!看護師よしひさ先生
「Clubhouse(クラブハウス)」がんばっていますフォロワー数550人
うちの親もボケてしまったので、すごくよくわかります(>_<)
うちの場合、家族はすごく認知症を疑ったのに、連れて行った病院の先生が『まだ大丈夫』と言って対応が遅れてしまいました・・・
まぁ、あの時すぐ対応しても、結局進行を止められたわけではないと思いますけどね。
気がついた時にはけっこう進んでますよねぇ(^_^;)
信じたくない気持ちもわかるんですが・・・現実なんですよね。
うちの親は パーキンソン病から来る レビー小体型認知症の初期に
なりつつあるようです。
判ってはいるんですが 時折幻視(せん妄)があり 肯定も否定もしない方がよいとのことで親にどう対応したら良いか切なく判らなくなることもあります。
記事に書かれている 電話の件 よくあります。それから変に遠慮したり 自分が
調子が悪い感じがあるのに すぐに看護師さんに言わない(そういう時は看護師さんにすぐに言って!といつも伝えるのに)で 私の方にまず電話が来たり。
幻視などは(突発的に良くなることばかりポジティヴに考えるんですが)対応次第では 話の話題の視点をずらして変えることが なんだかだましているみたいで・・・。それがまた 親の考えを無理に こっちに向かせるように感じたり。
何が正しい対応対処か判らなくなりますね。☆彡
これでホントにいいのかなんて考えちゃうと寝れなくなっちゃいます。
看護師さんも介護士さんも 大変ですよね。本当にありがたく思います。☆彡
werewolf さん>>
そうなんですね。
そういうことはよくあります。
ボクの場合、祖母がそうでした。
ある時ふと気づくと、
「ああ…、けっこうきてるな」
ということがあります。
さみしいような、かなしいような気持ちになります。
ゆうのすけさん>>
家族は家族の言うことを信じる人が多いですので、
入院や入所している親から電話があると、息子や娘は親の言うことを信じる人がけっこういます。
そのまま鵜呑みにして、
「うちの親がひどい目にあっている」
と勘違いする人が後を絶ちません。
現場にいる者としては、やるせない気持ちになりますが、
ご本人にとっては居ても立っても居られないことなのでしょう。
認知症の対応は奥が深くて、
「うそも方便」
ということわざがありますように、
本人を傷つけない嘘はべつに構わないとする派です。
認知症になりますと、忘れるということが18番になりますから、
「忘れる」ということをうまく利用するのも一つの対応策になります。