病院にはあまり興味がなくて、できれば老健とか高齢者施設で働きたい。
病院はもう嫌。次は病院じゃない老健で働きたい。
こう思う新人看護師は意外と多いはず。
でも私の答えは、これ。
「ちょっと待って。大丈夫じゃないよ」
◆ 新人看護師でも老健は大丈夫か?
大丈夫じゃない。
全然、大丈夫じゃないですよ。
私は急性期、回復期、老健、デイサービス等いろいろ経験を積んできましたが、やってみた経験から言えます。
「新人看護師には荷が重い」
病院と比べると老健てなんだかゆったりしていて、高度な医療もなく、病院が苦手な自分でもやっていけそうな感じがするから、新人看護師でもできそうな気になるのかもしれません。
それは、ぶっちゃけ甘いです。
新人看護師で老健に就職したいと考えている方にとってはうれしくない回答ですが、やはりもう少し看護師経験を積んでからのほうがいいと考えます。
老健で看護師をするということはどういうことなのか?
なぜ私が「大丈夫じゃない」と考えるのか?
次にお話します。
◆ 老健は看護師のスキルが求められる職場です。
老健に入居している方はほぼ全員が慢性疾患を抱えています。
糖尿病、心不全、脳卒中、認知症、などさまざまな疾患があり、しかも70歳~100歳の方が多いように准高齢者から超高齢者です。
たしかに症状は安定しているのですが、これほどの高齢になると、いつ悪化して急変してもおかしくはありません。
急変はもちろんあります。
徐々に弱っていかれる方もいます。
でも老健は病院ではありませんので、救急カートすらないんです。
そんな状況でどうやって利用者さんの命を守るのか?
異常の早期発見しかありません。
老健では急変時対応ができません。ほとんど何もできないと言っていいです。
なので、いち早く病院へ搬送することが重要です。
急変時対応ができないといっても、救急車で搬送するまでにどうすればもっとも安全で安楽になるか?
命を救うためにできることはなにか?
これを知っておかないと老健の看護師は務まりません。
つまり、フィジカルアセスメント能力が身に付いていないと、命を守れないということです。
しかも夜勤は看護師は一人です。あとは介護職ばかり。
夜間の急変で救急車に同乗して対応するのも看護師です。
救急車が到着するまで医療行為は自分一人しかできないので、なんとかがんばらないといけません。
夜間の急変で救急車に同乗して対応するのも看護師です。
救急車が到着するまで医療行為は自分一人しかできないので、なんとかがんばらないといけません。
さらに、最近の老健は「看取り」までやります。エンゼルケア(死後処置)もします。
死期が近づいてきた利用者さんができるだけ最後まで安楽に過ごせるにはどうしたらいいのか?
いよいよという時にどういう対応をするのか?
もしそれが夜間だった場合、看護師は自分一人だけです。医師との連携は?エンゼルケアは?
死期が近づいてきた利用者さんができるだけ最後まで安楽に過ごせるにはどうしたらいいのか?
いよいよという時にどういう対応をするのか?
もしそれが夜間だった場合、看護師は自分一人だけです。医師との連携は?エンゼルケアは?
これらは病院勤務で経験を積んでおかないとできません。
新人看護師はまだまだこうした経験が浅いので、もしくはまったく遭遇したことがない人も多いはずですから、対応に苦慮すると思います。
胃ろうや経鼻経管栄養の方もいる。
あと、看護師は比較的年配の方が多いので、20代30代の若い人はほとんどいない。自分と同年代がいない可能性が高いです。人によってはこれも辛く思うもの。
どうです?新人には荷が重くないですか?
高度な医療器機以外は、病院看護がギュッと詰まっています。
◆ ある女性入居者さんの看取りを経験。老健はここまでします。
ある90歳代の女性入居者Aさん。
ご家族の要望で老健での看取りを希望されました。
だんだんと体力が落ちてきて、ご飯が自分で食べられなくなりました。胃ろうや経鼻経管栄養は希望されなかったので、食べられるギリギリの時期まで食事介助をしながらなんとか口から食べていました。
やがてそれも不可能になり、点滴栄養になりました。
呼吸がだんだんと浅くなり、酸素投与が開始されました。
そして最後を迎えられました。
心電図モニターで心拍がないことを証明し、主治医が死亡確認し、エンゼルケアをしました。
こうした一連の流れはもちろん介護職のスタッフと連携をしながらケアをおこなっていきます。しかし死期が近づいてくると看護師の観察力が求められるようになります。
生きるか死ぬかの瀬戸際になってくると医療的な側面が強くなるからです。
◆ まとめ
新人看護師でも老健は大丈夫とは言い難いですね。
「老健は楽」と短絡的に考えていると、入ってみて思っていたのと違うということになります。
でも、実は、私は新人看護師で老健に就職した方を知っています。その看護師は40代の女性で社会人経験を積んでから看護師になった方です。
病院勤務も同じ職場だったのでよく知っているのですが、非常に優秀な方です。
彼女は新人でも老健でしっかりやっていけていました。
つまり、自分のスキルを向上しようと努力している方は、たとえ新人であってもやっていけるという良い例です。
もちろん合う合わないがありますから、新人でも「老健が楽しい。やりがいがある」と思うのであれば働く価値は充分にあると思います。
自分に合った老健を見つけたいとお考えの方に、老健求人情報も豊富な転職エージェントをご紹介しておきますね。
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とはいえ、老健は高度な医療器機がない分、看護師のフィジカルアセスメント能力がものをいいます。
病院勤務等でしっかりスキルを磨いてから老健で働くことをおすすめします。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
ちょっとお聞きしたいです。
私は72歳ですが超高齢者なんでしょうか?
yumibabaさん>>
言葉足らずですみません。
「准高齢者から超高齢者」に修正しました。
コメントありがとうございます。