病院では患者さんからのクレームは毎日のようにあります。

特に大病院では、あっちの窓口、こっちの受付、あそこの会計、となりのナースステーション…と、どこかで大小さまざまなクレームが今日もあるはずです。

内容は、些細なことからおおごとまで様々。

一般企業でも顧客や取引先からさまざまなクレームはあります。私は元営業マンでしたから、よく分かります。

でも看護師になってみると、

「一般企業よりもクレームが多いんじゃないの⁈」

と思うほどあるわ、あるわ。

でもどうしてこんなにクレームは多いのでしょうか?

考えると、「コミュニケーション不足が原因」ということが言えます。


◆ 説明が足りないからクレームになる。



医師や看護師は患者さんにきちんと説明をしたつもりですが、患者側はまだ「???」の状態であったとう場面があります。こうした場面では、あとから患者から「そんなの聞いてない」と言われる可能性が高くなります。


また、病院側の説明を患者なりに解釈して、「あれがダメなのなら、これはいいのだろう。だってダメな要因は含まれていないから」と解釈の幅を広げてしまうことがあります。

例えば糖尿病や高脂血症などでカロリー制限をする場合、医師からカロリー制限のためにお菓子やジュースはダメと言われたとしましょう。患者や家族は「はい、分かりました」と言いました。しかし後日ダイエットコーラやカロリーオフのジュースを飲んだり、ノンシュガーのお菓子を食べたりしているのを看護師に発見されました。

医師はカロリー制限をするということはいわゆる「間食禁止」の意味でした。三食の食事以外は飲み食いするなという意味で言ったのです。しかし患者や家族は「カロリーゼロやカロリーオフのものなら大丈夫ということだな」と解釈してしまって、食べてしまいました。


このようなことは病院ではよくあります。

よくあってはいけないのですが、あるんです。


医師がきちんと説明をしていれば、別の解釈の余地がないように言葉を選んで説明をしておけば、こうしたトラブルは起きなかったでしょう。

「きっと分かってくれるだろう」「これくらいのことは理解できるだろう」「こっちの言いたいことを上手くくみ取れよ」という気持ちで発言すると、相手に正しく伝わらないことがあります。


◆ 一声の配慮不足からクレームになる。

入院していて、検査や診察が必要になった時、医師や看護師たちがドカドカと病室に入り込んできて

いきなり服を脱がせたり、ズボンを脱がせたりして診察を始める。こういうことってあるんです。びっくりして当然。患者さんからしたら「え、え、え?なになに?」ってなりますよね。


また別のパターンでは、たとえば眠前薬の飲ますタイミングって看護師によって時間が違うことがあります。

ある看護師は20時くらいに眠前薬を持ってきます。べつの看護師は消灯時間の21時持ってきます。そうすると患者さんにしてみると、

「時間がバラバラ」

と思われてしまいます。眠前薬は文字通り寝る前に飲む薬です。なので、20時だろうが21時だろうが寝る前に違いありません。どちらの時間に飲んでも特に体には支障はないので、看護師はつい自分の仕事の流れで薬を飲ませてしまうのです。


こういう場面では、前もって患者さんといつ眠前薬を持ってくるといいのか話しておくと、トラブルを回避できたでしょう。


◆ そもそも病院という環境が合わないからクレームになる。



ヒトはそれぞれ自分の性格があります。環境が合わないこともあるでしょう。

「思っていたのと違う」

と入院してみて思うことがあります。

特に大部屋だとひとつの部屋に何人かの他人と一緒に過ごしますから、慣れていないとストレスを感じる人が多いです。

入院してから「こんなはずじゃなかった」と後悔される患者さんがいます。


また病院のルールがストレスになるケースがあります。


いづれにしても、クレームの大半は患者側と病院側とのコミュニケーション不足です。

双方がしっかり意思疎通をおこない、治療やリハビリに専念できる環境作りが大切ですね。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。