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普通、入院というのは「良くなるために」入院をするものです。そう考えるものですよね。

そうなんですが、高齢者の場合、入院が引き金となって体調などが悪化することがあります。

「それって、一体何のために入院しているんだ…」と思うかもしれませんが、多くの方に知っていただきたいのは、高齢者ほど入院するとかえって悪くなることが多いということです。

やはり入院期間は短いほうがいいと実感します。

長く入院しているとろくなことはありません。認知症が進みます。せん妄が起こります。全身状態が悪くなります。

「ないない、ウチは大丈夫」と思うなかれ、これらは誰にでも起こり得ることなのです。

高齢者ほど入院するとかえって悪化するということは、ぜひご家族さんも知っておくべきことです。


◆ 病気はよくなっても、手足などの機能低下をすることがある。

人の臓器や筋肉、関節などの器官は、使わないと機能低下します。

いわゆる「廃用症候群」というやつです。

入院しているとベッドに寝ていることが増えます。リハビリとかありますが、それでもどうしてもベッドにいる時間は長くなりがちです。重症だとよけい安静にしがちです。安静にすることによって機能低下が起こります。これが「廃用症候群」です。

手術などでメインの病気は良くなりましたが、逆に足腰が弱まってしまいろくに歩けなくなることがあります。

この廃用症候群になると、なかなか回復しにくくなります。


この廃用症候群は全身に悪さをします。

先ほども言ったように足腰の弱りをもたらします。長時間の安静により腹筋の低下や胃腸などの消化器官が弱り便秘になったりイレウスになったりするリスクがあります。呼吸器も弱まり肺炎のリスク、そして心臓も弱まり動悸が起こったりします。まだ他にも廃用症候群からくる疾患があります。

そして一番憂慮すべきは、廃用症候群により一気に老衰へ進む場合があることです。


◆ せん妄という脳の混乱を起こすこともある。

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このせん妄は、幻視や混乱、興奮を起こし、時に大暴れをすることがあります。

これも入院という環境の変化によって引き起こすことがあり、入院患者の3~4割がせん妄を起こすと言われています。

けっこう多いですよね。

せん妄を起こすと手が付けられなくなることも多く、結局落ち着かせる注射をされて寝かされるということもよくあります。

私の経験では高齢者ばかりにせん妄が起こります。若い患者は絶対起こらないということではありませんが、私は高齢者しか見たことがありません。


せん妄は誰にでも起こります。

「ウチのばあさんは大丈夫だろう」と思っていても、なるときはなります。


◆ 認知症が進むことはよくある。

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これも入院してからよく起こることです。

本当に進みます。

入院当初はまだかわいい認知症だったのが、入院が長くなるにつれて所謂「ボケ」がひどくなってきます。

朝か夜かも分からない。ご飯を食べたのも忘れてしまう。こちらの指示が入らない。大声や暴れたりするなど、入院生活がまともに送れなくなることがあります。


私はこの「入院生活が長くなると認知症が進む」という事態にいやというほど接してきました。結構な数の高齢者が認知症の悪化を認めたのです。

認知症は「環境の変化に弱い」のです。なので入院が引き金となって認知症が進行します。


◆ 一番いいのは、できるだけ入院させないこと。

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もともと認知症がある患者さんの場合、入院することで認知症が悪化することがよくあります。家族さんはこのことをよく理解しておくことが大切です。よりボケが進むと思ってまず間違いないです。

認知症の診断がなくても、診断をしていないだけで軽度の認知症があることがあります。その場合も入院が引き金になって認知症が進行することがよくあります。

それほど認知症は環境の変化に弱いのです。そのことをよくよく理解しておくことが重要です。


なのである程度病気やケガが落ち着けば早めに退院して、通所リハビリや訪問リハビリにしたほうが良い場合があります。自宅をベースにしてリハビリをする方法にするのです。そうすれば環境の変化は少なくて済みます。自宅で生活しながらリハビリができるからです。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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