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回復期といえども、体調がものすごく悪い患者さんがいます。

そこに入院している患者さん全員が、落ち着いた状態というわけではありません。

国の方針で、そこそこ重度の患者も受け入れないといけないからです。


そのような中で、徐々に弱っていきターミナルになられる患者さんもいます。

胸にモニターを付けられて、命がもうすぐ尽きようとされるのです。

延命を希望されない患者さんの場合、転院して積極的な治療を望まれないので、このまま回復期リハビリテーション病棟にいて最後を迎えることになります。

面会に来られるご家族さんは、今日か、明日か、とドキドキしながら来られます。

それでよく聞かれるのは「あと、どのくらいもちますか?」

そんなの分かりませんから!


◆ 医師が予後を予想できのは、ドラマの見過ぎのせいです。

おおよそは予想できると思いますが、いつ亡くなるかなんて誰にも分かりません。

これが答えです。

本当に「あ、これはもう戻りできない。まもなく亡くなる…」と分かるのは、傍にいる看護師ですら分かるくらい末期の状態になってからです。


入院患者がお亡くなりになるよくあるパターンは、

状態が悪いので患者は、心電図モニターを装着されている。

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心電図モニターの波形がゆっくりになってきた。

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現場の看護師がそのことを医師に連絡する。

(このとき医師は大概「そうか、じゃあ脈が止まったら教えて」と言います)

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脈が10~20くらいになって、看護師たちも「もうそろそろか…」と身構える。

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脈がゼロになったとき、医師に連絡する。

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医師が患者のところに到着して、瞳孔確認、心拍確認、呼吸確認をして、「死亡確認」をします。

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看護師が患者さんに付いているコード類や管などを取り除き、お身体をきれいにします。


という流れです。


その間にも家族を呼んだり、裏でエンゼルセットを用意したり、最後まで吸引したり、モニターを確認したりしています。


つまり、最後のときは心電図モニターの波形がゼロになって、ようやく医師が到着するのです。

それまでは連絡をとりながら、看護師が最後の瞬間に立ち会っていることが多いのです。

もちろん、死亡確認は医師しかできませんので、それは看護師はできませんが、心電図モニターの波形がゼロになり、患者さんの呼吸や心拍が止まっているのは看護師でも分かっています。


医師といえども、最後の瞬間がいつなのかは、分からないというのが本音です。

もし言われても、あくまで確率論です。


◆ 看護師も分かりません。

もちろん、看護師にもいつ亡くなるかは、分かりません。

なので、ご家族さんから聞かれても、答えに困ります。


でもまあ、ご家族さんにも都合や、準備などが必要でしょうから、聞いてくることは分からないでもないですが。

もし聞かれたら、「分かりません」としか言えません。それに付け加えて、「ものすごく状態が悪い、超低空飛行です」とくらいしか言えませんね。


◆ あとどのくらいかよりも、この瞬間を大切に。

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こうして「あとどのくらいですか?」と聞いてくるご家族さんが多いのは、おそらく「最後の瞬間に立ち会いたいから」だと思います。


その気持ちはよく分かります。

もし死の瞬間に間に合わなかったら親に申し訳ない…というお考えの方もいらっしゃることでしょう。

しかし、こればかりはいつになるのか分からないので、確実に親の死に目に会えるとは限りません。


なので、死に目に会うことばかりにこだわるのではなく、生きているその瞬間瞬間の時間を大切にしたほうがよほど親孝行だと思うのです。

以前にこのような記事を書いたので、ご参考までに。




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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