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私が勤めている回復期リハビリテーション病棟でも終末期の患者さんがいます。

「えっ?!リハビリ病棟なのに?」

と思われる方がいると思いますが、リハビリ病棟でも具合のよろしくない患者さんがいます。

診療報酬上、一定数の重度の患者さんを受け入れないといけませんから、「本当にリハビリできるの?」と思うような重度の患者さんもいます。

回復して入院時よりも元気になってくれると良いのですが、残念ながら回復せずに悪化の一途を辿る患者さんがいます。このような患者さんに対して私たち医療者はどう向き合うのか?一般病棟、救急、回復期リハビリテーション病棟では対応が違うので、今回は回復期リハビリテーション病棟の場合のお話をします。




◆ 一番大切なのは最後まで丁寧にケアをすること。

患者さんの状態が悪くなってくると、患者さん自身で動くことができなくなってきます。

例えば寝返りやお茶飲みや排泄など、日常生活で行っていることができなくなります。

そうすると私たち看護師や介護士が中心となって患者さんのケアをするのですが、今まで会話ができていた患者さんだったのに、今はずっと寝たままということで、状態の悪さを実感します。

そしてただ状態が悪いということだけでなく、「いつ逝ってしまってもおかしくない」状態であり、ケアをしながらも「その時」の到来に気を張っている状態になります。

もうそんなに先が永くないという状態だからというわけではありませんが、しかし長い人生の最後が近づいてきているのを間の当たりにすると、その患者さんの人生に敬意を払いながらケアをさせて頂きます。


もう最後になるかもしれない・・

次の勤務までに、もしかしたら・・

今日終わったら次は二日後の勤務、それまでもつのか?・・・もしかしたら今日が会うのが最後になるかもしれない。

いろんな考えが頭をグルグル回ります。


回復期リハビリテーション病棟ですので、可能な限りリハビリもします。

関節が固まらないように、褥瘡が発生しにくくするために、身体の機能維持のために、目が開かなくてもリハビリをします。ベッド上で脚を動かしたり、腕を動かしたり、マッサージをしたりします。もちろん、セラピストは体に負担にならないように注意しながらベッド上でリハビリを行います。


一番大切なのは、最後まで丁寧にケアをするということです。


◆ できるだけ最後の時に間に合うようにご家族に連絡します。しかし・・

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「親の死に目に会えないのは親不幸」という言葉があります。

「死に目に瞬間におれなかったから、私は親不孝者だ」

という意味だと多くの人が勘違いしているかもしれませんが、正しくは

「親よりも早く死ぬことが親不孝」という意味です。

親よりも子が先に亡くなることほど悲しいことはありません。

そういう意味です。

ですが、日本人の多くは親が死ぬその瞬間に立ち会いたいという気持ちがあります。

たとえ目を開けてくれなくても、たとえ会話ができなくても、まだかすかに生きているうちに一目会いたい。傍に居たい。そういう気持ちがあります。




もし「いよいよか」という時になれば、まずいち早くご家族に連絡を入れます。

ご家族の到着が間に合うこともあれば、間に合わないこともあります。

いずれにしても、まず家族に早く病院に駆けつけてもらいます。


もしご家族さんが間に合わなかった場合、家族さんからよく聞かれることがあります。

「最後はどんな感じでしたか?」

私はこう答えます。

「とても穏やかでした。まるで静かに寝ているかのよう。心電図モニターがなければいつ亡くなったのか分からないほど穏やかでした」

これはお世辞ではなく、実際そうなのです。

この一言でご家族さんは救われます。

たとえ死に目に間に合わなかったとしても、「ああ、最後は苦しまなかったんだな。よかったな」と思えるのです。


◆ 患者さんから最後まで学びます。

人が生まれる瞬間と人が死ぬ瞬間に立ち会えるのは医師や看護師ならではです。

この仕事をしているとたくさんの死を見ます。

傍にいる私たちも大変悲しく、涙を流すこともあります。

元気だったころを入院中だけとはいえ知っているだけに、なんとも不完全燃焼な、悔しさと悲しさがあります。


患者さんから看護師は常に学びます。

たとえ会話ができなくても、目を開けてくれなくても、一人の人間を看護するということは多くのことを学びとります。

ご家族さんの想いと一緒です。

「もっとこうできたんじゃないか」

「もっとこうしておけばよかった」

看護師もこのように思います。

だからこそ最後までしっかり丁寧にケアをしたいと心掛けています。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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