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皆さんは「9月1日問題」を聞いたことがありますか?

夏休みが明けるとき、始業式が始まるタイミングで自殺する子どもが多いことを。


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内閣府が2016年6月にまとめた「2015年版自殺対策白書」によれば、1972年~2013年の42年間の18歳以下の自殺者を日付別にみると、9月1日が131人で一番多く、4月11日の99人、同月8日の95人、同月2日の94人、8月31日の92人と続きます。いずれも学校が始まる時期とちょうど当てはまっています。

たとえばいじめを受けている子は、夏休み中はいじめに遭う確率は下がります。しかしだんだん始業式が近づくにつれて、またいじめを受ける日が近づいてくる。またあの地獄の日々が始まる。。。。そして死を選ぶ。

この問題は単に「逃げよ」と子どもに言うだけでは解決はしません。周りの大人たちはどう関わればいいのでしょうか。




◆ 説得や叱ることで自殺を食い止めようとするのはダメ。

「そんなこと考えちゃダメでしょ!」

「バカな事を言って!」

言ってしまいそうな親は多いんじゃないでしょうか。でもこういうことを言っては逆効果です。

自殺を考えている、それこそ真剣に死のうと考えている子どもに対して「親は理解していない」ことを示していることになります。

親ですら自分のことを理解してもらえていない、分かってくれていない、味方ではない。

こういうメッセージを子どもに与えてしまいます。

もう一度言います。親は反射的にこういうことを言ってしまいがちですが、逆効果です。叱ったところで自殺をするのはやめようという気持ちにはなりません。


◆ 「命の尊さ」を説いても自殺を辞めようとはならない。

命が大事、何よりも大事、大切な命、だから死なないでと説得しようとする親がいると思います。

それを言ったところで「じゃ、死ぬのやめよう」とはならない。だって、命が大事ってもうとっくに知っていますし、それを捨ててでもこの今の辛さから逃れたいのだから。

論点は命が尊いではない。この尊い命を捨てないとにっちもさっちもいかないこの最悪な状況をどうにかしたい、ということです。これを大人が真剣に考えないといけないということです。


◆ 大人の子どもの価値基準は違う。味方となって時間をかけて真剣に話を聞いてあげる。

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自殺をしようとしている子どもから理由を聞いたとき、どう思いますか。例えばそれがくだらない理由だったら。

きっと「なんだ、そんなことで…」「そんなしょうもないことで悩んでいたのか」と思いませんか。

それを言ってしまってはおしまいです。

大人の価値観と子どもの価値観は違うのです。


これを言ってしまうと子どもはどう思うでしょうか。自分のことを真剣に考えてくれない、分かってくれない、こんなにつらいのに…と思ってしまいます。

大人からしたらそんなことでどうして死のうと思うのか?と思ってしまうことでも、本人はとても真剣な問題なのです。これを理解しましょう。


なかには自殺の理由を話してくれる子どもがいます。勇気を出して言ってくれたのですから、「よく話してくれたね」と褒めてあげましょう。壮絶ないじめに遭っている子どもにとって、しゃべるということは怖いことなのです。しゃべったことで何かまたいちゃもんをつけられないか、怒られないか、嫌なことを言われないか、怖いんです。でも自殺したいことを話してくれたなら、しっかり受け止めてあげましょう。


◆ 一人にしない。孤独は避けましょう。

とにかく一人にしてはいけません。孤独がよけい悪い考えを誘発します。

仕事を休んででも、学校を休んででも、子どもと一緒にいる時間を増やすこと。

親戚でも兄弟でもおじいちゃん、おばあちゃんでも誰でもいいので傍にいてあげる。

自分の子どもが死ぬくらいなら、どんなに休みにくい仕事でも休みます。あなたより大切なものはないというメッセージを届けるのです。


このとき「なんでそんなことを考えたの?」「そんなことを考えるなんて馬鹿だなあ」「死ぬなんて弱い人が選ぶんだよ」と詰問をしたり叱ったり、説き伏せようとしたりするのはNG。

「何があってもあなたの味方」「どんなことがあってもあなたを守る」「そのためには全力であなたの味方をする。あなたに降りかかる火の粉はすべて私が払いのける」

こういう「あなたを全面的に守る」ことを伝えるのです。


◆ 加害者を放置しない。「お前にも悪いところがあったんだろ?」と言わない。

やはり加害者をそのままにしてはいけません。そもそもいじめは犯罪です。加害者の子どもには悪いことをしたと分かってもらう必要があります。ヒトを死に至らしめるほどのことをしたんだと。

加害者はよくこう言います。

「ふざけてやっただけなんだ」「冗談のつもりだった」「そんなにひどいことはしていない」

全部間違いです。自分の罪を軽くするためにこう言っているだけです。

またこうも言うかもしれません。

「あいつもこんな悪いことをしたんだ。だからやったんだ」「あいつも酷いんだぜ」「こっちはあいつからこんな目に遭わされたんだ」

これも自分を正当化するための言葉です。だからいじめをしてもいいという理屈にはなりません。

これを聞いて大人は「お前にも悪いところがあったからいじめられたんだろ」とは言ってはいけません。

もう相手の思うつぼです。

大人なのですから、双方の言い分をしっかり聞いて、それから判断をしましょう。先に言ったほうの肩を持たない。偏見なしに双方の言い分を真剣に聞くことが大切です。


そのうえではっきりと言ってください。

「あなたは悪くないよ」


◆ 「あなたがいなくなると、悲しむ人がいる」ことを話す。

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自殺をしようと考えている子どもは、もう後がない状態です。子どもなりに地獄を味わっているのです。もう苦しくて苦しくて消えてしまいたいのです。

その本人だけではどうしようもできないのです。だからこそ、周りの大人が助けないといけません。


自殺を考えている子どもは長い間苦しんできたのです。

9月1日になって急に「死のう」と思い立ったのではありません。今までずーーっと苦しんできたのです。悩んできたのです。

そして休みが明けてまた学校が始まるタイミングで自殺をするのです。またあの地獄が始まるからです。


話してくれたら、打ち明けてくれたら、今まで耐えてきたことを労ってください。「良く話してくれたね」と打ち明けてくれたことを褒めてください。そしてこれからのことを全面的に味方になって話していって、100%守る、もう大丈夫というメッセージを子どもに送りましょう。「あなたがいなくなったらすごく悲しい」この当たり前の感情を伝えてください。


◆ 休み中に自殺を考えているくらい悩んでいる子どものサインとは。

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①夏休みが終わろうとするのに、学校へ行く準備をしたがらない。しようとしない。

②スマホ(LINE等)を見たあと、沈んだ様子になる。口数が減る。または逆にわざとらしく笑顔や元気を振る舞う。

③ショッピングモールなど学校の生徒がいそうな場所には行きたがらない。

④休みが終ろうとすると急に体調が悪くなりがち。


「普段のことだ」と軽く考えていると、実は深刻な状況であったということがあります。やはり大人基準で子どもの行動を見ると大切なことを見逃してしまうかもしれません。大人はこうした知識を持つことが大切です。


「9月1日問題」は非常に悲しい問題です。

私は小学校、中学校と壮絶ないじめ体験をしましたので、他人事とは思えません。

この日は子どもの自殺が一番多い日として、もっと多くの人に知ってもらいたいと考えています。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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