「分かりやすい脳出血」、今回は脳出血の種類と症状についてです。
単に脳出血といっても種類があります。また症状も違ってきます。
今回はこうした違いについて話していきます。
◆ 出血の場所によって違うが、多くはこの症状がでる。
脳出血の症状は、出血の場所によって違いますが、多くは突然の頭痛と吐き気があります。これは最初の段階で起こります。実際には吐き気で収まらず、嘔吐することも少なくありません。
片側の麻痺(片麻痺)が起こり、片側の手足にみられます。
さらに、大出血を起こした場合は、意識がなくなります。
◆ 特に起こりやすいのは、「被殻(ひかく)」と「視床(ししょう)」。
脳出血は特に起こりやすい部位があります。
最も頻度が高いのが、「被殻(ひかく)」と「視床(ししょう)」です。
この二つの場所で出血が起こると麻痺や感覚が鈍くなったり無くなったりする症状がでます。
これは「被殻」と「視床」の間に「内包(ないほう)」という手足を動かす神経や、手足からの感覚を脳へ送る神経が集まっているからです。
この場所で出血が起こると内包にまで出血のダメージが及ぶと、麻痺や感覚障害が起こるということになります。
内包はそれほど運動や感覚に関わっている重要な場所といえます。
内包にまで出血のダメージが及ぶと、出血と反対側の手足に麻痺が出たり(片麻痺)、半身の感覚がなくなったり鈍くなったりします。
例えば、右の脳の内包にダメージがあれば左半身麻痺、左の脳の内包にダメージがあれば右半身まひ、というように出血とは反対側に障害がでます。
これは簡単にいいますと脳の神経伝達が、脳のなかで左右交差しているためです。
内包付近におこる脳出血は、全体の70%ほどを占めています。
◆ 脳の表面付近に出血が起こると、皮質下出血。
脳の表面付近の下には神経線維がたくさん集まっている白質(はくしつ)と呼ばれる所があります。
ここに出血がおこると、皮質下出血といいます。
症状は、出血した部位によって決まります。
例えば、右の後頭葉(脳の後ろ側)に出血がおこると、視野の左半分が見えなくなります。
また、言葉をつかさどる所に出血をすれば、失語症の症状がでます。
◆ 小脳に出血が起こると、めまいや、バランスが悪くなる。
小脳という頭の後頭部と首の付け根付近にある脳に出血すると、後頭部や頭全体の激しい頭痛と吐き気、嘔吐があり、めまいを伴うことが多いです。
小脳はさまざまな感覚情報が集まる場所です。体のバランスをとっているのも小脳のおかげです。
運動神経の障害されない部位ですから、麻痺は起こりません。
手足のバランスが悪くなり、まっすぐ歩けなくなったり、細かい作業ができにくくなったりします。
◆ 一番怖いのは、脳幹出血。
脳幹(のうかん)は、脳のなかでも生命維持に関わっている重要な部位です。
脳幹のなかでも「橋(きょう)」という所で出血することが多いです。
脳幹はもともと親指くらいの小さな部位ですから、たった10ml程度の小さな出血でも発症後数分で意識がなくなり、両手両足が動かなくなり呼吸が止まり、そのまま死亡してしまうことがあります。
それくらい脳出血のなかでも脳幹出血は重症なのです。
ちなみに脳幹は医師も触れないほど重要な部位ですから、出血した血を取り除く手術は適応外です。
◆ まとめ
・脳出血の症状は、出血の場所によって違いますが、多くは突然の頭痛と吐き気があります。
・最も頻度が高いのが、「被殻(ひかく)」と「視床(ししょう)」です。
・内包にダメージが及ぶと、出血と反対側の麻痺や感覚障害などが出現します。
・小脳に出血がおきると、手足のバランスが悪くなり、まっすぐ歩けなくなったり、細かい作業ができにくくなったりします。
・一番怖いのは、脳幹出血。そのまま死亡してしまうことがあります。
それではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
読んでると寒気がしてきます、怖いですね。
そうです。とても怖い病気です。
だからこそ一度発症した方にはもう二度と再発してほしくありませんし、誰一人として発症して欲しくありません。
出来るだけ危険因子を避けるように生きていきましょう。