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患者さんのリスク管理をするうえで、既往歴を甘くみてはいけません。

特に高齢者の場合、複数の疾患を抱えている方はたくさんいます。

加齢に伴い病気にかかるリスクは高くなります。

また、病気でなくても体力は若い頃に比べて格段に落ちています。

加齢、既往歴、これらを総合的に見て判断する力が必要です。



◆ 見えないところにリスクは隠れている、それを診るためには?

糖尿病、骨折、高血圧、心不全など、その人の持っている病気はそれぞれです。

今は治っている、もしくは落ち着いている状態の今までにかかった病気を既往歴といいます。

高齢者の場合、この既往歴は複数あることは珍しくはありません。

ご本人も

「ガタがきたなぁ。歳だな、情けないわ」

とお思いかもしれませんが、長生きすればするほど体にガタがくるのは仕方がないことです。

長年使い続けていると、どこかしら痛んでくるものです。


なので、私たち医療者は患者さんの既往歴を把握することが大切です。

もちろん、既往歴が全てではないのですが、

そこには大きなヒントが隠されているときがあります。

今の病気だけについ目が行きがちですが、現病歴だけをみていては本当の病気を見過ごすことになりかねません。


たとえば患者さんが

「ご飯いらない」

と訴えたとします。

どうしてご飯を食べようとしないのか?考えますよね。

そういう気分じゃないから、間食を食べたから、まずいから、そのそのお腹が空いていないから・・・・

原因をいろいろ考えますが、既往歴にヒントがあることがけっこうあります。

ですから、いろんな病気の症状を勉強しておく必要があるのです。

患者さんによっては自分の症状をうまく表現できないことがあります。

「何か変」「いつもと痛みが違う」など、どう的確に言い表したらいいのか、困っているのかもしれません。


検査をしたら分かるだろうと思うかもしれませんが、そうだとしても、どの検査をするのか検査内容を決定するためにも、ある程度「この病気を疑う」というものがないと、やみくもに何でもかんでも検査をするわけにはいかないからです。


患者さんが「大丈夫だよ」と言っても、よく見ると顔に冷や汗が出ていたり、身体が熱かったり、触ってみて痛みがあるとか、患者さんの言葉以外のところで症状のヒントを発見しようと観察しないといけません。

見えない病気を診るためのポイントフィジカルアセスメント能力を高めること。
・顔色、声質など五感をフル活用して、患者さんの真の言いたいことを知ろうと観察すること。
・普段の様子をしっかり覚えておくこと。
・いろいろな病気の原因や症状を勉強すること。
・どういう場面で症状が出るのかを調べること。




◆ 既往歴を甘くみないで。ヒントはそこにあるかも。

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既往歴は今は治っているからとか、落ち着いているからとかで安心してしまうことがあります。

「昔になった病気でしょ。今は大丈夫」

と勝手に安心感を持ってしまっている人もいます。

しかし既往歴はまた発症するかもしれませんし、その病気が他の臓器に悪さをしている可能性もあります。


痛みを単なる「痛み」としてしまわないよう。

「そんなに痛くなさそうだから、大丈夫」「もう、昔の話でしょ」と甘く思っていると後で大変なことにつながる可能性もあります。


これは一例ですが、

「痛み」にはいろんな原因が考えられます。


もしかしたら、とても重大な病気のサインかもしれません。

どうもないのでしたら、それで安心かもしれません。


その見極めをするために諸検査をするのですが、例えば医師に報告をするレベルなのか、すぐにするべきなのか、医師に合ったタイミングでもいいものなのか、判断しなければいけません。


リハビリでしたら、リハを中止するべきなのかどうか。

医師でないからそんなのできない。ということを言っていてはだめです。


患者ファーストです。

診断は医師がします。その前段階でいち早く私たち看護師やリハスタッフ等が気づけたら。

こんなに患者さんにとって心強いことはないでしょう。


一つの病気が他の臓器に悪さをして、病気のある場所以外のところで症状を出していることもあるのです。


症状の現れている場所だけをみると、気づかないことがあります。


既往歴から全身のフィジカルアセスメントまでみれるようにして、患者さんに安心安全を提供できるようにしましょう。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。






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