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「脳卒中の超基礎シリーズ」で今回はちょっと豆知識です。

全国都道府県で脳卒中になりやすい県とそうでない県があります。


脳卒中はどこの都道府県でも起こりますが、特に集中している地域があります。

それは、東北です。


福島県、青森県、岩手県、秋田県、とくに秋田県は昔から脳卒中が多い地域として知られています。

ではなぜ東北に脳卒中が多いのでしょうか。

◆ 特に秋田県では塩分摂取量が多い


東北地方は昔から、脳卒中死亡率が高い地域として知られています。そのなかでも秋田県が最も高いのです。それを研究するために1969年に秋田県立脳血管研究センターが設立されました。


秋田県は、塩分摂取量が非常に多く、1960年以前は1日の食塩摂取量は25gでした。

厚生労働省が2014年3月に発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書によれば、18歳以上の男性は1日当たり8.0グラム未満、18歳以上の女性は1日当たり7.0グラム未満という目標量が定められています。

日本高血圧学会減塩委員会は、高血圧予防のために、1日6グラム未満という制限を勧めています。


2012年時点での日本の成人1日あたりの食塩平均摂取量は、男性で11.3グラム、女性で9.6グラムと発表されています。


こうしてみると、秋田県の25gはいかに多かったかが分かります。

現在でも秋田県の食塩摂取量は12gを超えており、まだまだ日本の基準を超えています。

これが高血圧の最大の原因となっていました。

◆ 秋田県は低コレステロールの人が多いため、血管が破れやすい。

また、当時の秋田県のもう一つの脳卒中危険因子は、低コレステロールです。

コレステロールはなんだか悪い者のような印象を持っている方がいるかもしれませんが、それは一方的な考えです。おそらく高コレステロールが目立ってメディアに出るからだと思いますが、たしかに高コレステロールは動脈硬化を促進します。

しかし、その反対に低コレステロールは血管の壁をもろくします。

コレステロールは血管の壁の材料となるからです。


さらにこの地方は酒どころで、日本酒の摂取量が多いこともあげられます。

ちなみにアルコール摂取量日本一は鹿児島県ですが、東北地方の県も非常にアルコール摂取量が多いのです。


こうした要素が重なって、脳卒中、特に脳出血が非常に多い地域になっています。

しかも脳出血は重症が多い。これが脳卒中死亡率を高めています。


では次回は、こうした事態に対して、どのような対策をしているのかを見ていきます。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました