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患者さんの着ている服を「病衣」(びょうい)と言います。

この病衣は病院の服というか、病院が用意してくれる服ということです。

もちろん、自宅から持ってきた服を着ている患者さんもいます。

むしろこっちのほうが多いのではないでしょうか。


今回は病衣と普段着の利点・難点をご紹介します。

◆ 病衣の利点・難点



まず利点です。

病衣はほとんどの場合は甚平とか浴衣が多いのです。

これはいつでもパッと脱げる!という利点があるから。

洗濯は不要です。

業者が回収してまた新しい病衣を納品しますから、私たち病院側も

楽です。

一律同じ仕様なので、看護師さんたちは慣れているから更衣がしやすい。

家族も着替えを持ってくることや汚れた服を持って帰って洗濯する手間

がなくなります。

着替えがなくなって病院から催促の電話がかかってくることもありません。


難点は費用がかかること。

家族負担が増えます。

入院費に加えられて請求されます。

浴衣の場合はリハビリがやりにくいこともあります。

浴衣はズボンタイプと違って、歩くリハビリに不向きな場合があります。

足の動きが外から見えにくい。

下着が見えてしまって恥ずかしいということもあります。

できればズボンタイプがいいでしょう。

寝たきりの場合は浴衣のほうがゆったりして、更衣もしやすくて患者さん

も楽ではないでしょうか。

でも病衣は決まっていますから、そこの病院に合わせるしかないですね。

◆ 普段着の利点・難点



まずは利点から。

いつもの服装なので、患者さんが落ち着きます。

普段着ですから、普段のような感覚になりやすい。

あくまで服装だけですが、これも「その人らしい生き方」といえるの

かも知れませんね。

無料です。

病院から追加費用がかかりません。ただし、「洗濯」を病院洗濯にすると

洗濯代は別途かかります。

少しでも入院費を抑えたい場合は、服は自宅から持ってきて、洗濯も

自宅で洗濯にされる方が多いです。


難点は家族の手間がかかること。

持ってくる・持って帰る・洗濯する、これらを家族がします。

入院費用を抑えられるかわりに、こうした負担がかかります。

「べつに負担じゃないし、いいよ」という家族さんなら、普段着が

いいと思います。

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◆ 拘縮している患者さんの場合は前開きの服がありがたい



そしてこれが一番言いたいことですが。

患者さんによっては手足が拘縮して関節が曲がりにくくなっている

ことがあります。

このような患者さんの場合はTシャツのような頭からすっぽりかぶる

タイプの服だと、非常に着替えがしにくい。

拘縮が進むとほんとうに関節が曲がらなくなりますから、どんなに

私たちが丁寧に着替えをしようしていも限界があります。

拘縮していると患者さんの痛みは相当なものになります。

私たちはそれを知っているので、できるだけ痛みがでないように

上手く着替えをするのですが、やはり限度があります。

やりにくいです。

ご家族で拘縮の方を介護したことがあるのなら、すごく分かると

思います。

本当に難しい。プロでも難しい。

これを解決する方法として、前開きの服を持ってきて頂きたいのです。

甚平のような前開きの服です。

ワイシャツのような服です。

そのほうが頭からかぶるタイプの服と違って、着替えがやりやすい。

患者さんの苦痛も減ります。

面会にしょっちゅう来られているのに、職員とお話をよくしているのに、

なかなかここに着眼されない家族さんは多い。

ご自分で介護をされたことのない家族さんは、なかなか気づかないのかも

しれません。

更衣の大変さを。

病衣がなぜ前開きばかりなのか。

圧倒的に前開きのほうが着替えしやすく、着替えしやすいということは

患者さんの負担も少ないということになります。

もちろん、練習のためにあえて頭から被る服を着ることもあります。


また、急変時はすぐに服を開いてモニターを装着できたり、処置が

しやすいというメリットがあります。

Tシャツの場合はハサミで服を切ることになります。


急性期の場合は手術や処置や点滴など身体を見る機会が多くなり、

前開きや血液などで汚れてもすぐに着替えがしやすい病衣が多いと

思います。

一方で回復期リハビリ病棟では、動くことが日常的にありますし、

動くことがメインになってきますから、普段着のほうがよいと思います。

ただし、患者さんの身体状況によっては前開きの服を選択したほうが

よいことがありますから、もし機会があれば看護師さんに質問してみて

もいいでしょう。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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