転倒を100%防ぐ方法はないのに、「絶対に転倒させるな。転倒させて怪我したら有罪だ」という司法や家族の思考は矛盾している。転倒はできたら避けたいのは同意する。しないに越したことはないのも同意する。しかし、100%防げないのを起こすなというのは、医療介護の人間からするとおかしなことなのだ
— ふるたによしひさ@看護師 (@yoshihisanurse) January 6, 2023
介護や医療の現場では「転倒」は避けられない問題です。
◆ センサー類は必要
立ち上がったり、ベッドから起き上がったりすると「ピー、ピー」と音が鳴るセンサーマットがあります。
病院ではよく見かけます。
歩くとふらふらして絶対に転倒するけど、患者さんが医療側の指示に従わない場合はこれを使います。
病院ではこのような動くと音が鳴るセンサー類はよく使っていますが、
高齢者施設では基本的に使いません。
高齢者施設ではセンサー類は「抑制」になるとして禁止されているからです。
でもそんなこといっても無理でしょう。
認知症や高次脳機能障害になると勝手に動き回るのですから。
介護士さんたちはとても苦労していると思います。
◆ ミトン(手袋)や抑制ベルトも必要
鼻の穴に経鼻経管栄養チューブを入れている患者さんで、
そのチューブを引っこ抜いてしまう人がいます。
けっこういます。
経鼻経管栄養チューブを引っこ抜いてしまうと、また再挿入しないといけません。
これって入れるときけっこうキツイいんです。
ボクも経験があります。
看護学校のとき、自分の鼻にためしにチューブを入れたことがあります。
なので、鼻にチューブが入っているのが変な感じがするのはわかるのですが、再挿入はもっとつらいです。
チューブを引っこ抜かないようにミトン(手袋)をすることがあります。
だいたいの患者さんは引っこ抜きますので、経鼻経管栄養チューブを入れている患者さんの多くはミトンをしています。
ミトンをしていてもうまく引っこ抜く患者さんは、腕を抑制ベルトでくくりつけて動けないようにします。
これもあちこちの病院でやっています。
しかたありません、指示に従わないので。
チューブを引っこ抜くと危ないし、つらいので。
このほかにも、おしっこのチューブ(膀胱留置バルーンカテーテル)を引っこ抜くとか、
お腹の胃ろうチューブを引っこ抜くとか、
身体に突き刺さっているドレーンチューブを引っこ抜くとか、いろいろあります。
こうしたチューブ類を引っこ抜くので、しかたなく抑制します。
このブログを読んでいる読者さんも、将来は引っこ抜くので抑制されるかもしれません。
◆ 転倒予防にさまざまな抑制をかける
こうした抑制は安全のためです。
倫理的にはだめです。
わかっていますが、やります。
患者さんは「おい!これをはずせ!」と言いますが、はずしません。
倫理的にはだめすが、やります。
読者さんで健康で頭がしっかりしている人は、なんで言うことを聞かないのか不思議に思う人がいるかもしれません。
「立たないで。一人で歩かないで」と言ってもまったく聞かなくなるのです。
どんなに説得しても無駄で、説得するだけ時間と労力が無駄になる患者さんはけっこういます。
ほんとうに医療的支持にまったく従わなくなります。
患者さんも将来こんなふうになるとは健康なときは思ってもいなかったでしょう。
認知症になるとか、高次脳機能障害患者になるとか、まったく思っていなかったでしょう。
でもなるんです。
誰でもなる可能性があります。
言われたことを1分で忘れるんです。
こうした現実があるので、司法や理想論を言う家族は目を覚ましてほしいと願わずにはいられません。
転倒はないに越したことはありません。
できるだけ転倒しないほうがいいに決まっています。
しかし、転倒させるな、と言われても100%防ぐことは無理です。
できることとしたら「転倒を減らす」ことぐらいです。
エビデンスはわかるが、実際やるのは難しい
それでは最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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転ばないように気をつけていますが、
転倒しなかったひとは誰も居ません。
私としたことが去年の3月に庭で転倒し、
足のスネを痛めて手術しましたが未だに
完全回復してません。でもまだ老体とは思ってません(>_<)。
寒中お見舞い申し上げます。
ウチの亡くなった父親が、まさにそんな感じでした。
当時お世話になった方には頭が上がりません。
毎日お疲れ様です。
腹膜炎の関係で、お尻(肛門)にも挿管していました。他のどの部位の挿管よりも、この挿管が一番辛かったです。
風太郎さん>>
ボクでもつまずくことがあります。
転倒を100%防ぐことはできないのに、
どうしてこの現実に目を向けない司法と家族なのか、疑問です。
お散歩爺さん>>
誰でも転倒する可能性はあります。
ボクもあります。
お大事になさってください。
安奈さん>>
なかなか転倒を防ぐのは難しく、
現状では不可能です。
だれか、どこかで、転倒します。
亡くなったウチの親父もそうでした。
TAK さん>>
痛みや違和感で、管を抜いてしまう患者さんがいます。
認知症になるとほぼ確実にあっという間に抜いてしまいます。
怖いことです。