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食事拒否、入浴拒否、リハビリ拒否、入院自体を拒否…

入院患者さんのなかにはいろんなことに拒否をされる方がいます。

看護師さんやリハビリスタッフや主治医がどんなにうまく言っても、拒否をされる。

こうなると、ホトホト困ってしまいます。

結局家族に来てもらって食事を一緒にとってもらったり、ほとんど意味のないリハビリにリハビリ時間を費やしたりします。

いままで何人か、こういう患者さんに関わったことがありますが、ボクの受けた印象は、

「家に帰りたい」

という強い気持ちがあるからです。


◆ 本人もつらいはず



薬も飲まないわ、リハビリもしないわ、お風呂も入らないわ、

ないないづくしで過ごすと周りのスタッフが困り果てるように、

実は本人もつらいはずです。

ちょっと意地になっている印象も受けますが、

その意地が邪魔をして快適な療養生活ができていないので、きっと本人もつらいはずなんです。

「なによ、あの人、ほんとやりにくいったらありゃしない」

こんな声が聞こえてきますが、こうなるといい事はありません。


本人も毎度毎度、いろんなことを拒否し続けるのはしんどい。

でも「こんな所に居れるか」と、病院側からの治療やリハビリを拒否します。

こういう場合、家族は治療継続を望み、本人は拒否で早く退院したいという、意見の対立になっていることが多いです。

病院もできれば治療継続をしたい。

というのは、こういう患者さんは、普段から医者にかかっていないことが多いからです。

なので、けっこう悪い検査結果になっていることが多い。

入院しているので、やっとこれで治療ができると家族も思っているんですね。

「でもこんなに拒否され続けては、入院継続は難しいです」

と医者から言われるんじゃないかと、家族は不安に思っているでしょう。


◆ 看護師はしつこく話しかけます



こうした患者さんに、看護師はどう関わっているのでしょうか。

やり方はシンプルに、

拒否されても話しかける

です。

これって不思議なもので、あれほど頑なに拒否をしていた患者さんも、しつこく関わるうちにだんだんと心を開いていきます。

ほんとです。

最初の頃は話しかけても無視したり、「あっちいけ」みたいな態度をとられますが、

やがて根負けして「もう、うるさいなぁ」としょうがなく応じてくれるようになります。


ただし100%成功するわけではないですが。


必ずしも成功するとは限らないが、看護師たちは根気よく関わっていきます。

ボクもいままで関わってきて、なんとなくピーンとくるものがあります。

やっぱり寂しいのと悔しいのと両方の気持ちがあるんだろうなと思います。

入院という知らない人に囲まれて家族に会えないという寂しさ。

自分は入院したくなかったのにうまく騙されて入院させられたという悔しさ。

家族は味方なのか敵なのか?

そういう寂しさもあると思います。


なので、拒否をしている患者さんにしつこく関わっていくことで、

「自分にもっとも話しかけてくれる人」

になることで、徐々に心を開いてくれます。

けっして否定せず、話しを聞くことで「この人は味方のようだな…」と思ってくれれば最高です。


とまあ、きっとどこの病院にもこうしたケースはあります。

今もどこかの病院の看護師さんは悪戦苦闘しているはずですが、

いづれ心を開いてくれるのを祈って。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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