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「指には筋肉がほとんどない」

そうなんです。

指には筋肉はほとんどありません。

指は指の筋肉で動いているのではありません。

知っている人は知っている、知らない人は知らない人体の不思議。

ちょっとご自身の指を見てみてください。

筋肉質ですか?

違いますよね。だいたい指の筋肉ってどこ?と思うでしょうけど、そもそもほぼないので見つけられません。

ボディビルダーで指の筋肉を鍛えている人はいません。

指の筋肉がないのなら、どうやって指って動いているの?


◆ 指は手首付近と手のひらの筋肉で動く



ためしに片方の腕の力を抜いて、下にダラリと垂らしてください。

片腕の力を抜いて…

で、もう片方の手でダラリと垂れた腕の手首の少し上あたりを握ってください。

垂れている腕の指が勝手に動くでしょう。


指は手首から肘までの筋肉によって動きをコントロールされています。

指が動くのは前腕の筋肉が動くからなんですね。


指は指の筋肉で動くのではなく、手首より体に近い側の筋肉で動きます。

指を使いすぎたことで起きる腱鞘炎は、腱硝(けんしょう)という手首にある腱のあつまったところに炎症が起きて痛くなります。


指が疲れるというのは、前腕の筋肉が疲れるということなんです。


◆ 指は細いほうが都合がいい



指に筋肉がついていない理由は「そのほうが都合がいいから」

どういうことかというと、指は繊細なほうが人間にとって都合がいい。

他の動物とちがって道具をつくり、使い、いろんなものを作り出しています。

指はそうした細かい動きができないと人間にとって不都合です。

もし指に筋肉が付いていると、指をつかううちに筋肉が鍛えられて指そのものが太くなってしまいます。

指が太くなると細かな動きができにくくなります。


だから「力」は腕の筋肉にまかせたほうがいい。指に筋肉をつけるよりも腕につけたほうが、大きな筋肉をつけることができます。

大きな力を発揮しつつ、細い指のままでいられる。

このほうがいいんですね。


ちょうどショベルカーのような感じです。

あれは人間の腕の構造を真似てつくられていますが、アーム(腕)の部分には力の原動力はなくて、付け根以降の本体側にパワーユニットがあります。

そうすることで腕を細くでき細かな動きが可能になっています。


◆ 腕から伸びている腱によって指は動く



指は筋肉からのびている腱によって動きます。

腱は指の骨にくっついています。

腱が動くから指も動きます。

腱が動くのは腕の筋肉が動くから。


サルも同じです。木を登るとき枝を握るとき、指そのものに筋肉を付けて力をもたせるより、腕にまかせたほうが都合がいいんです。


ロボットも人間の構造を真似てつくられています。

人間の動きの構造はとても単純ですが、とても高度で効率よくつくられています。

解剖を知ると、あらためてよくこんな構造が生まれてきたなあと進化の過程に驚かされます。


東京大学で実際におこなわれた解剖学の講義の本です。 あっ!大丈夫です。全然むつかしくないですから。 むしろ超わかりやすいです。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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