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2020年1月3日の朝日新聞にこんなニュースがありました。


国内の外来診療で出された抗菌薬(抗生物質)の6割近くが、効果がない風邪などウイルス性の感染症への不必要な処方だったことが、自治医科大などの研究チームの調査でわかった。
75%は専門医らが推奨していない薬だった。


記事では、抗菌薬の不適切な使い方は薬剤耐性菌が生じる原因になるため、研究チームは適正な使い方を呼びかけています。

これって、抗菌薬が効かない恐ろしい菌、薬剤耐性菌を生み出しているってことですよね。

しかも製薬会社はウハウハ。


おっとぉ、製薬会社と耐性菌歓喜かぁ⁈


◆ 抗菌薬の不適切使用で、製薬会社と耐性菌歓喜⁈ - 自治医科大調査で判明



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急性気管支炎、風邪はともに一括りに「カゼ」とされてしまうことがありますが、いずれにしてもウイルスが原因。なので菌に効く抗菌薬は意味ないんですね。

ウイルスと菌は、全然ちがうものです。

なんとなく体を悪くするもので目に見えない小さな悪玉というイメージですが、まったく別のものなのです。

だからウイルスなら抗ウイルス薬、菌なら抗菌薬というように、それぞれに合う薬を処方しないと効かないのです。

でも処方されていることが多い。


抗菌薬が必要とされる疾患に処方されたのは全体の8%。

処方された56%は風邪や急性気管支炎など通常はウイルスが原因の病気だったということですので、この場合、抗菌薬は効果がないということです。


効果がないのに処方されている…

なんでこうなるの?


◆ だって患者が欲しがるんだもん。



こんなことは考えたくないのですが、ウイルスに抗菌薬は効かないということは医師であればみんな知らないはずはないのです。

知らないってことは…ねぇ。

知っていて当然。

だって、看護師の私ですら知っているんですから。


これは医療現場にいると本当によく分かることですが、

患者さんが欲しがるんです。


マジです。こんなことは日常茶飯事です。


しかも、かなり強く欲しがります。


本当は医者も知っているんです。

要らないってことを。

でも、「あなたには必要ないよ」と言ってもそれで引き下がらずにうるさいので、

仕方なく処方している

のです。

また、「あそこはケチだ」「薬をくれないのでヤブ医者だ」とか言いふらす人もけっこういます。

あちこちに悪態をつく。


それも困る。

ここで薬を出さなくても、そういう人は他のクリニックに行って薬をどうせもらうだろう。

「あの先生は薬を出してくれない」

こう思われたら、もう来てくれないかもしれない。なので、

仕方なく処方している

こともあります。


でも、そんなことをして診療報酬的にどうなの?

レセプトは通るの?保健機構からOKでるの?


◆ わざと診療報酬が通る病名に変えている。



ぶっちゃけ多くのクリニック等ではこうしています。


抗菌薬を出してしまったので、医療事務の人がカルテをチェックするときに、抗菌薬で通過する病名に変えていることがあります。

上の図をご覧ください。

ウイルス性である「急性上気管支炎」だと抗菌薬はダメ。

でも「急性咽頭炎」ならOK。


最初から医師が急性咽頭炎と書いていればいいのですが、もし書いていなくてレセプトが通らない診断名だと後で書き換えているのです。


また、そもそも医師が最初からあえてレセプトが通る診断名にしている可能性もあります。

本当は「急性上気管支炎」なんだけど、あえて「急性咽頭炎」にしているかも。


もうすでに患者さんに薬を渡してしまったから、病院としては回収しないといけない。
処方した薬が主体でカルテが作られているといってもいいくらい、薬主体でカルテが作られています。


◆ 一番の理想は、国民一人一人が勉強すること。



抗菌薬をバンバン使用すると、薬剤耐性菌が生まれる可能性が高くなります。

その薬に効かない菌が生まれます。

これが怖いのです。


耐性菌のせいで死亡例もあります。


処方された抗菌薬の86%は様々な種類の細菌に効く「広域抗菌薬」と呼ばれるタイプ。耐性菌が発生、増殖しやすいため、欧州ではまれにしか使われない。


だから世界では抗菌薬はほとんど使わない。

でも日本はバンバン使っています。製薬会社は儲かるから、「あんまり使わないでくださいね」とは言いにくい。言わなくても医療関係者なら知っていますからね。


「薬を出してくれる先生はいい先生だ」


とくに高齢者はこう考える人が非常に多くいます。


薬は「適切に使う」のが本来の使いかたです。


国民一人一人が「適切に使う」ことを勉強しないと、こうした問題はなくならないと思います。


「一切薬を使うな」というのも間違い。「いいからツベコベ言わず薬を出せ」というのも間違い。

適切にです。この適切にというのを理解するのは、勉強しかありません。




薬は補助として使うのがいいのです。

自分の力で治すのを助けてくれるのが薬です。


耐性菌が生まれたら、一番困るのは患者さんですから。
これを見て耐性菌の怖さを学びましょう。
国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター(厚生労働省委託事業)



今年のピストンは、やたらと勉強をすすめてくる?



さらにもう一冊



図、引用参考:朝日新聞デジタル、糖尿病リソースガイド

それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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