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日本は世界的にみても、CTやMRIなどの高額医療機器をたくさん持っている国。

これは以前から言われていたことです。知っている人は知っています。




11月12日の読売新聞の記事で、経済開発協力機構(OECD)の報告書にこのことが挙がっていて、「日本の医療制度は効率を高める必要がある」と指摘されたということです。

この報告によると、日本はCTやMRIその他高度な医療機器をとてもたくさん持っているんだから、病床数を減らして余ったCTなどを他の国に中古として回せと言いたいのでしょうか。


◆ 日本は加盟国36か国のなかで、平均の3倍以上とダントツ1位の「持っている国」

記事によると、OECDの報告書では2017年の日本の病床数は1000人あたり13.1と最多で、加盟国平均の4.7の約3倍。病院への入院期間を示す平均在院日数(2017)も16.2日と、加盟国平均の7.7日のの2倍以上で、韓国の18.5日についで2番目の長さです。


つまり日本は病院数がとっても多い国なんです。

人口比率でいうと、アメリカの2倍で世界一多いのです。


また記事では、高額な医療機器であるCTは100万人あたり112.3台、MRIは55.2台だった。どちらも加盟国平均の3倍以上と群を抜いて多く、「病床数を減らし、高価な機器をより効率的に利用する余地がある」と言っています。

ということで、CTやMRIの数もOECD加盟国36か国中ダントツの1位とのことです。


まあ病院数が世界一多い国ですので、自然とCTやMRIの数も多くなるのでしょう。


◆ 個人医院、クリニックがCT・MRIを持っているのは日本くらい。

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日本ではCTやMRIを持っているクリニックがあります。

最近では脳神経外科クリニックに持っていることが多いです。

歯科医院では「パノラマ」と呼ばれる、歯をぐるっと回りながら撮影ができるレントゲン機器が主流です。

その他にも、さまざまな高価な医療機器があります。

エコー(超音波)機器もそうです。


私たち日本人は病院だろうが、クリニックだろうが、そこそこの「すごい医療機器」が医療機関にあるはずだと思っていますが、海外では違います。

クリニックに日本のようなCTやMRIはまずありません。

病院でも大きな病院しか置いていなかったりします。


イギリスでは日本のような病院には行かず、病気かな?と思ったらまず近所のかかりつけ医に行きます。そこで治ればそれでよし。かかりつけ医が大きな病院に行く必要があると判断すれば「紹介状」を持って病院に行きます。

フランスでも似たような感じです。

そもそもフランス人はよほどのことがないと医者にかかりません。

インフルエンザでも医者にかかりません。「そんなの寝ていたら治るから」という理由で、わざわざ病院やクリニックに行きません。まあ、確かにその通りです。


日本人は世界から見ると、そんなことくらいで受診するの?というくらいちょっとしたことで病院に行く国民です。

まあ保険制度が違うというのがあるからでしょうが。


◆ 結局何が言いたいの?日本のCTの中古が欲しいの?

ということから、日本ではクリニックレベルでCTやMRIを持っているし、小さな病院でもCTを持っているのが一般的です。海外から言わせると、「まあ、なんと贅沢な」と思うのかもしれません。


今回のOECDの報告書で「病床数を減らし、高価な機器をより効率的に利用する余地がある」と言っているのは、私には「日本はあまりに病院数が多すぎるので減らして、その分余った医療機器を他の国に回してほしい」と言っているように聞こえます。


この経済開発協力機構(OECD)というのは、「世界標準」いわゆる世界のスタンダードを作っていく機構でもあります。


「日本は他の国では考えられない、クリニックでもCTがある国だ。しかも病院数もCT・MRI保有数もダントツ1位だ。これは世界のスタンダードではないから、もっと病院を減らしなさい」


と提言していると私は解釈するのです。


さて、たしかに日本はとても病院数が多い国です。クリニックを含めたら、それこそ選び放題です。

そのため医師や看護師が分散してしまって、医師不足・看護師不足を招いている原因の一つになっているのは間違いありません。また、病床を埋めたいために、すぐ入院させたり、または退院させなかったりという裏事情があります。これも無駄に医療費を使っている原因の一つです。


逆に高度な医療機器がクリニックレベルまで広がっているから、国民はいつでも高度な医療を受けられるメリットがありますし、医師や看護師もそれにともなって勉強しているから医療の質も上がります。


病院数やCT・MRI等の高価な医療機器が多いことのメリット・デメリットがあります。


OECDの提言をどうとらえるのか。

日本はどういう選択をするのか。

しばらく注視していきたいニュースです。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年11月15日

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