元タレントの田代まさしさんがまた覚せい剤所持で逮捕されました。

これでもう4回?5回?目の逮捕になります。もう多すぎて何回目か分かりません。







ひと昔のTVCMで「覚せい剤やめますか?それとも、人間やめますか?」という有名なCMがありました。

今の中年世代でしたらみんな見たことがあるんじゃないでしょうか。

ひと昔前は「覚せい剤を使ってしまう=まともな人間でなくなってしまう」というイメージが強烈にありました。



たしかに大変なことになってしまうのに間違いありません。それはその通りです。

でも覚せい剤にしろ他の薬物依存にしても、「使った人はもう知らん。使ったのが悪い。自己責任だ。勝手に社会からくたばってしまえ」という考えだけでは、解決しないのです。


◆ 本当に必要なのは牢屋ではなくケア。



今回の田代まさしさんの逮捕では、

「自己責任だ」

「もう救いようがない」

「分かってて使っているんだから、田代が悪い」

と彼を批判する声がネット上にたくさんあります。


一方で

「それほど依存性が強いということ」

「依存から抜け出すことは容易ではないんだ」

「依存の怖さがよくわかる」

「彼自身も薬物依存からなんとか抜け出そうとしていたんだろうけど、抜け出すのはそれほど難しい事なんだな」

薬物依存の怖さを感じたというコメントもたくさんあります。

今回の逮捕で、彼をめちゃくちゃ責める声はそれほど多くないのかなという印象を受けています。

世間も「これはさすがに薬物依存に対するケアをしないとまずい」という考え方が広まっているのでしょうか。


そうなんです。いろんな意見があるのは承知していますが、薬物依存は使った人を牢屋に入れても「また薬物に手を出してしまう」のです。

その人が弱い人間だから誘惑に負けるんだ、ということではありません。

きっとあなたも私も、一度覚せい剤に手を出してしまったら、誘惑に負けるはずです。それほど依存性が強いのです。その人の意思が弱いからじゃなくて、普通の人でも誘惑に負けるんです。

だから再度覚せい剤に手を出してしまった人を責めても、また使ってしまう。


罪をかぶせるなとか許してやれという事ではありません。罪です。犯罪です。犯罪以前に人としてやってはいけません。

それはそうなんですが、牢屋に入れても依存性はなくならない。

だから多くの覚せい剤使用車は再犯をするのです。牢屋に入れれば再犯しないのなら、苦労しません。


必要なのは、覚せい剤使用者のケアなのです。


もう二度と覚せい剤に手を出さないように、十分なケアが必要です。

それこそ、社会が求めていることでしょう。


◆ いい事言うね、イケハヤさん。今や誰にでも手を染める危険性がある。だからこそ、ケアが重要。

イケダハヤトさんのYouTubeチャンネル「イケハヤ大学」の動画がアップされました。

タイトルの「田代まさしを笑うな…」というのを見ると勘違いする人がいるかもしれませんが、彼を許してやれという意味ではなく、ケアの重要性を言っています。




最初に覚せい剤を使ってしまうのも大問題ですが、使ってしまった後、いかにして依存から断ち切れるかが難しい。こっちを何とかしないと、本人も家族も、社会も困る。

なぜなら、再犯が多すぎるという問題があるからです。再犯をしないようにする。覚せい剤の売人は依存から抜けれないことを知っている。「シャバに出てきたら、どうせまた覚せい剤を買うさ」と思っている。

だから負の連鎖が続きます。


◆ 厚生労働省の発表資料です。一部をまとめてみました。

厚生労働省 現在の薬物乱用の状況








平成26年
平成27年
平成28年
平成29年


麻 薬 及 び 向 精 神 薬 取 締 法
452
516
505
505


うちヘロイン
7
3
0
9


うちコカイン
66
103
153
185


うちMDMA等錠剤型合成麻薬
35
29
37
41


うち向精神薬
49
42
105
75


その他
295
339
210
195


あ へ ん 法
24
4
7
12


大 麻 取 締 法
1,813
2,167
2,722
3,218


覚 せ い 剤 取 締 法
11,148
11,200
10,607
10,284




厚生労働省 現在の薬物乱用の状況 法令別検挙者数(人) 厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。(一部抜粋)


いろんな薬物の中でも覚せい剤が圧倒的に多い。







 
平成27年
平成28年
平成29年


覚 せ い 剤 事 犯 検 挙 者 総 数
11,200
10,607
10,284


うち未成年者
119
136
93


うち暴力団関係者
5,758
5,114
4,796


比率
51.4%
48.2%
46.6%


うち再犯者
7,237
6,879
6,740


比率
64.6%
64.9%
65.5%




覚せい剤事犯における未成年検挙者等の推移(人)厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による(一部抜粋)


再犯率は65%

これが現実なのです。これを何とかしないと売人も出てくるし、本人も社会にとっても大問題です。







覚せい剤、その他の違法薬物の所持、使用は重大な犯罪です。ですが、この犯罪は罰しただけでは終わらない。

また使うのです。性格の問題や意思の弱さでは片づけられないから厄介なのです。

意思が弱いからまた手を出してしまうのではない、ということを理解してください。

意思が強い、弱いという問題ではないのです。


イケハヤさんの動画の中でも言っているように、実は違法薬物使用者は意外といるのです。


軽はずみや興味で使ってしまうと、抜けれなくなる。一番いいのは、一回も使わないこと。


だから使ってしまった人に対して厳しい意見があるのは承知しています。

でも怒っても、罰しても、一度使ってしまうと依存してしまう怖いことなので、薬物犯罪を減らすにはもう二度と使わないように社会がもっとケアに着眼してほしいと思います。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年11月7日   更新日:2019年11月16日