先日、ある看護の研修に参加しました。内容な認知症ケアについてです。
そこで講師の先生が「皆さんの職場でどのような認知症ケアを実践しましたか?」という質問がありました。
ある看護師が答えました。
「認知症の患者さんに勉強をしてきたケアを実践しようと上司に言っても、その上司が勉強不足でケアの良さを全然分かってくれない。せっかく認知症の方が落ち着いたり、徘徊がなくなったり、暴言暴力がなくなったりする可能性があるケアをしたいのに、上司が分かっていない為、採用してくれない」
「上司が勉強不足のため、部下が良いと考えることができない。上司こそもっと勉強してほしい」
このような意見が研修会場で出ました。
普段めっちゃ勉強している部下にとって、事の大切さが理解できない勉強不足の上司は本当にストレスです。
部下の言っている意味が理解できる勉強している上司は、部下の提案を実践しやすい職場環境になりやすい。この看護師は「無能な上司のせいで患者に有効と考えられるケアが実践できない」と嘆いていました。その場にいた他の多くの看護師たちも賛同しました。
看護師だけでなく、一般企業でもあるあると思います。
こうした無能な上司は医療の世界でも同じです。
◆ 「まず上司をなんとかしてくれ」という部下の声。
こうなると「どうせ提案しても没になるんだろ」と部下のやる気を削いでしまう恐れがあります。
私が看護師になる前の営業マンをしていたころ、同じようなことはありました。
提案しても聞く耳持たない上司。
ある提案をしたところまったく取り合ってくれない。私は「まあ、しょせん分からず屋なんだからしょうがない…」と諦めていました。ところが数か月後、私が提案した企画がその上司によって実行されたのです。私の名前なんか一切出てきません。私の企画が盗られたんです。あの無能上司によって。
なんだか、マンガの世界ドラマの世界のようですが、こんなことが実際にありました。
看護師になってからも思います。「ああ、どこの世界にもこういう上司っているよね…」。
いくら素晴らしい企画を出しても、それを最初に見る上司が勉強不足のせいで素晴らしさが分からないという不幸。
「まず、上司をなんとかしてほしい」
研修会場で聞いた言葉が、かつての体験を思い出させました。
◆ 「ハロー効果」- 優秀なプレイヤーは優秀なマネージャーとは限らない。
日本の社会でよく思うのが、これです。
一般的にいい成績を上げている営業マンがいたら、ヒラから主任に昇格し、そこでまた成績を上げたら係長に昇格し…というように、売り上げがうまい人が昇格しやすくなります。
それぞれの立場で役割は変わってきます。しかし、その役割を勉強しているわけではありませんから、販売が上手い人がマネジメントも上手いとは限らないわけです。
こうしたことはよくあることで、学歴が高い人や物の売り上げがいい人は「優れた人だ」と見られやすい。
でも役職ごとの役割は違うので、自分の立ち位置によって求められる能力は違います。
なので過去の販売実績がいいからといって課長になった場合、課長としてのマネジメント能力が不足していても、別の要素がバイアスとなって、評価対象への成果が上乗せされるという「ハロー効果」という現象が起きます。
「なんであの人が部長なんだろう。たいして仕事ができないのに…」
こうしたことは「ハロー効果」によって、能力以上の評価を受けてしまい、無能上司を生むことになります。
◆ 多くの看護師も思っている「やりたいことができない」という職場環境。
「上司が勉強不足のため、部下が良いと考えることができない。上司こそもっと勉強してほしい」
という声があがって、講師は「そうですね…。上司の方ももっと勉強しないといけませんね。これは耳が痛いですね」と言っていました。
まあ職場によっていろいろとしがらみはあるでしょう。
全部が全部、企画が通るわけはありません。
やりたいことができるわけではありません。
でも企画をあげて、合理的な理由で没になるのならまだ分かります。
そうじゃないのに没にされるのがストレスというのが部下の言い分。上司も勉強をしていて、この企画の良さが理解できる人なら没にならないんじゃないか、そういう部下の気持ちもあるでしょう。
まあ、組織のなかにいるとなにかと自分の思い通りにいかないことはたくさんあります。
上司は上司でいろいろ考えていますし。
それでも患者さんのためを考えて勉強し、それを実践したいという志は良いと思います。
日々勉強。コツコツとです。いつか花が咲くことを信じて。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
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