◆ 患者さんにとって吸引とはつらいものなのです。
痰が詰まって息ができにくくて苦しい。
これは当の本人しか分からない苦しみです。
吸引をして痰を取り除くことで、楽になります。
かたや、吸引そのものが苦しいということもあります。
私は実際に自分の鼻の奥まで、気管まで吸引チューブを挿入してもらい、自分で体験したことがあります。
そりゃあ、痛くて苦しいものでした。
経験してよかったです。
こんなにつらいのを看護師さんたちは、毎日しているんですよね。
患者さんの気持ちがよく分かりました。
吸引していると患者さんから
「もうやめてーー!」
「ああああーー」
と嫌がられることはよくあります。
ベテランがやっても、患者さんからすると嫌なものです。
しかし吸引しないと呼吸が苦しいし、下手すると痰を誤嚥したり呼吸困難になって最悪死亡するリスクがありますから、嫌なのは分かっていますが、しないといけないことがあります。
◆ 吸引は必要時にやるもの
家族さんが面会に来ている時に、その家族さんから呼ばれて、
「痰の吸引をお願いします」
と言われ患者さんのところに行きます。
疑っているわけではありませんが、本当に痰がからんでいるのか確認をします。
喉がゴロゴロ言っているか、口に痰が溜まっていないか、息苦しそうか、など総合的に今吸引が必要かを観察してアセスメントをします。これはほんの少しの時間のうちにやります。
でも患者さんに今吸引が必要とは思えませんでした。
そのことを家族さんに伝えると、「いえ、吸ってください。ゴロゴロしています」と言われました。
しばらく観察してもゴロゴロはしていません。
そのほかの観察でも痰が溜まって今すぐに吸引が必要とは考えられませんでした。
しかし家族はしつこく吸引を要求してくるので、仕方なく吸引をしました。
吸引をしても痰はほとんど引けませんでした。
やはり今すぐの吸引は必要なかったのです。
どうもその家族さんは、患者さんが一回痰がからんだような音がしたので、吸引してもらおうと思ったようです。
この場合、心配なのは分かりますが、緊急性はないと判断します。
「でも緊急でなくても吸引くらいしてもいいじゃないか」
と思うかもしれませんが、吸引はされる側からすると大変痛くてしんどいものなのです。
もちろん吸引が必要なときはしますが、そうでないのなら、あえてしないという選択を選びます。
ちょっとゴロっとしたらすぐき吸引、また吸引、吸引・・・
それは患者さんがつらいだけです。
たしかにこまめに吸引が必然な患者さんはいますが、この例ではこの限りではありません。
なので、家族さんもそのことを理解していただけたらと思います。
それではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
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