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回復期リハビリテーション病棟に入院して来られた患者さんは、まだ状態が不安定であったり、混乱していたりすることがあります。

最近は国の方針で急性期病院にいれる日数が減ってきていますので、大きな手術や第一治療が終わると早めに出なければいけないようになってきました。

こうした背景があって、回復期リハビリテーションでは従来のリハビリを第一目的とした療養生活に加えて、全身の総合的な管理が重要になってきました。

こうしたなか、回復期リハビリテーション病棟に入院している患者さんはどのような心理でいるのでしょうか。また、どんな特徴があるのでしょうか。


◆ 「回復期は楽」というのは昔のこと

先ほども述べたように、年々重症患者が増えていると感じています。これは国の方針もあって避けられない流れだと思います。

大事なのは、こうした重症な患者さんを受け入れる私たち回復期側の体制を整えること。

たしかに「本当にリハビリができる状態なのか?」と誰しもが思うほどの重症な方が来ることがありますが、それはやはりよくありません。なぜなら身体を動かすことが十分にできないからです。リハビリどころじゃない方は、やはりきちんと急性期で治療をしてから、そのあとリハビリ病棟でしっかりと訓練をするのが適切だと思います。

さて回復期病棟というと、多くの看護師さんが思うのは「回復期リハは仕事が楽」ということ。

急性期より楽。急性期より早く帰れる。と思っている看護師さんはたくさんいます。

でも実態は違うことが多いでしょう。

意外と重傷者も多いですし、入院中に体調を崩して急性期病院へまた戻るということもよくあります。

特に回復期リハビリテーション病棟の施設基準というのがありまして、施設基準1という一番厳しい基準をクリアしているリハビリ病棟では、病棟に入院してくる患者の30%が重症と決まっています。そしてその重傷者にも一定の改善をもたらし、在宅復帰率が70%以上と条件があります。

つまりどうしても一定数は重症患者さんがいることになります。

そして在宅にまで持っていこうとすると、リハビリ時間だけでは足りません。リハビリ時間以外の病棟での過ごし方が大切になってきます。つまり病棟にいる看護師や介護士の力が大きく左右するのです。

適切なケアや関わりをすることで、患者さんの回復は変わってきます。

しかも全身のトータルケアの必要性を求めらえる昨今、浅い知識や技術では患者さんのゴールまで回復することは難しくなってきています。

しかも今はさまざまな情報が飛び交い、患者や家族もスマホやパソコンで簡単に情報が手に入る時代です。患者さんや家族の要望も多種多様になっています。

幅広い知識が必要になっていますので、私たち回復期のスタッフは一見自分の分野に関係がないと思われることでも勉強しておくといいと考えます。どこかで必ず役に立ちます。幅広い知識と見識を持つことは、いづれ誰かの役に立ちます。回復期こそ、日々勉強をしていきましょう。

◆ 障害を受容できるまでに2~3年はかかる

病気やケガで障害をおったとき、人は困惑し、悲しみ、怒り、精神的に不安定になります。

障害を受け止めていくことを「障害受容」といいます。

この障害受容は2~3年はかかるといわれています。

かたや回復期リハビリテーション病棟は最長180日の入院期間です。とてもこの間に障害を受容できるものではありません。

患者さんは自分でも気が付かないうちに、多様な心理言動を起こしています。イライラしたり、時に看護師などに暴言を吐いたり、嫌味の一つも言ってみたり。

暴言は褒めることではありませんが、患者さんは自分の障害を受容していく過程にあり、不安でいっぱいな状態であることを理解する必要があります。

こうした障害を受容する過程は、「ステージ理論」といってエリザベス医師が示したものです。

しかし実際にはこのステージに沿って心理が進むとは限りません。進んだり戻ったり、さまざまな葛藤と戦いながら人それぞれに進んでいきます。最後は受容ができ、心の安寧がくる・・という理論です。

現場では患者さんと家族の苦悩がよく感じ取れます。

私たちはこうした苦悩を知り、理解し寄り添い、そして共感する言動をしていくことが大切です。

◆ 患者さんは病気やケガだけでなく、将来の不安とも戦っている

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特に若い患者さんは不安が強いことでしょう。仕事や子どもがいるのならなおさらです。

最近は障害に対して社会的な理解も進んできましたが、それでも話の分からない会社は多く存在します。

私たちはこうした患者さんの不安や苦悩を知り、理解していく努力が必要です。単に退院できてよかったねでは困る患者さんや家族が多いのです。

しかし病院としては退院が仕事の範囲になるのも現実です。再就職や雇用となると病院がお世話をすることはありません。車の運転をどうするかも医師の意見は言えますが、運転免許試験場のテストの結果で判断されます。

私たちはこうした幅広い知識と経験で患者さんが不安を少しでも軽減して退院できるようにサポートすること。

先に述べた幅広い知識がここでも活かされます。

患者さんの気持ちに寄り添い、少しでも安心してリハビリに励んでいただき、自宅に退院できるように関わっていきましょう。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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