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今回は回復期ではあまり経験が積めない、脳神経外科の看護についてのお話です。


僕は以前は脳神経外科の急性期病院に勤めていました。


そこでは多くの貴重な脳神経外科の患者さんを看護できて、今でも僕の大切な経験となっています。


脳神経外科で働いている新人看護師やこれから働く看護師に、ぜひ知っておいてほしい情報です。


また回復期リハビリテーション病院で働いていても、ときには入院中に脳卒中を発症することもあります。


まだまだ急性期の状態に近いのに回復期リハビリテーション病院に転院してくる場合もあります。


脳神経外科ではないからといって、まったく勉強しないのもよくありません。



医療職ではない方は、「看護師って患者のここを見ているんだ」と知るいい機会になればと思います。



脳神経外科の看護師が患者さんを観察するときに


見落としてはいけない観察項目というのは、


「命にかかわること」と「症状の変化にかかわること」と「患者さんの安全にかかわること」


の3つに分けられます。


他の観察項目はすこし置いておいて、


まずはこの3つの観察について述べていきます。




◆ 観察項目 - 「命にかかわること」


脳神経外科の病気はたくさんあります。


その中でも特に脳卒中と頭部外傷は病院で頻度の高い疾患名と言えます。


まずは血圧、脈拍、体温といったバイタルサイン。


バイタルサインはどのこ診療科でも基本となる観察項目です。


とくに「血圧」の管理は大事です。


脳出血、くも膜下出血ではとくに神経を使います。


場合によっては命にかかわるため、医師指示の確認はもちろんのこと、血圧が


身体にどのような影響を与えるのかをしっかり理解しておくことが大切です。



脳神経外科の看護師なら、


「意識レベル」と「瞳孔」は必須です。


「意識レベル」は「JCS=ジャパン・コーマ・スケール」が日本の病院ではメジャーです。


このJCSは患者さんが「開眼するか、しないか」に焦点をおいたスケールです。


脳卒中だけでなく、頭部外傷でも大変重要になります。


事故などで頭部を強打した場合、頭部内で出血していることがある。


脳を守る硬膜の下で出血がおこる急性硬膜下血腫というのがあります。


出血をして脳を圧迫すると危険な場合があり、


JCSのスケールは血腫を除去する手術をする判断材料の一つになります。


頭部外傷ではそのほかにも、脳挫傷があり、意識がぼんやりしたり会話が成り立たなかったり


こちらの指示ははいらず危険行為をされる場合があり、注意が必要です。



「瞳孔」は脳神経外科では必須です。


頭の中でなにか重大なことが起こっている場合、眼に出てきます。


瞳孔不同、対光反射、瞳孔の大きさ、偏視など危険な状態を教えてくれます。


瞳孔の勉強は欠かせません。


脳の手術後もです。瞳孔の観察は必要です。


特に大きなダメージを負った場合は脳が腫れることがあり、そのことで脳ヘルニアをおこし


重大な命にかかわることがあるからです。


眼は多くのことを教えてくれるということを覚えておきましょう。



◆ 症状の変化にかかわること


脳神経外科の患者さんはとくに発症後すぐは症状が変わりやすい時期です。


入院してきた時はまだそれほど症状が重くなくても、次の日になるとあきらかに麻痺が強く出て


いることがあります。


脳梗塞の場合はこういうことが起こりえます。


これは入院してから新たに脳梗塞をまた再発したのではなく、


脳梗塞が完成されたのです。


最初の脳梗塞が発症してからまだ完全に脳梗塞域が定まっていない時期に入院してきた場合、


死んだ脳細胞の周りの生きている脳細胞がまだいるのです。


死んだ脳細胞のすぐ近くの生きている脳細胞も徐々にダメージを負って死んでいく。


この過程が完了したときに最初の麻痺よりも、強く麻痺がでることがあります。


知っておきましょう。


脳梗塞にかぎらず、脳神経外科では実際に多くの患者さんの状態が変わります。


時間とともに症状は変わっていきます。


その変化を看護師はだれよりも早く発見し医師に報告をします。


24時間、交代して患者さんを観察する。


まさに観察のプロなのです。



◆ 患者さんの安全にかかわること


意識がもうろうとしたり、意識がなくても手が動いたり足が動いたりすることがあります。


脳神経外科では患者さんにたくさんのチューブ類が接続されているのが普通です。


点滴も1本ではなく何本もしていることは普通にあります。


モニター監視で胸に電極が付いていることもあります。


おしっこを出すバルーンカテーテルが陰部から膀胱に入っていることもあります。


手術をした後は身体や頭に直接チューブが入っていることもあります。


こうしたチューブやカテーテル類は患者さんの命を守る大事なものです。


しかも体の中にはいっているものは抜けると大惨事になります。


意識もうろうとしている患者さんが抜いたりすることもあります。


このような危険な行為を予防するために、必要に応じて患者さんの手などを抑制することがあります。


抜いたりすると大惨事になるので抑制は仕方のないこともあります。


ベッドから抜け出してくる患者さんもいます。


絶対安静なのに理解されないこともあり、本当に危険なことです。


ほんのちょっと眼を離したすきに点滴を抜いたりされることもありますから、しっかり観察


をする必要があります。


点滴のルートがねじ曲がっていないか、医療機器がきちんと接続されているか、


間違った付け方をしていないか、アラーム音の設定は適切か、


医療機器の設定は適切か、患者に悪い変化はないか、


観察することはたくさんあります。


一つ一つのことは意味があることばかりです。



いかがでしたか。


どの診療科にいっても重要な観察項目というのがあります。


脳神経外科は命に直結するのと、患者さんのこれからの生活に直結することが多いので、


観察をする看護師も神経を使います。


それだけ重要な仕事といえます。


大変へんだーと思うか、やりがいがあると思うかは人それぞれでしょうが、


一番大変なのは患者さんであり、家族であります。


しっかりと患者さんの安心と安全な環境を提供するために以上の観察をしていきましょう。


先にも述べたようにこれ以外にも観察項目はあります。


患者さんの一人一人に合わせた観察をしてけるように、スキルアップをしていきましょう。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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