急性期でも、回復期でも、どこの病棟にも仕事ができる人とできない(と思われてしまっている)人がいます。
今日の話は、病院では仕事ができない、どんくさい、失敗が多いと判断された人はやっていい業務を大幅に減らされてしまうというお話です。
◆ 仕事ができる人かできない人かは、なんとなく見た目で分かる⁈
「あ、この人はバリバリ仕事できるな」とか
「この子はちょっとどんまいだな」とか。
病院で働いていると、いわゆる「仕事ができない」と判断されてしまった人は、仕事をさせない方向で業務を割り振られてしまいます。
つまり他の同期の子に比べて、やってもいい業務が大幅に減らされてしまいます。
どんくさい子ほど仕事をさせません。
下手なことや苦手なことをやらせない方向に持っていきます。
まるでこれが常識のような感覚になっているように思えます。
病院という職場は一般企業と比べて「あれ、変だな」と思うやり方や考え方がたくさんあります。
僕は看護師になる前は多くの一般企業で働いていました。
正社員の営業マンが長かったのですが(いわゆるセールスマン)、飲食業や法務業や運送業や販売業やら数々の職業を経験してきました。 正社員以外のアルバイトも含めると、すごくたくさんの仕事をしてきましたし、現場も体験してきました。
病院の「どんくさいやつは仕事をさせない」「ヘマをすると業務から外す」という思考は、一般企業からするとおかしな思考です。
多少はそういうことも一般企業でもあるかもしれませんが、病院ほど極端に外すということは僕は見たことがありません。
一般企業でもいますよ、そりゃあ、どんくさい人は。仕事ができない人は。
でもさせるんです。怒られながらも、叱られながらも、歯を食いしばって現場に出ます。
上司もよほどのことがない限り仕事をさせます。
アドバイスを与え、コツを教え、時には一緒に同行して、「分からないことは何度でも聞け!」と言ってくれてその場で教えます。
下手だからこそ、上司は本人にもっともっとさせるんです。
知らないことや分からないことはその場で教えるんです。
「分かるまで家に帰るな!」「分かるまで何回でも聞け!」
とは、よく上司に言われたものです。
だって明日もそのお客様に会うんですから。お客さまのところに明日も行くんですから。
今日分かっていないとダメでしょう。
いつやるの?「今でしょ!」
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下手やどんくさいなら何度も何度もやるしかない。
イチローだって夜の校庭でバットの素振りをやっていたんです。
エジソンは何百回、何千回も失敗して発明したんです。
ケンタッキー・フライド・チキンの創業者カーネル・サンダースは、自分のチキンのレシピを買ってもらうのに1,000件も企業を回ったそうです。
失敗してもやらないと上手くなりません。
できるようになるには、他の人よりももっとやらないと。
そんなことみんな知っていることでしょう。
だから会社ではできないならできるようになるまで何度でもやらせます。
だってお客さんに迷惑がかかりますから。
でも病院は違うんです。そう思わないのです。
命がかかっているから?
いいえ、タクシー運転手だって、料理人だって、自動車整備者だって、建築関係だって、電気やガスの業者だって人の命がかかってますから!
人命を預かっている仕事なんて病院以外にいくらでもありますよ。
僕の結論は明確です。
できない人はどんどんさせろ、です。
仕事を外すなです。 やらせてもできないのは、まだ回数が少ないのです。不十分だからです。もっとさせるんです。
そしてしっかりと丁寧に根気よく教えることです。
「自分で調べてこい!」はダメ。
その場で教えること。
目の前に患者さんという最高の勉強材料(失礼な言い方ですみません)があるのに、それを使わないなんてもったいない。
しかも家に帰ったら勉強しませんから。
現場で学ぶことが頭に残るんです。
「いってきまーす」と玄関を出た自分よりも、
「ただいまー」って玄関をくぐった自分のほうが賢くなっている。
これがいい労働だと思うのです。
労働するほど、賢くなっていくのです。
一般社会はそうなのです。
一般企業から医療の世界に転職してきた人はみんな思っています。
「病院ておかしい世界だよな」って。
明日も患者さんは病棟にいるのです。明日も安全に療養できるように、今日の内に分からないことは分かるようにしていかないといけません。
まさに、
「いってきまーす」と玄関を出た自分よりも、
「ただいまー」って玄関をくぐった自分のほうが賢くなっている、なのです。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
初出掲載:2018年11月11日 更新日:2019年11月17日
nice ありがとうございます。