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◆ インフルエンザにロキソニンを使ってはいけない理由とは


そろそろインフルエンザの季節がやってきます。

インフルエンザは高熱、咳、のどの痛み、体の節々の痛み、だるさなどの症状が出ます。

これはインフルエンザ予防接種を受けた方でも、かかれば症状として出てきます。程度は人によって異なりますが、いづれにしても学校や会社を休むことになり、また家族や周りの人にうつす可能性が高いので感染予防に注意を払う必要があります。


このような症状があると、どうしても薬を飲んで症状を緩和させたいと思うもの。

特に熱を下げる目的で解熱剤を飲みたくなります。

ところが解熱剤でメジャーな薬「ロキソニン」は、インフルエンザには使ってはいけません。

理由は「インフルエンザ脳症」を引き起こす可能性があるからです。

これは必ずしもロキソニンを飲んだ方に起きるわけではありませんが、重大な副作用です。

通常、インフルエンザ脳症は子どもに発症することが多いのですが、大人は絶対にならないということはありません。


また、インフルエンザの症状として、発熱のほかに「のどの痛み」「体の節々の痛み」があります。

ロキソニンは解熱作用だけでなく、痛みを和らげる作用もあるため、こうした症状時には使ってしまいがちなので、注意が必要です。


◆ 医療従事者であっても、インフルにロキソニン禁忌を知らない人がいる


去年のインシデントで、インフルエンザの患者さんに解熱剤として「ロキソニン」を頓服させた看護師がいました。

おそらく、その看護師はインフルエンザ患者にロキソニンなどのNSAIDsを使ってはいけないことを知らなかったんじゃないかなと思います。


インフルエンザ患者に「ロキソニン」や「ボルタレン」などのNSAIDs薬は禁忌となっています。ちなみに、セレコックスもNSAIDsです。 飲んではいけません。


もしあなたがこれを知らなかったら、今度はあなたが重大なインシデントを起こすかもしれません。


インフルエンザの時に、ロキソニンなどのNSAIDsを使うと、「インフルエンザ脳症」を起こすおそれがあります。そのためインフルエンザの疑いがある場合には、安易に解熱鎮痛薬を使うべきではありません。

◆ インフルエンザのときの解熱や痛み止め薬は「カロナール」を使いましょう


このとき、カロナールはインフルエンザのときでも安全に使える薬として評価されています。


インフルエンザ脳症は致死率が高く後遺症が残る可能性も高い、インフルエンザの最も危険な合併症の一つです。


ほとんどの場合は乳幼児で起こりますが、大人でも絶対に起こらないわけではありません。そのため、大人であっても高熱があってインフルエンザの疑いがある場合には、カロナールを選ぶのが一般的です。


ただし、カロナールなどの解熱薬は対処療法です。熱を下げたらインフルエンザが早く治るわけではないので、症状が軽ければ必ずしも薬を使う必要はありません。


カロナールは、中枢に作用することで痛み・発熱に効果を発揮すると考えられています。


勉強することは大切です。知識を増やすことは患者さんを守ることになり、自分自身を守ることにもなります。


今回のお話は、ちょうど時期的に話しておきたかった内容でした。

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今回の記事の引用、参考は下記の本です。ちょっと分厚くて読み応えがあります。中身は専門用語がたくさんで医療従事者向けです。そもそも医療従事者向けに書かれている本です。病院で使う主要な薬がほぼ載っているので助かります。副作用や薬の違いがよく理解でき、 かなり役に立つ本です。おススメです↓



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2018年11月9日   更新日:2019年12月2日