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医療・介護の現場でミスをしたり転倒したりなどが発生すると、インシデントレポートを書いて提出することになります。




その報告を上司にすると、大抵の上司は怒ったり注意したりします。


本来インシデントレポートは、個人を責めたり怒ったりしてはならないものです。

一番の目的は、「再発予防」のためです。これに尽きるのです。


怒る上司は、医療安全に対してまったくの勉強不足です。

どんなに偉そうにしていても、勉強不足に他なりません。

もう一回医療安全について、しっかり勉強してもらいたいです。


今回のお話は、いつもよりも世界に目を向けたお話になります。


エラーの発生が悪であり、失敗した医療従事者が悪いとされる組織文化は世界共通であるとWHOも認めています。


エラーから学ぶためには、いろいろなエラーを集める必要があります。航空分野などで始まったインシデントの報告制度は、医療の分野でも導入されました。

インシデント報告は自分の失敗を報告するので、普通は誰でもやりたくない行動です。

ましてや報告することで非難されたり罰せられたりすれば、誰も報告などしなくなります。


報告を出しやすくするために、匿名報告を原則にしたり、良い報告は公の場で賞賛したりする戦略が勧められています。


医療現場で働く人間が、自らのエラーや安全上の問題を気兼ねなく報告できれば、その組織はエラーから学ぶ環境が整っていると言えるでしょう。

組織文化と、そので診療を受ける患者さんの安全との間には相関関係があると考えられています。つまり、多くのインシデント報告がある組織は、より安全な医療組織なのです。


インシデントレポートの書き方は、それぞれの病院や施設によって少し違うでしょう。しかし、だいたい同じような内容を書くはずです。


報告の内容として

「いつ・どこで・だれに・何が起こったか」

と言う事実の正確な記載が必要で、これができていないと正確な分析ができません。

「4W」ですね、


ただ、記載方法として5W1Hを重要視している人が多いのですが、これはどうも日本だけの習慣のようです。

論文や報告書などで5W1H、または起承転結を重要視するのは、日本だけのようです。

外国は起承転結なんて気にしながら書きません。 ということは、そんな書き方をしていなくても十分世界に通用する文が書けるということです。


日本も、もう起承転結にこだわることはしなくてもいいような風潮になってくれないでしょか。


あと5W1Hは、新聞記者がニュースを書くときに使う手法です。

「なぜ Why」を入れてしまうと、ミスが発生した原因を書くことになります。

そのことがミスの責任として個人の責任を追及してしまうことになります。

「なぜ Why」を抜いた「4W」がインシデントレポートとしては、もっとも良い書き方でしょう。




冒頭にお話しをした、「本来インシデントレポートは、個人を責めたり怒ったりしてはならないものです。」の理由は、個人の責任にしても、事故はなくならないからです。


だから、個人を責めてはいけないのです。


そんなことをしても事故はなくなりません。


WHOも「罰することで事故はコントロールできない」ことを繰り返し主張しています。


このことをみんながよく理解しておく必要があります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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