回復期リハビリテーション病院では、入院患者さんが退院したあと自宅に帰ることを支援するのが基本です。
そのとき足腰がまだ弱くて買い物に行けないとか重い荷物を持つと転倒するリスクが高いとか、今までどおりのやり方では自宅生活が難しいケースがあります。
入院期間は決められていますから、「足腰がしっかりするまでいつまでも入院」という訳には行きません。
老人ホームに入所という手もありますが、そこそこ自立できるか家族のヘルプがあれば病院は自宅退院を勧めます。
こうした「一応家の中では自宅生活はできそうだけど、一歩外に出るとちょっとおぼつかない。買い物はどうする?」という問題が出てきます。
そこでよく利用されるのが「宅食」です。「宅食サービス」ともいいます。
実際に入院患者さんが自宅退院して宅食を導入したケースをご紹介しつつ、宅食のメリット・デメリットをご紹介します。
◆ 外出するのが怖い高齢者の場合、庭に出るだけでも転倒リスクが高い。
近所のスーパーやコンビニへ行くのはこの足ではちょっとしんどい。だから食事や食材を配送してもらう。
これはわかります。
でもこういった高齢者は近所のコンビニに行かなくても、もっと近い距離でも転倒するリスクがあります。
たとえば家の廊下、庭、玄関など。
もうどこでも転倒するリスクがあるといってもいいです。
そうなると買い物に行けないわけです。家族と同居していれが別です。家族が援助してくれるでしょう。しかしながら家族と同居していても毎食用意できるわけではないご家庭もあることでしょう。
家族が毎日助けられない、独居、老老介護、というケースでは毎日の生活がリスクだらけになります。
こうしたケースを数多く関わってきたなかで、最近は「宅食サービス」を利用する家族が増えてきました。
今年になってから自宅退院された患者さんで、宅食サービスを利用されているケースが数件ありました。もし宅食サービスがなければ自宅退院はおそらくできなかったであろうと考えます。
◆ 宅食のメリット-なんといっても玄関、台所まで運んでくれること。
最近の宅食はメニューがとても豊富です。
糖尿病食、減塩食、カロリーオフ食(ダイエット食)、高齢者向けのやわらかい食事、無添加食材の食事、妊婦さん向けの食事、などたくさん用意されています。
高齢者向けメニューでは「魚の骨抜きメニュー」や「ムース食」など高齢者でも安心して食べられるものがありますので、宅食サービスの会社で調べてみてくださいね。
この宅食サービスの優れている点は、食事や食材を玄関まで運んでくれることです。
玄関の門から家の玄関扉まですこし距離がある家、マンション、アパートやハイツの場合など便利ですよね。
台所に勝手口がある家だと台所まで運んでくれます。まるで「サザエさん」のサブちゃんみたいに。
これなら猛暑日や雨や風の強いときでも助かりますし、冬に凍結する地域でも安心ですね。
◆ 宅食のデメリット-お金がかかる、不自由。
宅食サービス会社にもよりますが、一食約300円~1,000円といった感じです。
一食平均600円前後というところでしょうか。
月にすると結構な金額になります。
ところが最近は「送料無料」のところが出てきました。もし使おうとお考えの方はそのへんも選択肢に入れるといいと思います。
もう一つのデメリットは不自由ということです。
いくらメニューを見て頼んでいても、その時食べたいものもあるでしょう。メニューにない物を食べたいこともあるでしょう。毎日持ってきてくれるのはありがたいのですが、そうした時は不自由を感じます。
また、配達時に家に居ないと困るということもあります。まあ、基本外出はしないはずですが、例えばかかりつけ医に家族の送迎や介護タクシーで行っているとかありえますから。
チェックあと基本的にどのサービス会社も全国対応ですが、離島はダメとか北海道はダメとか各会社によって違いがありますので、ご注意を。
いかがでしたか。
宅食サービスのおかげで自宅退院ができたケースを知っています。現在も宅食サービスを受けて自宅で生活が送れている高齢者がたくさんいらっしゃいます。
メリット・デメリットをよく考えてうまく利用していきましょう。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。