高齢者における口腔機能が死亡率に及ぼす影響に関して、情報は限られている。そこで著者らは、口腔機能、最大咬合力の客観的尺度が高齢者の死亡率と関連しているかどうかを検証するため、13年間追跡する前向きコホート研究を行った。
対象は、ベースライン時に70歳であった日本人559人(男性282人、女性277人)。ベースライン時に健康診断・歯科検診・アンケート調査を行い、電子記録装置(Occlusal Force-Meter GM10)を用いて最大咬合力を測定した。その後、生命状態を確認するために13年間フォローアップ調査を行った。性別で層別化し、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、最大咬合力の三分位間で生存率を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・13年間で111人が死亡した(男性82人、女性29人)。
・単変量解析の結果、男性において最大咬合力の最低群は、最高群と比較して全死因死亡リスクが増加していた(ハザード比[HR] 1.94、95%CI:1.13~3.34)。この関連は、交絡因子の調整後も有意であった(調整HR 1.84、95%CI:1.07~3.19)。
・逆に、女性においては、最大咬合力と全死因死亡率との間に関連は認められなかった。
入れ歯は、素材によって味の感じ方が変わります。
レジンという素材(写真のようなピンク色の部分。自然な皮膚の色が出るプラスティックの一種)だと自然な色が出せるのですが、口の感覚も味の感じ方も落ちてしまします。
レジン素材の義歯。よく一般的に見かけます。安くて保険適応。ただし、熱伝導が悪く、熱いものや冷たいものをそのまま感じにくいのがデメリット。ごつくて装着しにくく付けた後も付けてる感が大きい。
味覚が感じにくくて困る場合は、もっと味が感じやすくなる金属製の入れ歯に買えるのも一つの方法です。
金属素材の義歯。薄くて装着感が良い。熱伝導が優れていて熱いものや冷たいものを感じられやすい。金属なので割れにくい。おいしく食事を食べたいのならこれ。ただし保険適応なし。高額。物によっては数十万するのがデメリット。
同じ金属でも、「トルティッシュ義歯」だと、より味を感じやすくなります。ただし、味を感じやすくするために細かい穴が開いているので、洗浄が面倒です。
トルティッシュ義歯。写真ではレモンの水滴が義歯を通して落ちています。食材の味をより感じられて美味しく食べられる。
嚙み合わせが悪くなっても、味覚を低下させます。その場合は歯科で再調整をしてもらいましょう。
一人で食べる「孤食」が社会問題化していますが、一人で食べるほうが食事量は減ります。
誰かと食事をするのも、食を進ませるには効果的です。
他の人と食事をしているほうが、30%多く摂取できることがわかっています。
親が一人暮らししている場合は、周囲がたまに食事に誘うといいです。また、家族の写真を食卓に飾っておくだけでも効果的です。
一番大切な栄養素が亜鉛です。
亜鉛が足りていないと味覚が悪くなることがわかっています。治療としても使われるほどです。
亜鉛が多く含まれている食材は、
牡蠣・カニ・牛肉・レバー・卵・チーズなどです。
国民健康栄養調査によると1日あたりの亜鉛摂取量は、平成13年度8.5㎎だったのに、平成27年度は8.0㎎と減っています。
実際に亜鉛不足で食がおいしくなくなった患者さんがいました。亜鉛も大切です。
1日必要量は男9~10㎎、女7~8㎎です。
毎日の味付けでも味覚を強くすることができます。
濃い味付けを毎日繰り返してしまうと、どれも味の強弱がつかないために味を感じにくくなってしまいます。
味噌汁の濃さや、ソースをかけるなどが少ない日というのを設けておくと、味覚が鍛えられます。
微量の塩分でも感じることができるようになります。