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今回のお話は、痛いからと湿布をペタペタと貼る、痛み止め薬をやたら飲む患者さんについてです。


脳卒中による麻痺のある患者さんで、関節に痛みのある方はたくさんいらっしゃいます。


特に麻痺側の関節が痛むことが多いです。

健側(麻痺のないほう)の関節は痛くないということではなく、健側が痛む場合もあります。


そこで痛み止めとして湿布をいっぱい貼ったりする患者さんがいます。


でもその患者さんは普段から痛み止め薬を飲んでいるんです。


にもかかわらず、さらに追加で湿布を貼ったり、屯用で痛み止め薬を追加で飲んだりしているのです。

「ちょっと痛み止めを使いすぎですよ」と言ってもほとんどの患者さんは聞き耳持ちません。


たとえ湿布でも皮膚から薬剤が吸収されて胃を荒らすことに変わりありません。でも説得しても本人はもう湿布や痛み止め薬が、精神安定剤のようなものになっていて、貼らずに飲まずにはおれない。居ても経ってもおられなくなっていて、我慢ができません。


麻痺測が痛いのは、多くは動かさないことで起こります。


健側(麻痺がないほう)の腕や脚を使って日常生活が送れるようにリハビリで訓練をすることが多いので、麻痺側は動かすことが少なくなりがちです。


入院中に、リハビリ以外の時間に麻痺側の腕をいつも自分で動かしていた男性患者さんがいました。

片方の動くほうの腕で、麻痺の腕を持っていつも動かしていました。

いつベッドに訪問しても、彼は麻痺側の腕をいろいろ動かしていました。

彼は研究熱心で、ネットや本などで勉強して、常に自分で空き時間を有効にリハビリをしていました。


その彼は左腕と左脚に重度の麻痺があったのですが、痛みはほとんど出なかったんです。


退院した後、彼はちょくちょくフラッと病院に訪れてきて僕に会いに来てくれたのですが、あまり動かなかった麻痺側の腕が結構動いていたことに驚きました。


個人差はあるのでしょうが、やはり継続は力なのでしょう。


腕に麻痺があると肩関節が腕の重みによって外れ掛けたりする亜脱臼状態になったりして、かなり痛むことがあります。


そうなると麻痺している腕をアームスリング等で支えてあげることで関節が外れないように保護したりします。



脳神経外科の急性期にいた頃、ベテランの看護師さんが麻痺測の痛みで「今日はリハビリしたくない」と言った患者さんに、


「私だってね、脚が痛くても湿布貼ってがんばっているんよ。痛くてもリハビリをやらなきゃよくならないよ!湿布貼ってでもリハビリをしなきゃ!リハビリってのはそーいうもんなんや!」


ベテラン看護師の迫力に怖くてか、その患者さんは嫌々ながらリハビリをしに行きました。


今は早期離床、早期リハビリが叫ばれていますから、発症後からリハビリをするのは急性期では当たり前です。


まあ、本人の状態にもよりますが。


脳卒中は、早期にリハビリを導入することで予後は良くなることが知られており、回復する可能性が高まります。


あながち、そのベテラン看護師の言うことは間違っていないと思います。


あとは変に患者さんの身体が痛まないように気を付けながらリハビリをしていくということでしょうか。


拘縮すると少し動かすだけで激痛が走ったりします。


本人は辛い状態ですが、痛み止め薬を多用すると今度は副作用の心配が出てきます。


一つは麻痺測もストレッチやほぐしでしっかりと動かしてあげること。


もう一つはあん摩マッサージ師によるマッサージを受けること。


または、主治医に現状を相談してみてください。薬の調整をしてくれると思います。


在宅などでリハビリを継続している方は、担当のセラピストに相談するのもいいと思います。


痛みはリハビリへの意欲を低下させるので、できるだけ取り除きたいものです。


日常生活への影響も出てくることがあります。


その人に合った対応を考えていく必要があります。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2018年11月12日   更新日:2019年11月17日