分かっているようで、よく分かっていない。
CTとMRIの違い。そしてその使い分け。
・・・・・いや、いいです。なんだか難しそう。
・・まあ、そう言わずに。
大丈夫です。難しいことは言いません。
むしろこの超基本だけでも知っていると、知らないよりはるかに物知りです。
◆ CTは放射線を使う。MRIは磁気を使う。
CTはレントゲンのように放射線を使って体の中を調べます。
MRIは磁石の力を使います。
詳しい原理はここではパス。
まずは使うものが違うので、それぞれ注意しないといけないことがあるということです。
CTは放射線を使うので妊婦さんは絶対だめです。
CTは撮影時間が早く、大抵はあっという間に撮影が終わります。
音も静かです。
MRIは磁気の力がめちゃくちゃ強いので、金属製の入れ歯さえも必ず取ってから撮影です。
MRIは撮影時間がCTよりも長くだいたい15分~30分かかります。
その間は「ガンガン!キーン!キーン!」とまるで工事現場にいるような大きな音がします。
なので患者さんが途中で「もう無理。耐えられない!」と断念することもあります。
◆ 脳出血に強いのがCT。脳梗塞に強いのがMRI。
CTは出血を写しだすことが得意です。
出血があればすぐに分かるのです。
なので、脳卒中を疑うときはまず頭のCT画像を撮ります。しかもCTは撮影時間がとても短く済みます。
CTでも脳梗塞が分かるのですが、これはある程度時間が経たないと写りません。
脳梗塞を発症したてのときは、まったく写りません。それこそ正常の脳画像として見えるほどです。
ちなみにCTで脳梗塞は黒く写ります。
先ほど述べたように、CTは出血を判断するのが得意なのです。
事故で頭を打ったとか、脳卒中疑いとかでまず頭のCTを撮る。それで白く写っているのがなければ、とりあえず脳出血はないな、ということになります。
かたやMRIは発症したての超急性期の脳梗塞の判断を得意とします。
脳梗塞で救急搬送されてきた患者さんの頭のMRIを見ると、はっきりと白い箇所が分かります。
この白い箇所が脳梗塞です。
時間が経つと脳梗塞を起こしている箇所の白いのがだんだん薄くなってきて、最後は黒い穴があいているように見えます。
こうなってしまうと、ここの脳梗塞は完成されたものとなっている証拠です。
発症したての超急性期の脳梗塞だと、t-PAという薬を使うともしかしたら血流が再開して大事に至らずに済むかもしれません。
MRIのすごいところは、ただ単に刀でスパッと切ったような断面の画像だけじゃなく、いろいろな角度から体の中を見ることができるのと、いろんなモードがあって強調して見たいことを見れるということです。
◆ CTは頭蓋骨が写る。MRIは脳そのものが写る。
QLIFEさんのサイトから引用しています。https://www.qlife.jp/dictionary/item/i_080102000/
CTとMRIの違いがよくわかります。
→の先に白くなっているところが脳梗塞です。
かたやCT画像では何も変な所は見られません。先ほど述べたように、超急性期の脳梗塞はCTでは何も写らないのです。正常な脳のように見えるというわけです。
ここではMRIが得意分野です。
超急性期の脳梗塞はMRIでは白くはっきりと写ります。これは分かりやすいですね。
それとCTでは周りに頭蓋骨がはっきりと白く写っています。
MRIは頭蓋骨はあまり分からず、脳そのものだけを写して出しています。
これもCTとMRIの違いです。
これを知っていると、この頭の画像がCTなのかMRIなのかが一目瞭然と判断がつきます。
CTとMRIはそれぞれ得意分野があります。
これを知っているとなぜ今CTなのか、MRIなのかがよく理解できますし、画像を見た時に異常を見つけやすくなります。
今や脳画像が読めるようになるのは、看護師やセラピストなども必須といえるでしょう。
もやは画像と看護、リハビリは避けて通れないようになってきました。
どうでしたか。
それほど難しくなかったでしょ?
それではではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。