くも膜下出血は発症2週間で人生が決まる。手術成功でも死のリスクがあるとても奥が深い病気。手術成功してもその後の脳血管攣縮のリスクがある。正常な脳血管が細く縮んでしまい、脳梗塞や脳にダメージが発生する。これの予防薬「クラゾセンタン」が承認。期待大!https://t.co/8ebKI68K1G
— ふるたによしひさ@看護師×医療Webメディア (@yoshihisanurse) May 25, 2022
脳卒中のなかでも「くも膜下出血」は超怖ろしい病気です。
脳卒中はどれも怖いですが、くも膜下出血は最恐と思っています。
なぜなら高い死亡率や手術後に越えなければならない山がたくさんあるからです。
今回販売された「クラゾセンタン」という薬は、くも膜下出血の合併症に効くと言われています。
◆ 脳血管攣縮とは?
めっちゃ難しい漢字ですが、
脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)と読みます。
くも膜下出血は文字通り「くも膜」の内側の血管が破裂することです。
脳は3つの膜で覆われています。
一番外側から、硬膜、くも膜、軟膜です。
硬膜の内側の出血が硬膜下血腫、
くも膜の内側の出血がくも膜下出血、
軟膜の内側の出血が脳出血
ということになります。
くも膜下出血が発生すると、くも膜内に血があふれます。
この出血した「血」が周りの正常な血管に悪さをして、血管を縮めてしまいます。
それこそ髪の毛のように細ーーーく縮めてしまいます。
その結果、血管が細くなり血流が途絶えて「脳梗塞」を引き起こします。
自分の血液なのに、それが正常な血管を見えないほど細く縮めてしまう。
なんとも不思議な現象が起こります。
これがくも膜下出血後に起きる合併症「脳血管攣縮」です。
手術に成功しても、脳血管攣縮という合併症が襲ってきます。
脳血管攣縮は発症から4日目~14日目の間に起きることがほとんどです。
一説には、くも膜下出血になった人の70%が脳血管攣縮を発症するといわれています。
◆ 従来の脳血管攣縮薬「エリル」があるが…
現在脳神経外科でよく使われている脳血管攣縮薬は「エリル」というものです。
エリルは点滴薬で、脳血管攣縮を防ぐ目的で使用されています。
ただエリルを点滴していても脳血管攣縮を防ぎきれないのが現状です。
それぐらい脳血管攣縮を防ぐことは非常に難しいのです。
ボクは脳卒中専門集中治療室(SCU)で勤務していたとき、
エリル点滴薬を使用していても脳血管攣縮になり、重い後遺症が残ってしまった患者さんをたくさん見てきました。
本当に難しく怖ろしいことです。
◆ 4月販売「クラゾセンタン」に期待
新しく認可され販売されている「クラゾセンタン」は、新しい脳血管攣縮薬です。
クラゾセンタンを使用した場合、脳血管攣縮の発生が有意に減少したという臨床試験データがあります。
使用した現場の手ごたえとしては、使用量が比較的多い場合、脳血管攣縮の発症が低くなる傾向があるそうです。
とはいえ、クラゾセンタンでも完全に脳血管攣縮を防ぐことはできません。
本当にやっかいな脳血管攣縮です。
しかし、今後はエリルだけでなくクラゾセンタンという選択肢が増えたことは歓迎するべきことです。
くも膜下出血は出血を止めればそれでOK、というわけではなく、
乗り越えなくてはならない山がたくさんある怖ろしい病気です。
気を付けろといわれても予防が難しい病気です。
くも膜下出血の危険因子として、せめて高血圧や喫煙や大量の飲酒は避けましょう。
それでは最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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くも膜下出血の危険因子に仕事のストレスも加えたいです。
我流麺童さん>>
たしかに!
ストレスも避けたいですね。