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皆さん、家族を大切にしていますか?

パートナーや子どもたちを大切にしていますか?

なんでこんなことを言うのかというと、例えば夫が入院したのをいいことに、もう二度と家に帰ってこないようにする家族がたくさんいます。

これは単に介護が大変だからというのではなく、今ままで夫がしてきた暴言・暴力・わがままなど、溜まり溜まった恨みつらみがあって、入院を機に自宅退院を拒むということです。

このようなケースは、以前の脳外科救急病院で働いていたときも度々ありました。

現在の回復期リハビリテーション病棟では、退院すると次は自宅になるので、「それは困る。嫌だ」と自宅退院を頑なに拒むケースが多いです。

で、一概に自宅退院を拒む家族が悪いとか、今まで悪いことをしてきた夫が自業自得だとかではなく、今の生活を大切にしないと人生の後半でさみしいことになるかもしれないということです。


◆ 家族の反撃が始まった - 今までの不満が噴出した家族が考えること



よくあるケースは、夫の暴力や暴言、浪費、借金、パチンコ、アルコール、など好き放題にされてきた家族が、夫の入院を機に今までの不満を爆発させるというのです。

家族としては、毎日平和になり、それはそれは気持ちのいい毎日を過ごしています。

入院しているおかげで、怖い夫はいません。

こんなに清々しい生活を送れたのは何年ぶりだろう。

夜もぐっすり眠れる。

買い物も自由に行けるし、夫の機嫌取りの物を買って帰ることも必要ない。

それもこれも夫が入院しているから。

この平和を再び壊したくない。

あの地獄の日々をまた送るなんて、考えられない。

もう二度と退院してくるな!


看護師はこうした家庭の事情を知っています。

「病棟ではニコニコしてて愛想のいい男性だけど、家では全然違うんだな…」

こうしたケースの場合、眼の前にいる患者さんのギャップに驚くことがあります。

病棟ではそんな暴言暴力のパワハラするような感じは受けないのですが、家族は必死で自宅退院を拒みます。

「長年、家族は夫にそうとう苦しめられたんだろう…」

それぞれの家庭の事情には突っ込んだことはしませんが、職業柄どうしても家庭事情を知ることになります。


私がビジネスマンをしていた頃には気付かなかったのですが、家庭内の複雑な事情を抱えている家庭はとても多いという印象です。


一見、幸せそうに見える家族にも、人には言えない悩みや苦しみがあります。


悩みや苦しみはそれぞれ違いますが、夫からの耐えがたい苦痛を味わい続けてきた家族は、入院したのを期に夫に復讐を始めます。


◆ 老健や療養型病院などへ移るケースが多い



その人の年齢や病気、後遺症の程度などによりますが、家族から自宅退院を拒否された夫は、老健や療養型病院などへ移ることが多いです。

これはいろんなパターンがあるので、一概にこの二つということは難しいのですが、まあ、この二つが目立ちます。


回復期リハビリテーションでしっかりリハビリをして、自宅で生活ができるくらいまで回復したにも関わらず、施設で余生を過ごすことになった患者は数知れません。


何度も言いますが、それぞれの家庭の事情が違うので、それについてどうこう言うことはしませんが、家族を大切にしてこなかったツケが来る。

自分の余生をどこで過ごすかを決定するのは、家族ということです。


妻や子どもにひどいことをしてきた父は、やがて老いた時、病で後遺症が残った時、妻や子どもがキーパーソンになって本人の意向とは関係なく意思決定をします。


本人は自宅に帰りたい。でも決めるのはキーパーソンの家族。

病院も家族が「自宅で看ない」と言っているのに無理に自宅退院をすることはできません。

本人はどんなに自宅に帰るんだと思っていても、その願いが叶うことはありません。


◆ ヒトは一人では生きられない、頼らなければ生きていけない



これを自覚しておきたいです。

本当にそうです。

健康でバリバリ働いているとつい「自分はまだまだ大丈夫」と思いがちですが、

そのうち誰もが老いてきます。


今まで出来ていたことができなくなる時が、必ず来ます。


人生100年時代。

誰もが長生きしやすい時代。

意識障害があっても体が動かなくても生かそう思えば限界までできます。

チューブや人工呼吸器につながれて限界ギリギリまで生きられる時代です。

なかなか死ねない時代です。


救急、回復期、老健などいろんな領域の経験がありますから、病で倒れて救急搬送されてから最後までどんな生き様があるのか、いろんなケースを見てきました。

施設に入るのが悪いことではありません。

自宅で看ないのが悪いことではありません。

何がいいのか悪いのか、私にはよく分からないですが、医療介護の現場にいて思うのは、


自宅だろうが施設だろうが、

「かわいいジジババは、どこにいっても得する」

ということです。




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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