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意見や要望を言ってくる人をクレーマーとひとくくりにしてしまうのは良くないと思います。

が、世の中には「それはあまりにもひどい」と思ってしまうことがあります。

以前、老健で働いていたときの出来事です。

老健は京都。家族は兵庫県。

老健に入居している女性は90歳代。兵庫県の親族は70~90歳代。

遠いのと高齢であるのとで、めったに面会に来ません。


ところがほぼ毎日のように老健に電話がかかってきます。


「うちの姉はどういう感じですか?」

「今日の体温は何度ですか?」

「今日の京都は冷えるってニュースで言っていたので、もう一枚布団をかけてください」


このような電話がよくかかってくるんです。

そしてたまーに来た時はもっとフィーバーされます。


ここで職員が消耗してしまうのは、こうした電話対応で事細かな指示を出してくるのと、親族の意にそぐわない返事をしたときに大声でどなってくることです。

ではどうしてこのように職員にあれこれ指図をしてくるのでしょうか。


◆ たまにしか来ない親族がものすごいクレーマーなワケ とは


「ホントはね!もっと行きたいんですよ!」

毎日電話がかかってくるので、その対応をしているときに電話口の親族が発した言葉です。


こうした家族は入居中の家族のことをものすごく思っていることがほとんどです。

大事に思っているということです。

なので、「あ、そうだ。お母さんにこれをしてあげたいなぁ」「お母さん今どうしているのかなぁ」と、ふと頭に思い浮かんだら、遠慮なく施設に電話がかかってきます。

夜勤中にも電話がかかってきたことがあります。

「ウチの母、今寝てますか?」

「寒がりなのでレッグウォーマーを足に履かせてくれていますか?」

「ホットカーペットの設定は弱になっていますか?」

「ティッシュ箱を取りやすいように目の前に置いておいてください」

「ナースコールは手に握らせていますか?」

マジです。マジで夜勤中にこのような電話がかかってきます。

心配なのでしょうけども、マジでかんべんしてよーと思います。


で、「今確認してきます」と言うと

「なんで知らないんですか?!!ちゃんとやってください!!」

「ウチの母はね!過去に風邪を引いてこじらせたことがあるんですよ、風邪でも引いてまたこじらせたらどうするんですかー!!」


いや、、電話に出たスタッフが全ての利用者さんの今現在の状況を把握しているとは限らないでしょ。

たまたまフロア担当じゃないスタッフが電話に出ることもあるじゃない。

ていうか、ここは老健施設ですよ。冷暖房完備で建物内はまったく寒くないし。


このように、たまにしか来れないから電話で今の様子をチェックしたい家族さんがいます。

いいんですけどね。

いいんですが、毎日毎日これだとスタッフは消耗します。



◆ 任せるという選択肢を選んだのなら、任せましょう


自宅で介護はできない、限界がある、そう判断したから施設入居を選択したはずです。

それでいいと思います。

そのために施設があるのです。


介護は終わりが見えないだけでなく、時間や体力もかなり使います。家族介護は大変だと思います。

私の祖母はかなり重度の認知症でした。もうずいぶん前に亡くなりましたが。

昼夜逆転で、夜中に「ご飯はまだか?」と典型的なセリフを言いに私や両親のベッドにまで来ました。

こういう時はもう食べたよと説得しても無駄なことが多く、空腹を満たさないと収まりません。

当時はまだ認知症の知識がなかったものですから、家族共々、夜も眠れず昼も振り回されて消耗しきっていました。

とうとう限界を感じて施設を探しましたが、なかなか空きがなく困っていました。その後、特別養護老人ホームに運よく入居することができました。

祖母が特養に入居してからは、家の中がほんとうに穏やかになったのを覚えています。


介護で悩まされることから解放されたことで、以前よりも優しく接することができるようになりました。

家にいるときは、家族はみんなイライラしていて、キツイ口調で言ったり怒鳴ったりすることがありました。

家族は素人ですから、認知症介護は壮絶なものと感じていました。


なので特養は本当にありがたい存在でした。




祖母のことはもう任せたらいい。

逆に在宅の壮絶な毎日を知っていたので、施設スタッフさんの苦労が目に見えて分かるので、そういう意味で「面倒がかかる祖母を預かってもらい申し訳ない。スタッフさんたちは大変だろうな…」という気持ちもありました。


ウチは施設に任せたんです。

「もう勝手にして」という意味ではありません。介護のプロに任せた。大切な家族だからこと、プロに任せたのです。

おかげで家族はしっかりと休息をとることができるようになりました。だから、面会に行ったときは今までよりも優しく祖母に接することができるようになりました。


施設と家族、その信頼関係を積極的に築いていくように双方が自覚をしなければいけません。


施設側には、「我々がみているおかげで、家族が休息をとれる。家族が仕事を継続できる」そういう誇りがあります。


◆ 小うるさい家族がいると、現場スタッフが必ず言う言葉とは


介護現場もしくは病院で働いたことがある人なら知っていると思いますが、現場スタッフが必ず言う言葉があります。

「そんなに大事なら自分で介護したらいいじゃないか」

小うるさい家族に対して、必ず言われています。

100%言われているんじゃないかなと思うくらい、言われます。

家族の前では言いません。裏で言われています。


スタッフも「家族のことを大切に思っているから心配なんだろうな」とは分かっているのですが、度を過ぎる要求を言われ続けると、やはりいい気はしません。

「家族を思う優しい家族」→「小うるさいクレーマー」

にチェンジします。


◆ まとめ



まとめ
■ たまにしか来ない親族がものすごいクレーマーなワケは「家族のことを大事に思っているから。
頻繁に会えないので、なおさら気になるから

■ 施設に預けたのならその選択肢の意味を考えましょう

■ 介護のプロに任せたのなら、任せましょう



自分が夜ゆっくり眠れるのは施設に任せているおかげです。

とはいえ最近は高齢者の増加、認知症患者の増加により、施設が満床でなかなか決まらないことがあります。

お金の関係で施設入所したくてもできない家族もいます。

自宅で最後までみたいという家族もいます。


高齢になった時の選択肢は複数あります。

その家庭のライフスタイルに合わせて、本人とその家族がハッピーな生活が送れる選択ができるように考えていきたいものですね。


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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