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回復期リハビリテーション病棟を退院したあと、自宅で高齢の家族を介護しようと考えるときに知っておくと介護負担が軽減できることがあります。

過去に介護経験がある方なら介護のイメージを浮かびやすいですが、まったく介護経験がない方の場合、不安は大きいと思います。

介護はやらなくてはいけないことがたくさんあります。

一度に全部を詰め込むと大変ですので、

今回は①ケアマネージャーと連携②回復期入院中の介護指導を受けるポイント③再発予防の3つをザっと述べます。


① ケアマネージャーと連携


退院したあとの介護の相談は担当ケアマネージャーにするのが第一選択です。

担当ケアマネージャーは利用者さんの情報に詳しく、家族関係や提携病院や福祉業者間の連絡など介護をしていく上で心強いパートナーです。

もし、自宅でなにか介護で困ることがあればまずは担当ケアマネージャーに相談することをおすすめします。


高齢者福祉はさまざまな制度があります。素人がそれらをすべて理解し把握するのは困難です。ケアマネージャーは福祉制度にも精通しているので、きっと解決の糸口になる提案をしてくれるでしょう。


いままで看護師やリハビリスタッフなどが傍にいてくれたけど、退院して病院から自宅に戻ると、こうした人たちがいなくなって不安になることある思います。

在宅介護サポートの中心となるのはケアマネージャーです。不安なことは相談して早めに解決するようにしていくことが大切です。


知っておきたいことケアマネージャーは大変頼りになる存在です。
しかし個人のレベルに差が大きいのに注意が必要です。

ケアマネージャー制度ができた当初はとにかくケアマネージャーが足りない時代でした。そのため国は合格者をたくさん出して、不足分を補おうとしました。
その結果質の低いケアマネージャーを多く輩出してしまったという経緯があります。

現在は合格基準を大幅に引き上げられ、非常に受かりにくい資格となりました。

ケアマネージャーによって介護のしやすさが変わります。

もし担当ケアマネージャーにお困りであったりご意見があるのなら、地域包括支援センターにご相談ください。


② 回復期入院中の介護指導を受けるポイント


自宅介護を決めたのはいいが、自分が実際に介護をすることに不安がある場合、入院中に看護師などから介護指導を受けることがあります。

指導の内容な個々の状況によりますが、よくあるのが「オムツ交換」です。患者さんによってはさらに「着替え」「移乗」「吸引」「注入食」などが加わることがあります。

介護指導もたくさんの種類があります。全部を一気にご紹介するのは大変ですので、ここでは「オムツ交換で漏れないコツ」をご紹介します。


オムツ交換でのポイントは、「漏れない当て方」です。意識するのは次の二点です。

ポイント①「尿パットはオムツのギャザーのなかに入れる」 

ポイント②「左右対称に、きちんと中央揃えにオムツを当てる」


ポイント①

↓このように、尿パットはオムツのギャザーの内側に入れます。

ギャザーは排泄物を外へ漏らさないための堤防のような役割があります。必ずギャザーの内側にいれましょう。

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↓実際に尿パットを当てる時はこういった感じで、オムツのギャザーの内側に入れます。

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ポイント②

オムツは左右対称に当てましょう。右や左にずれていると漏れの原因になります。

最初のうちはなかなか中央揃えに当てるのが難しいです。しかし、やっている内にだんだんと上手くなっていきます。

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↓オムツはきちっと中央揃えにすること。これを意識して当てると漏れることが大幅に減ります。

下の写真は、とてもきれいに当たっていますね。

常識のように聞こえるかもしれませんが、意外とできていないことが多いのです。

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オムツがズレていると漏れ以外にも、床ずれ(褥瘡)になるリスクが高まります。

漏れてにおいの原因にもなりますので、正しい当て方をマスターしましょう。においが気になるのなら➤急速分解消臭スプレー を使うのもいいです。

そもそものお通じのにおいをなんとかしたい場合は腸内環境を整えることです。いわゆる➤【善玉菌を増やす】 ことで強烈な便臭を抑えることができますし、➤便秘や下痢の改善 にもつながります。


オムツ交換は患者さんの協力動作が得られる場合と得られない場合があります。

また、尿パットだけの交換なのか、昼間はトイレに行くので夜間のみオムツを装着するのか、といったように患者さんと家族の生活スタイルによってパターンがいろいろあります。


いづれにしても漏れてしまうと、患者さんのズボンや上着まで汚れてしまいます。そうなると着替えや汚染物の下洗いという別の介護も必要になり、本人と介助者双方の負担が大きくなります。

「漏らしてしまった」という心理的負担もありますので、「漏れない」ということを日々意識していると介護負担軽減につながります。


病院でオムツ交換の介護指導を受けるときは、これをしっかり教わりましょう。


③ 再発予防


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再発予防は疾患やケガの種類によって変わります。

たとえば脳卒中の再発予防では、まずは血圧に関心を持ちましょう。


高血圧は脳卒中の危険因子です。これは「脳卒中治療ガイドライン2015」にも載っており、脳卒中の予防の鉄板となっています。


血圧は140/90㎜Hg以下を目指しましょう。最近は120/80㎜Hg以下を推奨されていますが、とりあえずは140以下でいいと思います。


脳卒中の再発予防に有効とされる血圧基準は、脳卒中治療ガイドラインと高血圧治療ガイドラインの2つのガイドラインがありまして、いままでは両者の基準値は一致していましたが、最新版からは値に少し違いがあります。


「脳卒中治療ガイドライン2015」では140/90㎜Hg以下。

「高血圧治療ガイドライン」では135/85㎜Hg以下(75歳以上)。


細かく言いますと、年齢や既往歴によってももう少し変わります。

が、そんなに細かく意識して暮らしていくのは大変ですので、とりあえずは上記の数値を意識していれば大きな間違いはありません。


入院中から「血圧手帳」をもらって、毎日自分の血圧を記録することをお勧めします。

入院しているうちから記録をつける癖を付けていくためです。

自宅に血圧計を持っていても、結局使っていないことがほとんどですので、習慣にするのは大変です。


また、手首で測定するタイプの血圧計は手軽でコンパクトなので便利ですが、測定値にばらつきが大きくあまりお勧めましません。

ただそこまで正確さは求めていないという方や、サッと使えるほうがむしろ習慣になるという方にはオムロンのおすすめ「手首血圧計 大画面モニターで見やすい」があります。もっとコンパクトな手首タイプにはタニタの手首式血圧計があります。

最近はスマートウオッチで血圧が分かるものがありますので、それもアリです。これは3000円台と安いスマートウオッチなのでお求めやすいと思います。


私の一番のおすすめは自分がいつも使っているテルモ「エレマーノ 2」です。少々値段がはりますが、超正確で耐久性抜群です。コンパクトで服のポケットに入ります。私の使ってみた感想がありますので、よろしければ合わせて読んでみてください。





転倒で骨折しリハビリ入院をしている患者さんの場合、自宅に帰ってからまたこけたらどうしようと不安になりますよね。

転倒を100%防ぐことは難しいですが、リスクを減らすことはできます。


リハビリでしっかり歩けるようになれば一番ですが、まだこける不安が残っている場合は入院中に「家屋調査」をされると安心です。


これは担当リハビリスタッフやケアマネージャー、福祉用具会社などがご自宅に訪問して、危ないところはどこか、どこに手すりを付ければ安全かなど生活環境を調査をすることです。


私の勤務しているリハビリ病院ではこの「家屋調査」をよく実施します。

私も実際に入院患者さんのご自宅にお邪魔して、ほかのスタッフと一緒に拝見したことがあります。


どこに何センチの段差があるとか、ベッドからトイレまでの動線はどうかとか、お風呂はどのようなタイプかとかあらゆる生活動作環境を調べます。


この情報が退院までの残りのリハビリに活かされるのです。ケアマネージャーが退院までに手すりの設置を手配してくれたり、電動ベッドのレンタルをしたりと安全に生活ができる準備ができます。ぜひこれを入院中に活用してください。


転倒予防には靴も重要です。スリッパは転倒しやすい履物ですので避けたほうがいいです。


➤リハビリ 入院してこられたのにスリッパしか持ってこない家族がいますが、歩行練習には不向きですので、必ず➤踵が入る靴 を用意しましょう。


普段から履いている靴で十分です。

しかし、骨折して筋力低下や麻痺があり、軽くて簡単に履けるタイプの靴が適している場合は➤マジックテープ式の靴 がおすすめです。


在宅介護の不安は入院中にできるだけつぶしておいたほうが、スムーズに在宅に移行できます。

せっかく病院にいるのですから遠慮なく担当スタッフに相談してください。

とくに回復期リハビリテーション病棟のスタッフはみんな、在宅をイメージしながら仕事をしていますので、きっとお役に立てるはずです。


画像引用:カクイックスウィング、refre livedo、maruho.ne.jp

それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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