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病院以外の看護師の働く場所でおすすめなのは「介護老人保健施設」(いわゆる老健)です。

理由は、①病院のような検査や高度な処置や観察がない。②病院よりも利用者さんの出入りが頻回になく、じっくりと関われる。③正社員だと夜勤があって給料もまずまずいい。バイトも高時給。

ではそれぞれを詳しく見ていきましょう。


◆ ①病院のような検査や高度な処置や観察がない


老健は利用者さんにとって、第二の家のようなものです。

自宅ではないのですが、何カ月も暮らし、場合によっては人生の最後を迎えることもあります。


病院を退院したが自宅での生活に不安がある方やもう少しリハビリを継続したい方、自宅で住むための準備が整うまで入所するという方、介護疲れの家族の為にレスパイト目的で短期入所する方など理由はさまざまです。


老健に入所している方は基本的には元気です。

もちろんそれぞれ持病は持っているのですが、緊急を要するような不安定な状態ではありません。

糖尿病があっても血糖値は薬でまずまずコントロールできていますし、脳卒中の既往があっても安定した状態になっています。

歳をとると何らかの既往歴がある方がほとんどですが、現在は安定しているので毎日穏やかに過ごされています。


看護師は病院のように検査でバタバタと走り回ていることはありません。

レントゲン室もエコーもない、救急カートすらない。

内服薬の取り扱いや点眼、軟膏、ちょっとした傷の処置や食事介助などが主な仕事です。

こういうと「なんだチョー楽じゃないか」と思うかもしれませんが、超高齢になるとほとんどの利用者さんになんらかの処置がありますので、数が多くてけっこう時間がとられます。


超高齢者では何が起きても不思議ではありません。

昨日まで元気だったのに急にガタガタっと体調が崩れることがあります。心筋梗塞や脳卒中を発症して救急搬送されることもあります。

看護師はこうしたことに素早く気付き、最適なアプローチができるように普段から利用者さんの観察をしっかりおこなう必要があります。


病院のような高度な医療器機がない分、看護師の観察力が利用者の安全に大きく関わっています。

普段からじっくり利用者さんに関われるので、利用者さんのちょっとした変化に気付きやすい。看護師の知識や観察力を発揮できる職場といえるでしょう。


◆ ②病院よりも利用者さんの出入りが頻回になく、じっくりと関われる。


老健の入居者さんは病院よりもかなり長く入居しています。短期入所、いわゆる「ショートステイ」は除きます。

通常は数か月から数年。場合によっては看取りまで対応します。

病院よりもずっと長く利用者さんと関わることになります。

そのため利用者さんの癖や習慣、一日のリズムや行動などがよくつかむことができます。

「この方はこの時間はいつも読書をしている」

「毎日この時間になると起きてくる」

「コーヒーよりもお茶のほうが好まれる」

など、知れば知るほど先の展開が読めるので、あらかじめ準備がしやすい。

先ほども述べたように、一人一人の利用者さんがよく分かるので、ちょっとした変化に気付きやすい。


逆にあまり長く関わるとそれがストレスに感じる人がいるかもしれません。

病院では短期間だけの関わりでも、老健だとそうはいきません。

もしそれが気になるのでしたら老健や特養といった介護施設は向かない可能性があります。


◆ ③正社員だと夜勤があって給料もまずまずいい。バイトも高時給。


老健って意外と給料はいいです。

病院が一番給料がいいと思っている看護師も多いと思いますが、病院と老健とを比べると遜色ないレベルです。

特に正社員だと夜勤がありますので、その分病院に負けていません。(日勤のみの働き方もできます)


また、アルバイトだと時給も1,500円以上あるところがほとんどです。

さらに夜勤のアルバイトはもっと高給です。一晩35,000円のところもあります

月に3回夜勤アルバイトをすると、それだけで105,000円。

これは実際に私が経験した夜勤バイトなので、本当です。

もし夜勤バイトを望むなら、老健です。


◆ 老健の夜勤て、どんな感じ?



老健では通常夜勤は看護師一人です。

主に注入食の利用者さんのケアや食事介助、夜間の頓服薬の管理などが主な仕事になります。

トイレ介助やオムツ交換、寝かしつけや起床などは基本的に介護士さんがおこないます。

もちろん夜間は人手が少ないので、応援でナースもやることがありますが、夜間は突発的なことへの対応がメインです。あと巡視もあります。


私は老健で日勤も夜勤も経験がありますが、夜勤は自由な時間が多くて仮眠もとれます。

もし急変などで病院に行く必要があれば、救急車を呼びます。

老健は利用者さんにとって第二の家と言いました。家でなにか急変があれば救急車を呼びますよね。それと同じです。医師も救急カートもないので、緊急時は救急車で病院へ行くほかありません。

こうした急変時は大変ですが、老健のナースは素早く急変時の判断ができれば、あとは病院に任せるということになります。


◆ 老健で働くナースは多い。



看護師の職場は圧倒的に病院が多いのですが、病院以外では介護施設等が第3位で約10%の看護職員が働いています。※厚生労働省「看護職員の就業場所(平成24年)」

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病院以外で働く場所は第二位が診療所でいわゆるクリニック。第三位が老人保健施設などの介護施設となっています。

「クリニックもいいけど、やっぱり夜勤があって給料が高いほうがいい」

「今は子どもが小さいので日勤のみ。いずれは夜勤もしてお金がほしい」

というように、生活スタイルに合わせた働き方も可能です。

こうしたフレキシブルな勤務ができるのも老健が選ばれている理由の一つです。

あと残業はほぼありません。

私が勤務した老健では、まったくといっていいほど残業なしで、みんな定時上がりでした。



◆ まとめ


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老健のまとめ■ 老健は病院と違って安定している人が看護の対象です。しかし医療器機が乏しい分、しっかりと観察をする力が必要です。

■ 長期間の入所が多く、利用者さんとじっくり関われる。

■ 意外と高給。特に夜間バイトはいい額になります。

■ 夜間は看護師は一人。急変時は救急車を呼んで病院へ。

■ 日勤のみ、夜勤のみといったフレキシブルな勤務が選べる。

■ 残業はほとんどありません。定時上がりが通常です。


ほとんどの看護師は学校を卒業すると病院に勤務します。

それゆえ老健ってどんなかんじ?と分からないことだらけでしょう。

老健は病院とは違いますので、治療というよりかは生活の場です。なので病院のやり方とはちょっと違っていることがあり、そこは慣れが必要です。

老健ナースは、利用者さんの健康管理が使命といえます。


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それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。



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