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自閉症は名前くらいは聞いたことがある人は多いと思いますが、正しく知っている人はまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか。

これは私が経験した、ある発達障害の男性患者さん(40歳代)の話です。

入院してからというもの、彼はとにかく病院の外へ出ようとしました。

リハビリ時間中も、自由時間中も。

食事時間になっても食べずに外へ行こうとされたり、とにかく一つの場所にじっとしていることは少なかったです。


◆ 発達障害のある男性患者が入院  彼が常に病院の外に出ようとしたワケ


結論から言いますと、発達障害の症状といえます。

発達障害には自閉症も含まれます。彼の既往歴は自閉症と書いてありました。

自閉症の特徴■ 感覚が過敏である

■ じっとできない

■ 言葉の遅れ

■ 言葉の指示が理解できない

■ 自分の思いがかなわないと感情が爆発する



きっと彼は、病院という環境の変化になじめなかったと思います。

感覚が過敏ゆえに、知らない人が周りにいっぱいいて、いろんな人(病院スタッフ)が話しかけてくるのがストレスだったのでは。


家に帰りたい?

そうだと思います。でも家族は「ここでしっかりリハビリするのよ。そうしたら帰れるからね」と熱心に説明をしています。

だから彼は、病院の外に出ようとしますが、病院から遠く離れて自宅に帰ろうとはしなかったんです。


病院は嫌だけど、家族からはしっかりリハビリをするように言われているので家に帰ろうとはしない。


そうか…。そうだよな。早く退院したほうがいい。

病院玄関の外にある木の下でじっと座っている彼を見て、そう思いました。



◆ 多数の人と違うからといって、「やっかいな人」と思わないで


発達障害のお子さんは、周りの多数の子と同じような行動はできなことがほとんどです。

感覚が過敏ゆえにいろんなものに興味を持ち、その近くまで行かないと気が済まないのでどうしても多動に見える。いわゆる「落ち着きのない子」と見られてしまう。

興味があるから、あちこち動き回るだけ。


指示は入りにくいから、従わないだけ。

別に嫌っているわけではありません。


いままでの体験をもとに周りの世界を学びます。なので、記憶通りにいかないと混乱します。

イレギュラー対応は苦手。

でもこれは、言い換えれば「記憶する能力が高い」ということです。

たとえばお片付けをするときは、細かな配置までも再現して片付けをします。


感覚が過敏なので、音や触覚に敏感なことが多く、シャンプーや散髪を嫌がったり、ドライヤーの音を怖がったりします。


みんなで分かりましょう。

そういう子なのです。


そういう子なんだということを正しく理解し、多数派の教育をそのまま当てはめようとしないこと。


少数派なので、社会からはどうしても生きにくいかもしれません。

周りの理解がお互いにとってどれほど大切かを知っていただきたいと思います。


◆ アインシュタインは自閉症だった可能性が非常い高い


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「相対性理論」で有名な、ノーベル物理学賞を受賞した天才アインシュタインは、自閉症だった可能性が非常に高いと言われています。

言われているというのは、当時アインシュタインはちゃんと診断を受けていなかったから。


アインシュタインは5歳までろくに話をすることができなかった。会話があまりできなかったのです。

そして父親からもらった方位磁石を見て、常に針が北の方角を示すことに非常に興味を持ったそうです。まるで狂気のように興味を持った。

またこれとは別に、大人になってからも他人から言われたことをするときは、いつも言われた言葉を自分の口で繰り返してから行動したそうです。これはアインシュタインのおじさんの証言です。


たとえば講演のとき、司会者が「先生、もっと前に出てお話ください」と言うと、アインシュタインは「先生、もっと前に出てお話しください」とボソボソっと同じことをつぶやいてから前に出た。


このように言われたことを復唱してから行動するというのは自閉症の特徴の一つでもあります。

当時はちゃんとした診察を受けていなかったので、アインシュタインが自閉症だという確信はありませんが、しかし、こうした証言からアインシュタインは自閉症だった可能性が非常に高いと言われています。


◆ 育児に自信をなくす親は多い でも試行錯誤の連続しかないの


発達障害のお子さんを持つご家庭では、周りの多数の子どもがやっているようなことができない我が子をみて、非常に悩み苦しんでいます。

「どうしてウチの子はできないの…」

「もう普通の子がやっているようなことはできないんだ…」

社会は多数派に有利というかやりやすいように作られていますので、少数派には不便なことが多くあります。


これまでの育児で試行錯誤をしてきた経験は、そのまま正しい育児だったと肯定しましょう。


試行錯誤しかないのです。自閉症、ADHDなど発達障害の子の育児はそれの連続しかありません。

親は自分の人生の経験から育児をしていくものですが、その経験が通用しない。なので、発達障害のお子さんを持つほとんどの親は悩みます。だから、同じ境遇の親とコミュニケーションをとるようにすると、気持ちが和らぐと思います。


医療者であっても発達障害をきちんと理解している人は少ないようです。

今回の発達障害の男性患者さんが入院していたときは、スタッフから「困った人」というレッテルを貼られていました。

病院には病院のルールがあるのは承知しています。しかし多数の人には通用しても、少数派にはそれが自分の中に納得させることができないことがあります。


もっともっと発達障害に理解を。

そうです。


あの人は「そういうタイプの人だから」


※ 自閉症を楽しく学ぶにはこれ マンガ「ムーちゃんと手をつないで」




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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