ある日、ふと気付きました。
後輩ナースと話していて、紙カルテのことが話題になりました。
私「紙カルテだったときは、Drの字が読めなくてね…。大変だったよ」
後輩「へー、そうなんですか」
…私、なんだか古株になったような気分。
そう、昔はどこの病院もクリニックも、紙カルテでした。
それから電子カルテがどんどん普及して、今では全体で40%の普及率です。400床以上の大病院では70%です。
えっ!まだそんなもんなの?
てっきりほぼ100%だと思っていました。特に大病院は。
紙カルテの話題が出たことで、昔を振り返り、紙カルテと電子カルテの両方を使ったことがある経験から、私なりにメリット・デメリットを考えてみました。
もし転職をお考えの方は、転職先の医療機関が電子カルテか紙カルテかも考慮したほうがいいかもしれません。
その人にとって、働きやすいかどうかに多少影響すると思いますから。
まずは【電子カルテ篇】
◆ 電子カルテのメリット
« 字が読みやすい ≫
紙カルテの場合、特に医師は字が汚いことが多いです。
まるで神代文字か象形文字のような字。解読不可能なこともよくあります。
それが読めるベテランナースは、みんなから尊敬されたものです。
電子カルテでは、字の汚さに悩むことはありません。
しかし、自分のメモなどではいくらでも汚い字で構いませんが、他人に読んでもらう大事な指示などもあるので、そんな汚い字でいいの?と思います。
≪ 保管が楽。書類がかさばらない ≫
サーバー管理なので当然ですね。
ただし、電子カルテとはいえ、サインが必要な書類もあるのでまったく紙がないというわけではありません。スキャンして電子カルテ上に保存していますが、原本も残しています。
« 会計や集計などが簡単 ≫
電子カルテの大きなメリットの一つです。
コンピューターをフルに活用し、手作業を減らすことができます。またソフトによっては患者や手術、薬剤等のデータ分析ができますので、今まで紙カルテでいちいち探して数えていたことが不要になります。
« 検査結果の読み取りがどこでも可能 ≫
レントゲンやCT,採血結果などが医局であろうが、ナースステーションであろうが、パソコンがあればどこでも閲覧可能です。
カンファレンス時も閲覧しながら説明もできるので便利です。
« 紙カルテよりセキュリティが高い ≫
電子カルテはログインしないと中に入れません。
そして誰が記入したのか、ボタンを押したのか履歴が残っています。
クラウド型電子カルテなら、さらにセキュリティはしっかりしています。
« 複数人が一つのカルテを同時に見れる »
紙カルテだと誰かがそのカルテを持っていると、他の人が見れません。
でも電子カルテなら同時に複数の人が同じ患者のカルテを閲覧できます。
◆ 電子カルテのデメリット
« 災害に弱い »
紙カルテだとペンさえあれば書けます。紙なので電気がなくても読んだり書いたりできます。
電子カルテは電気がないとダメ。非常用電源が作動すればいいのですが、災害時は混乱しがちです。
« 初期投資額が大きい »
電子カルテは初期投資が大きい。軌道にのってくればマシですが、最初は大量のパソコン導入や整備やらでとにかくお金がかかります。
しかし電子カルテをうまく活用すると、後でそれを上回るメリットがあります。
« セキュリティの穴を突かれる可能性がある »
先ほど「セキュリティは高い」と述べましたが、何にでも盲点はあります。
USBメモリーでデータを抜かれたり、メール添付で情報を漏洩されたり、ネットやパソコンに詳しい人なら情報をとることは不可能ではありません。
「ミッションインポッシブル」や「007」のようなことができるかもしれません。
【紙カルテ篇】
◆ 紙カルテのメリット
« コストが安い »
なんといっても紙ですから、コストは安く済みます。保管も倉庫に置いておくだけです。
紙とペンがあれば書けます。
« 一冊のカルテの中なら検索しやすい »
本のようですので、インデックスをみればどこに何が書いてあるのか分かりやすい。
電子カルテだとボタンをクリック、クリックして中に入っていかないと目的の項目が出てこないことがあります。慣れが必要です。
◆ 紙カルテのデメリット
« あとで探すのが大変 »
過去のカルテを引っ張り出してくる。
過去のデータを探す。
どこに書いてるのかを探し出す。
こうした検索をするのが大変なのはデメリットです。
« 誰かが見ているときは見られない »
紙カルテは一人の患者さんごとに本のように一人一冊です。
誰かが手に取っていたら他の人は見れません。
◆ まとめ
紙カルテと電子カルテ、どちらもメリット・デメリットがあります。
しかし時代は電子化。
これからも電子カルテを導入する病院は増えるでしょう。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
初出掲載:2019年11月18日
もう30年も前の事,会社時代の同僚で医師に転職した人がいました。医学部に入り直して勤務医師になった後,「PCで管理すれば随分と便利なのに」と医療現場のデータ管理の遅れを指摘していました。その後IT環境は飛躍的に進歩しているわけですが,いまだに紙カルテも多いとは驚きです。
電子カルテって、PDF化するだけ?データ化するんですよね?
医療関係では無いですけど、データ化するの大変なんですよね…。間違ってデータ化されたり。年金もデータ化に失敗しましたし。
Enriqueさん>>おっしゃる通り、医療そのものは進歩しているんですが、それを取り巻く環境はまだまだです。むしろ一般企業のほうが新しい技術を導入しています。
私も元ビジネスマンですから、おっしゃることは良く分かります。
浦島太郎のような病院やクリニックはまだまだあるんですね。
さすらいの話師さん>>最近の電子カルテはとても賢くて、病院の中の動きが簡単に瞬時にデータ化されるものがあります(値段は高いですが…)
電子カルテをうまく活用すると、事務作業や経営も楽になるはずです。
電子カルテは標準のものでも優秀です。また病院ごとにカスタマイズすることもできます。でもカスタマイズすると別途お金がかかるので、できるだけ最初の導入時に、標準のものでいいものを選ぶほうがいいですね。
でも年配の方でこうしたITを全体的に考えて構築する発想を持つ人が少ない。若い人の意見をもっと取り入れれば素晴らしいネットワークになるはずです。
大学病院ではないのですが、整形入院中、部長回診が週1でPTまで従えて、おそろしい数の大名行列、そのときまえもって婦長さんがカルテもってくるんです。わたしだけファイルが分厚くあきらかに他の患者と違う。そしてささっと中身を見るのが得意でした。読めない汚い字がステイタスではないかと思うくらいの字、中にはきれいな文字
をかく先生そしてドイツ語みたいなのもあり、明るくなってきたようだ・・・とか、小生の精神状態まで記載がありました。電子カルテは過去のレントゲンだの、MRIだのぜんぶみれていいですがアクシデントがあったらたいへんです。併用している病院もありました。某小池百合子さんの病院、30年以上前の紙カルテ、障害年金で厚生年金時代に初診がほしく、そういえばUCGやったなあと医事課に電話したら、のこっていますよといわれ、全部別コンピューターにスキャンして開示申請。いったい1000床クラスの患者カルテ、だれがスキャンしたんだろう!たすかった!!!ということがありました。
ひでほさん>>そんなに古いのが、よく残っていましたね(;^ω^)
サーバーの容量にもよるのでしょうが、電子化が進むと今後は記録しやすくなるのでしょう。
こんにちは。
訪問&niceありがとうございました。
私は介護士で、介護記録はカルテにあたるものだと思いますが、記録媒体が紙である所でしか働いたことがありません。
紙は、字を丁寧に書かないといけないし、書くのも時間がかかるし、誤字は訂正印が必要だし、何より場所を取る。
パソコンでカタカタと記録する電子媒体にあこがれます…。
goroさん>>
コメントありがとうございます。
ボクは紙と電子と両方経験があります。
慣れると電子カルテの方が、断然便利です。
ただ、使ってみて分かったのは、
どのメーカーの電子カルテを使うかです。
しょぼい電子カルテを選んでしまうと最悪です。
使いにくいし、スタッフが楽になりません。
コンピューターは人を楽にさせてあげるために誕生しているので、
どの電子カルテにするか?はよく考えて採用してもらいたいですね。
これは、会社のお偉いさんに言いたいことです。
でもお偉いさんって、コンピューターに詳しくない人が多いから、選ぶのを失敗することがあります。
そうなるとスタッフは最悪です。
いい電子カルテに会えると本当にいいですよ。