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「理不尽なことで上司にキレられたのに、反論できなかった」

「クライアントに無理難題を押し付けられて、結局相手の言いなりになってしまった」

「思春期の子どもが反抗期、攻撃的になり、毎日腫れものに触るようだ」


こんな経験はありませんか?

また、


「娘と口論になると、ひどいキレ方をしてしまう」

「不安になると攻撃的になってキレてしまう」

「昔は温厚だった両親が、歳を重ねるにつれ怒りっぽくなった」


こうしたキレることに遭遇したことはあると思います。

キレるとは、怒りの感情が我慢の限界を超えて一気に露わになる様子です。激昂とか激高と同義語です。


著者の中野信子氏は、TVなどでもよくお見掛けする「脳科学者」です。

仕事でキレる人の対応や上司と関わり方、家族問題など、著者が脳科学者としての視点から解説しています。

こういう本は、教育者や心理学者、精神科医などが書きそうなテーマですが、脳科学者が書いているという点が、この本が他とは大きく違うところです。

最新の脳科学から「キレる!」ことにアプローチをし、対処法や活用法などを紹介し賢く生きることを教えてくれる本です。



◆ キレる人の脳内で起こっていること。

これは脳科学者の得意とする分野ですね。

脳のことなんて何だか難しそう…と思うかもしれませんが、安心してください。

脳のことなんて全然知らなくっても分かりやすく解説しています。


格闘家やアスリートはある意味攻撃的な脳の回路に切り替わることが必要です。

試合中におだやかにいるなんてことは、ないです(笑)。

ヒトはアドレナリンやノルアドレナリンという物質が出てくるので、闘争モードになるんです。

アスリートをよく見ていると、試合前によく自分のほっぺたや太ももなどを手で「パンパン!」と叩いているシーンを見たことがあると思います。お相撲さんも塩を撒いたあとに自分の頬や体を「パンパン!」と叩くことがよくありますよね。あれ、アドレナリンを出すためにしているんです。いや、本人はそれを知ってか知らずかは分かりませんが、本能的に知っているのかもしれません。「さあ、やるぞ!」という時、自分を強く叩くことで、アドレナリンを出して闘争モードにしているのです。


おもしろいですね。

ね?脳科学を全然知らなくてもとっても分かりやすいから、どんどんページが進んでいきます。


◆ キレる人との付き合い方 12のケースから学べれる。

脳の中ではどんなことが起こっているのかの次は、具体例です。

この12のケースでは

「侮辱的な言葉で相手を貶めようとする、会社の同僚や上司」

「執拗なまでのあおり運転」

「家族だけに暴力的な人、児童虐待をしてしまう人」

「被害者意識が強く、すぐに難癖をつける『クレーマー』」

「疑い深く、キレやすい『暴走老人』」

など、他にもありますが、どれも興味深いテーマです。


これらのケースでは、脳科学的にどうして起こるのか?どう対応したらいいのか?ということだけでなく、心理学も用いて、私たちにキレる人の思考や行動を解説しています。


経験則だけでなく、脳科学と心理学から科学的に根拠ある解説ですので、読者も納得できますし、相手に説明をするときも自信を持って話せます。


なにより、同じテーマで悩んでいる方に解決の方向に導いてくれる対処法がたくさん書いてあります。

きっと同じようなことで悩んでいる人っているはずです。

この本を読むと、少しでも気持ちが軽くなるんじゃないでしょうか。


◆ 戦略的にキレる。キレる人に振り回されずに、キレ上手で賢く生きる。

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著者の中野信子さんがヨーロッパにいたとき、

「あなたはもっと怒った方がいいよ」

と何度も言われたそうです。


駆け引きや自分の主張を通すためには、時に上手く「キレる」ことが必要な場面があります。


子どももそうですよね。子どもなりに「駆け引き」をしている場面ってあるじゃないですか。

大人になってからもよく「自分の考えや意見はしっかり主張しないと」ということがあります。でも特に日本人は自分の意見をはっきり述べるということが苦手な方が多い。

苦手だからうまく議論ができずに、「キレる」という下手な手段しか使えなくなる。


論破する、という言葉があります。

日本人は「相手」を言い負かしてやろうという態度で臨みます。つまり論破するのは相手という「人」なんですね。相手をねじ伏せるというイメージがあります。


ところが、海外では論破は「論」を破るんです。議論をして相手の論について自分の意見を言っていく。つまり「議論を活性化させる」ことになりす。論破するのは主題なんですね。相手じゃない。

この「主題を論破する」というやり方だと、フランスでは議論が活発になるそうです。

日本人はすぐ「相手」という人を論破しようとするから、あとでギクシャクしてしまう。論破の対象を「人」から「主題」に変えることで、前向きで活発な議論ができます。


「上手くキレる」というのは、ある種のテクニックです。

この本は相手の心理と自分の心理を上手く使いながら、円滑な対人コミュニケーションの方法を教えてくれます。


職場、仕事関係、学校、家庭でキレる人とどう付き合えばいいのか、どうすれば周りのみんなも含めて上手くいくのか。

このようなことに悩んでいる人に贈る答えは、本著の中にあります。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。


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