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私の父は現在入院中。しかも10ヶ月以上入院しています。たぶん、まだまだ入院していることでしょう。

というもの、父は、脳梗塞、脳出血2回、腎不全で人工透析中、糖尿病、パーキンソン病、と病気のオンパレードなのです。現在はJCS 200(一番悪い意識障害から二番目に悪い)で、声をかけようが、皮膚をつねって痛み刺激を与えようが、まったく目を開けません。ごくたまに単語を一言「そうか…」「う…ん」としゃべる程度です。寝たきりです。自分で手足はほとんど動きなし。ほぼ無動ですので、看護師さんが体位変換をしてくれています。食べられないので、鼻に栄養を胃に流し込むチューブが入っていて、それで栄養と水分を摂って生きています。そんな状態ですので、どこにも転院できず、今いる病院におそらく死ぬまでいるのでしょう。(人工透析が必要なので、これがネックになっていて他院ではこんな悪い状態で受け入れてくれないのです)


前置きが長くなりましたが、父が入院してよく分かったことがいくつかあります。

その一つが、「医療者が持っている患者情報は、患者家族にはあまり提供されていない」ということです。

圧倒的な患者の入院中の医療情報を、病院側は持っている。家族は知らないことが多いということです。

もちろん、入院以前の患者のことは家族が圧倒的に知っているでしょう。それとは違って、入院中のことや今どういう状態なのか、これからの見通しはどうなのか、ということについて、入院中にカンファレンスをして教えてもらえますが、そこでの情報は病院側が持っている情報の一部にすぎません。

家族が入院して、病院側の立場と患者側の立場の両方を経験していて、これは実感することです。




◆ カンファレンスでの病院からの情報はほんの一部。

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病院に面会に行っても、病室の本人に会うくらいで特に看護師や主治医と毎回話をすることはないのが多いかもしれません。なかにはカンファレンス以外はまったく来られない家族さんもいます。たびたび面会に来ても、洗濯物を持ち帰り、新しい下着を持ってくるくらいでさっさと帰られる家族さんも多いです。まあ、これはそれぞれの事情がありますから、何がいい悪いということはありません。

ただ、私も父が入院中ですので、ときどき面会に行きますが、その時は看護師さんや主治医と話をすることはほとんどありません。

でも多くの家族さんは、そういうものだと思います。


そこでカンファレンスを開いて関係スタッフと家族、本人が集まり、いろいろと情報交換をします。

カンファレンスでは、

主治医からは、病状の説明、今後の身通し、薬のこと、など。

看護師からは、病棟での過ごし方など。

リハスタッフからは、リハビリの進捗状況、今の能力など。

相談員からは、転機先の相談、退院後のサポートの話など。


カンファレンスで話す内容だけでなく、病院はもっと患者情報を持っています。

あと、病棟でも出来事で、「これ、言うとちょっとなぁ…」ということはあえて家族に言わないこともあります。

不穏のときの詳しい状況や、ちょっとした失禁や、ちょっとした暴言暴力や、ちょっとしたセクハラや、夜に寝言やいびきでちょっとうるさいことや…。


よほど度が過ぎていたり、迷惑行為が目に余るようなら、カンファレンスで言うでしょうが、多少の粗相は言わないことが多いですね。

でもカルテにはしっかり書かれていると思いますが。

時間的な制限もあり、患者さんが単に恥ずかしい思いをするだけなら、言わないこともあるのです。

もちろん、大事なことは言いますが、そこの取捨選択は病院側が持っていると思います。


カルテには毎日の言動が書かれており、量は膨大です。

これは医療職でないとなかなか現物を見る機会はないでしょうが、カルテには生々しく書いてあることがあり、家族の知らないことがいっぱいあります。

各種リハビリのテストや認知症のテスト結果や、その他いっぱいデータがあります。時系列で同じ検査がどう変わっているのかとか、具体的な項目の数字、点数が書いてあります。

あと、裏情報で、主治医や看護師などが「もうこれ以上良くならないよ…」「復活はあり得ない」と普段から言っていることもあり、そうしたことはやんわり避けられることもあります。家族は「まだ、もしかしたら良くなるかもしれない」と思っているかもしれませんが、「どう考えてもあとはこのまま死を待つだけ」と裏で言われていることもあります。


それをいちいちカンファレンスで言うかどうかは病院側が取捨選択しているので、家族さんに入る情報は限られてしまうという事です。


◆ 採血データやCT画像等は、言えば見せてくれます。

カンファレンスで主治医から検査結果についての報告を受けることがあります。これは主に急性期のカンファレンスで多いでしょう。でも回復期でも検査結果の報告がある場合があります。

また、脳や肺や骨折部位などのCT画像を見せてくれることもあります。

もし見たいのなら、主治医に言えば見せてくれると思います。

「どうせ画像をみても、よく分からないし…」と思うかもしれませんが、主治医が素人でも分かるように説明をしてくれるので大丈夫です。もしそれでも分からないのなら、あとで看護師さんに聞いたらいいと思います。


ちなみに私は、父の脳画像が見てみたかったので、主治医に頼んで見せてもらいましたよ。

こう見えて私は脳神経外科、SCU(脳卒中専門集中治療室)出身なので、脳画像は見て分かるんです。で、脳画像を見てみた結果、あちこちに古い小さな脳梗塞の痕が散在しているのと、フレッシュな脳出血と脳梗塞痕があり、大きさと部位的に「ああ、これはもうダメだな。よく生きているなというレベル」と思いました。

医師や看護師はこのことを知っているのですが、面と向かっては言わないので、自分で見てみたかったのです。


◆ 難しくて分からないし…は、もったいない。

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入院中の出来事や身体の状態は、当然病院側が圧倒的に知っていますし、データや記録を持っています。

分からないことも多いでしょうが、気になることは遠慮なくカンファレンス等で聞いてください。そのためのカンファレンスでもありますからね。


全部をあけっぴろにするつもりは病院側にはないでしょう。

家族は夜は良く寝ていると思っているけど、実は毎晩うるさくて眠剤を盛られて寝ているとか。便秘で下剤を盛られたとか。

単発の出来事なら言っていないこともあると思います。それが毎日のことで退院後も後に響くようなら、言うでしょうが。


カンファレンスでは大きなこと?(大事なこと)だけを言うことが多いので、細かなことはスルーされることがあります。

普段の面会のときに、部屋にいる看護師さんにチラッと聞いてみた方が案外細かな生活ぶりを教えてくれるかもしれません。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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