認知症になるとどうなると思いますか?
もちろん、なってみないと分からないのが本当のところでしょうが、今は世界中で研究が進んでいてかなりのことが分かってきています。
神様、どうか…
— ピストン (@nursepiston) September 14, 2019
認知症になってもせめて、
「さっきトイレに行ったことを忘れないように」
「さっきご飯を食べたことを忘れないように」
「昼と夜がちゃんと分かるように」
お願いします。
よくこう思っていませんか?「脳の一部が死んでしまってそれが原因で覚えられなくなったり、理性がなくなる」「私たちと違って、本能で生きている」
それっぽい感じがしますが、違います。
私たちの行動は、理性よりもほんのわずか先に「情動」で動いています。いわゆる「直感」「思いつき」などの情動が先に動きを決めて、そのあとに理由付けのために理性が働くのです。
これは認知症の方にも当てはまります。認知症を科学的に知ることで、イライラを減らしてポジティブにとらえましょう。
認知症になると、理性は少しずつ失っていき性格が変わっていきます。理性が失っていくけど、理性が無くなってしまうのではなく、人間的に少しずつ変わっていきます。
昔は「理性でヒトは動いている」と考えられていましたが、今は「情動」が先に動いていることが分かっています。
脳科学では、時間的にほんの少しだけ情動が先行している。1秒の1,000分の1ミリ秒単位の、ごくわずかですが、情動が理性よりも先に動いています。
これは、人間は感覚的に行動の決定をおこない、理性があとからその行動の理由付けをしている、と考えられるのです。
◆ 直感は意外とよく当たる。直感をバカにしないように。
以前の記事にも書きましたが、直感は意外とあたるものです。
直感を鍛えるのは、「よい経験をたくさん積むこと」です。
この直感や感覚でヒトは最初の行動をしているので、「これ欲しい!」「あっ!危ない!」「大丈夫だよ~」「これおいしそう、食べてみたい!」というココロが先に動いて、あとからあれこれ理由を考えて自分の行動を正当化します。他のヒトが理由を聞いてもちゃんとした答えが出せるように理性が理由を付けるのです。
脳の働きには「直感」という素早い判断と、人間として高度に発達した複雑な思考による「判断の理由付け」があります。
認知症になってもそうです。
ただ、認知症になると知能が下がってくることから、感性で動かれることが多くなります。これは理性が無くなってきたということではなく、理性の処理能力が追いつく前にすべての行動をしがちで、家族や介護スタッフが行動理由を聞いても「??」なことが多いためにまるで「理性がなくなってきた」と勘違いされるのです。
◆ 情動は認知症になっても保たれている。一方、知能は下がります。
弘前医療福祉大学の小池妙子氏らの研究によると、認知症の人のIQ(知能指数)とEQ(感情の知能指数)を測った研究では、IQはアルツハイマー型認知症によって少しずつ低下していきますが、EQは中等度の認知症になっても多くの人で正常だったという報告があります。
認知症になっても感情は保たれていることが多いので、多くの認知症の人は非常に感情豊かな生活をしています(なかには無表情や無気力になってしまう認知症の人もいますが)。
「あっ、危ない!」「子どもが待っているから早く家に帰らなくっちゃ」「お腹すいたなぁ、ご飯まだかなぁ」「バカにされた。腹が立つ」「あら、きれいなお花」
こうした感情が先に出ますが、「今はやめておこう」「今それをやってしまうとまずい」という理性が下がってくるので、家族や介護スタッフは「困った行動」だと思ってしまうのです。「認知症の人の行動は空気を読まない」と思われてしまうのです。
認知症の人は直感(感性)で行動して、残された理性を総動員して理由付けをおこない、失敗を正当化して自分を惨めにしないように、幸せに暮らしている…。
こう考えると、普段の認知症の症状を客観的にみることができるはずです。
イライラしても症状は改善しません。怒っても改善しません。
介護をする側が今よりも認知症の不思議を知ることで、今までとは違った目線でケアができると考えます。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
<スポンサードリンク>
コメント 0
コメントを書く