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認知症になると記憶が保てなくなります。特に新しいことを覚えることが非常に苦手になります。

そして新しい環境も苦手です。たとえば入院すると、たちまち不穏になったり、混乱したりすることは良くあることです。入院が引き金となって、認知症がさらに悪化することも非常によくあります。ですので、認知症の方の場合、入院はできるだけ短期間にすること、可能なら入院はせずに通院にすることがベストです。

認知症は今までできていたことが、できなくなってきます。

失敗も増えます。

そうすると、本人はプライドもあるので、失敗にそれっぽい理由を考えだしてきます。

本人からすると正当な理由が存在すれば、失敗しても別に恥ずかしくないからです。

こういう認知症の特徴についてのお話です。




◆ できなくなっても悲しまない、脳は都合よく物事を考えます。

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人はそもそも都合よく考えるんです。脳はもともとそうできているから、マイナスな出来事が起こっても都合のいいように考えます。そういうクセがあるのです。


私たちだって、こういうことはありませんか?

たとえば、高級レストランで高い値段のコース料理を注文して食べたが、実はそんなに美味しくなかったしボリュームも値段の割に貧弱だったとします。でも有名な高級レストランだし、お金を相当払ったし、となると「やはり高級店は違うなあ。おいしい」という感想を脳が作り出します。自分自身をそれ相当のことをしたんだというように解釈します。損な気分にならないようにね。


認知症になると今までできていたことができなくなりますが、自分が認知症という自覚があることは少ないです。いわゆる「病識がない」状態でいるのが通常です。自分が認知症とは思っていません。歳をとってちょっとおつむが弱くなったとは思っているのでしょうが、認知症という単語でちゃんと自覚しているということは少ない。

なので、「認知症のせいで、できないんだ」とは考えずに、別のせいにして正当化します。それが看護師のせいであったり、ヘルパーさんのせいであったり、家族のせいであったり、とにかく自分以外のせいで失敗したんだというように、脳は都合のいいように考えます。

これは実は自分を守るために脳が編み出した能力です。失敗しても「自分のせいじゃない」と考えるので、あまり惨めではなくなります。だからけっこうブツブツと文句を言う方が大勢いらっしゃいます。これを知っておかないと、介護をする人がイライラするので、特に介護をする人や家族はこういう脳の特徴を知っておくことが大切です。


◆ 脳はつらさから逃げるように都合よく自衛する。

これは脳のクセなので、別に本人が悪いという事ではありません。
そして認知症になると自分の失敗やできないことに、都合のいい理由を作り出します。
脳は失敗したあとに、言い訳をうまく考え出してくれるのです。
「介護の人がはやく来てくれなかったから失禁してしまったんだ」
「老人にやさしくしないやつが悪いんだ」
「歳をとったらできなくて当然だろ」
「周りの人がちゃんと教えてくれないから分からないんだ(実はちゃんと教えているが)」
ほかにもしていろいろあります。
こんなことを考えているなんて、なんて意地悪な人だと思うなかれ、これは自分を惨めから救うための脳の技なのです。
「それは違う。あんたがちゃんと覚えていないからでしょ」とか説教しても無駄です。つい説教したくなりますが、やっても何にも変わりません。周りの人はちゃんと説明したり、手助けをしたりしているのに、悔しいかもしれませんが、怒っても変わらないということを知っておきましょう。

面会に来た家族が認知症の親に向かって、怒ってイライラしているのをよく見ますので、こうした認知症の勉強をしておくことが大切です。


◆ 認知症になっても、ポジティブシンキングでいきましょう。

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認知症になると知能は下がってきやすくなります。しかし感情や昔からの記憶は残っています。

できないことが増えてくると当然失敗も増えます。

それを周りがやいやい言っても、当の本人は、

「なんでそんなにやかましく言うんだろう?」と思うだけで、怒ってる理由がよく分からない。

これが進むと「あの人は私にきつく怒る怖い人だ」「敵だ」とネガティブな感情が残ります。「なんだか分からないけど嫌な人だ」という思いが生まれます。

こうなると、介護をするほうもやりにくくなります。

なので、認知症をしっかり勉強することは、介護者のイライラを少しでも減らすことに役立ちます。

実際介護をすると、イライラする場面は山のようにありますから、勉強をすると「これは認知症のこういう症状だ」「こういう落ち着かせる方法があるから、試してみよう」など問題解決の引き出しをたくさん用意できるようになります。だから認知症の勉強をすることで、虐待やいじめを減らせられると考えています。


不穏や暴言暴力を振るう認知症患者も落ち着いている時は、あんがいかわいい側面を持っていたりします。

一旦、火が付くと手が付けられませんが…。


認知症は止められないので、歳と共に症状が進行します。認知症の薬を飲んでも結局は進みますから、来年はもっと認知症が進んでいると考えるのが自然です。

しかし、これは人類はどうしようもないので、どうせなら英知を絞ってポジティブシンキングにいくのが明るい社会なのではないでしょうか。



それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

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